地域格差の原因の一つにはトーナメント開催(下部ツアーは除く)の有無も関係していると思う。和歌山と島根はツアー制度施行前も含め、一度も開催実績がない。佐賀は2014、15年の「Tポイントレディス」の2試合だけ。秋田は1980年から89年まで「東北クイーンズ」が開かれていたが、90年以降は1試合も開催がない。ゴルフという競技に触れることができる絶好の機会がないのだから、“はじめの一歩”も始まらない。宮城には「ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン」というツアー制度施行前に初開催され、今も続く大会があるが、こういう例外もこの県の不思議なところだ。
JLPGAにはゴルフの普及、ジュニアの育成という理念と目標があるはずだ。少子化が進むなか、パイの取り合いはもう始まっている。ジュニアゴルファーの減少は随分前から問題になっている。都道府県別トーナメント開催は今季の日程も含めて千葉が246試合で断トツだが、そろそろ地方に目を向けるときではないのか。大きな都市が周辺になければ集客はさほど見込めないだろうし、プロアマ大会に出場するスポンサー、ゲストには移動などで不便が生じる。選手、ツアー関係者の宿泊問題もある。
だが、優勝回数、プロの人数、トーナメント開催数…。都道府県別の格差はどう考えてもいびつだ。
倉林は2011年の東日本大震災後にゴルフを始めた。幼稚園の年長さんのときだった。「何か新しいことを始めよう。夢に向かって頑張ろう」と両親が背中を押して、夢中になった。小学生のころは、東北高校卒業からプロテストに合格するまで研修生として汗を流すことになる利府GCで開かれた「ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン」を観戦し、プロへの思いを強めた。幼いころに間近でプロのプレーを見て、ゴルフの道に進んでプロになった選手は数多くいる。
まずは、JLPGAの主催で開催コースが毎年変わるサーキット方式の「ソニー日本女子プロ選手権」を和歌山、島根、または同じくツアー開催が一度もない山形のいずれかで開いてみるのはどうだろう。やれることからやって、地図の空白を一つずつ埋めることだ。 種を蒔かなければ、花は咲かない。(文・臼杵孝志)