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「芹澤プロに出会えたことですべてが変わりました」ルーキーの肖像〜林菜乃子
近年稀に見るスコアの伸ばし合いとなった2018年LPGAプロテスト。難関を突破した21名の個性をそれぞれ紹介する(取材・文/標英俊)
配信日時: 2018年11月16日 10時00分
⇒林菜乃子プロフィール
⇒2018年最終プロテスト合格者一覧
⇒ルーキー・林菜乃子が初優勝「もっとステップアップしないといけない」
林菜乃子(はやし・なのこ)にとって初のレギュラーツアー本格参戦となった2017年は苦しいシーズンだった。18試合に出場し、予選通過は1度のみ。獲得賞金は唯一通過した「CAT Ladies」で決勝ラウンド最下位による24万円だった。だが苦しいことばかりではなかった。今季につながる大きな出会いがあったからだ。
ゴルフをはじめた幼少期は、宮里藍、横峯さくらが国内ツアーを賑わせていた時代。「意味は全然わかっていなかったですが、大勢の人に囲まれて、歓声を受けていることに“すごいな”と思った」とプロゴルファーという仕事に興味を持った。競技に出場しはじめたのは小学6年時。「ステージが上がるにつれ、すごく上手な子が多くて、全然勝てる気がしなかった。ビリのほうで争っているのはすごく恥ずかしかった」と悔しさを感じるごとに練習量は増えていった。中学時代は放課後に練習場に通う毎日で、高校は近隣にゴルフ部のある学校がなかったため、通信制に通いながら凾南ゴルフ倶楽部でアルバイト。「朝から午前中に仕事をして、午後から夜まで練習。4年くらいお世話になりました」。高校卒業後のプロテスト初年度は最終テストまで進むも、1打差で合格ならず。それでも年末のファイナルQTで51位となり、2017年シーズンのレギュラーツアー出場のチャンスを得た。
だが壁は想像以上に高かった。「コーチがいない時期でつねに迷っていた。足りないことがありすぎて、何を優先して練習すればいいのかわからない。予選落ちして、課題がわからないまま、次の試合も予選落ち。その繰り返し。でも毎週試合はやってくる…そんな状態でした」。2度目のプロテストも2次予選で棄権敗退。ツアー転戦で成長の実感がつかめないまま、夏場を迎えようとしていた。
現状打破のため頼ったのは所属先のユピテル。「芹澤信雄プロがユピテルさんとスポンサー契約を結んでいることは知っていましたが、ご挨拶させていただいたことはなかった。面識がない状態でしたので“一度だけでも、私のスイングを見ていただけないですか?”って伝えてもらいました」。その2週間後の「大東建託・いい部屋ネットレディス」で指導を受けることが実現。「“少しだけ見るよ”と芹澤プロに言っていただけて…その機会から本格的に教わるようになりました」。
チーム芹澤には藤田寛之、宮本勝昌、西山ゆかり、木戸愛などツアー実績豊富な先輩らが多くいるだけに、今季開幕前のオフには「2月のチーム芹澤でのハワイ合宿、3月に行われた藤田プロの所属先の葛城ゴルフ倶楽部での合宿に参加させていただきました。一緒に練習させてもらうと、レベルの違いが明らか。“私はゴルフを全然わかってないな”っていつも思います」と大いに刺激を受けた。
2018年は主戦場のステップ・アップ・ツアーで前半戦からトップ10フィニッシュも多く、「芹澤さんの教えを継続することで少しずつ良くなってきましたし、課題や練習法が明確になりました」と手ごたえを掴んだ林。芹澤からの言葉で印象的だったものを聞くと…「稼げるプロになれ!ですね」。
「プロである以上、どんなときもそこが第一だから、と。優勝争いで、残りホールを考えても、もう首位には届きそうにない…という状況になったとする。そこで諦めでずるずるとトップ10外に落ちるのか…それとも2位や3位であがれるように1つでもスコアを縮められるように懸命にプレーするか…最終ホールの最後の1打まで無駄にするな!ミスしてもなんでもいいから、まず一生懸命打て!といわれたことで考え方が変わりました。いまの私の腕ではミスが出るのは当たり前。それを受け入れて、つねに次の1打に集中しています」。
それまでも、もちろん試合を投げ出すことはなかったが、苦しいなかでの踏ん張りが足りなかったと自覚。トータル13アンダー・5位タイと合格圏内で迎えたプロテスト最終日もこの心構えがあったからこそ耐えることができた。「14番までに5つスコアを落として、トータル8アンダー。でも絶対に諦めない!という思いですごく集中できたことで、残り4ホールで2つスコアを伸ばせた。芹澤プロの教えがなかったら、4回目を受けることになっていたかもしれません」。
⇒2018年最終プロテスト合格者一覧
⇒ルーキー・林菜乃子が初優勝「もっとステップアップしないといけない」
林菜乃子(はやし・なのこ)にとって初のレギュラーツアー本格参戦となった2017年は苦しいシーズンだった。18試合に出場し、予選通過は1度のみ。獲得賞金は唯一通過した「CAT Ladies」で決勝ラウンド最下位による24万円だった。だが苦しいことばかりではなかった。今季につながる大きな出会いがあったからだ。
ゴルフをはじめた幼少期は、宮里藍、横峯さくらが国内ツアーを賑わせていた時代。「意味は全然わかっていなかったですが、大勢の人に囲まれて、歓声を受けていることに“すごいな”と思った」とプロゴルファーという仕事に興味を持った。競技に出場しはじめたのは小学6年時。「ステージが上がるにつれ、すごく上手な子が多くて、全然勝てる気がしなかった。ビリのほうで争っているのはすごく恥ずかしかった」と悔しさを感じるごとに練習量は増えていった。中学時代は放課後に練習場に通う毎日で、高校は近隣にゴルフ部のある学校がなかったため、通信制に通いながら凾南ゴルフ倶楽部でアルバイト。「朝から午前中に仕事をして、午後から夜まで練習。4年くらいお世話になりました」。高校卒業後のプロテスト初年度は最終テストまで進むも、1打差で合格ならず。それでも年末のファイナルQTで51位となり、2017年シーズンのレギュラーツアー出場のチャンスを得た。
だが壁は想像以上に高かった。「コーチがいない時期でつねに迷っていた。足りないことがありすぎて、何を優先して練習すればいいのかわからない。予選落ちして、課題がわからないまま、次の試合も予選落ち。その繰り返し。でも毎週試合はやってくる…そんな状態でした」。2度目のプロテストも2次予選で棄権敗退。ツアー転戦で成長の実感がつかめないまま、夏場を迎えようとしていた。
現状打破のため頼ったのは所属先のユピテル。「芹澤信雄プロがユピテルさんとスポンサー契約を結んでいることは知っていましたが、ご挨拶させていただいたことはなかった。面識がない状態でしたので“一度だけでも、私のスイングを見ていただけないですか?”って伝えてもらいました」。その2週間後の「大東建託・いい部屋ネットレディス」で指導を受けることが実現。「“少しだけ見るよ”と芹澤プロに言っていただけて…その機会から本格的に教わるようになりました」。
チーム芹澤には藤田寛之、宮本勝昌、西山ゆかり、木戸愛などツアー実績豊富な先輩らが多くいるだけに、今季開幕前のオフには「2月のチーム芹澤でのハワイ合宿、3月に行われた藤田プロの所属先の葛城ゴルフ倶楽部での合宿に参加させていただきました。一緒に練習させてもらうと、レベルの違いが明らか。“私はゴルフを全然わかってないな”っていつも思います」と大いに刺激を受けた。
2018年は主戦場のステップ・アップ・ツアーで前半戦からトップ10フィニッシュも多く、「芹澤さんの教えを継続することで少しずつ良くなってきましたし、課題や練習法が明確になりました」と手ごたえを掴んだ林。芹澤からの言葉で印象的だったものを聞くと…「稼げるプロになれ!ですね」。
「プロである以上、どんなときもそこが第一だから、と。優勝争いで、残りホールを考えても、もう首位には届きそうにない…という状況になったとする。そこで諦めでずるずるとトップ10外に落ちるのか…それとも2位や3位であがれるように1つでもスコアを縮められるように懸命にプレーするか…最終ホールの最後の1打まで無駄にするな!ミスしてもなんでもいいから、まず一生懸命打て!といわれたことで考え方が変わりました。いまの私の腕ではミスが出るのは当たり前。それを受け入れて、つねに次の1打に集中しています」。
それまでも、もちろん試合を投げ出すことはなかったが、苦しいなかでの踏ん張りが足りなかったと自覚。トータル13アンダー・5位タイと合格圏内で迎えたプロテスト最終日もこの心構えがあったからこそ耐えることができた。「14番までに5つスコアを落として、トータル8アンダー。でも絶対に諦めない!という思いですごく集中できたことで、残り4ホールで2つスコアを伸ばせた。芹澤プロの教えがなかったら、4回目を受けることになっていたかもしれません」。
LPGA会員入り後のステップでは、「山陽新聞レディースカップ」で河本結に競り負け、涙の2位フィニッシュ。それでも試合後に「私は絶対勝てる!と確信できました」と前を向くと、ステップ最終戦「京都レディースオープン」では接戦を制して、見事初優勝を挙げ、ステップ年間賞金ランク5位に。「去年は試合に出ちゃいけないくらいの状態で、プロテストに受かるレベルではなかった。ドライバーを持つ手が震えていた。でも芹澤プロに出会えたことですべてが変わりました。ここからステップアップしないと意味がない。今年の経験をいかしてレギュラーにいきたい。だから満足はできません」と2017年のリベンジを口にした。
ファンに見て欲しいプレーはパッティング。「いまは、特別に飛ぶわけではないし、ショットの精度がすごくいいわけでもない。でも勝負どころの厳しいパーパットは必ず入れる気で打っていますし、最後まで諦めない姿勢は出せる。気持ちのこもったゴルフを見てほしいです」。将来への展望を聞くと、もちろんシード獲得、レギュラーツアー定着というワードは出てくるが、まず頭に浮かぶのは着実な成長。「目標から逆算して練習に取り組むのも大切ですが、目の前の時間を無駄にせずにやってきた結果が将来につながると思うんです。だから一歩一歩着実に成長したい。だっていつも試合が終わったら“なんでこんな私はヘタクソなんだろう”って思いますから(笑)」。悲壮感はない、爽やかな笑顔。それは、いい師匠に出会い、成長を実感できているからにほかならない。
林菜乃子
〇所属:ユピテル
〇1997年5月17日生まれ
〇出身地:神奈川県
〇身長155センチ、体重51キロ
〇血液型:O型
〇ゴルフ歴:6歳〜
〇目標とするプロ:芹澤信雄
ファンに見て欲しいプレーはパッティング。「いまは、特別に飛ぶわけではないし、ショットの精度がすごくいいわけでもない。でも勝負どころの厳しいパーパットは必ず入れる気で打っていますし、最後まで諦めない姿勢は出せる。気持ちのこもったゴルフを見てほしいです」。将来への展望を聞くと、もちろんシード獲得、レギュラーツアー定着というワードは出てくるが、まず頭に浮かぶのは着実な成長。「目標から逆算して練習に取り組むのも大切ですが、目の前の時間を無駄にせずにやってきた結果が将来につながると思うんです。だから一歩一歩着実に成長したい。だっていつも試合が終わったら“なんでこんな私はヘタクソなんだろう”って思いますから(笑)」。悲壮感はない、爽やかな笑顔。それは、いい師匠に出会い、成長を実感できているからにほかならない。
林菜乃子
〇所属:ユピテル
〇1997年5月17日生まれ
〇出身地:神奈川県
〇身長155センチ、体重51キロ
〇血液型:O型
〇ゴルフ歴:6歳〜
〇目標とするプロ:芹澤信雄