1988年のツアー制度施行前も含めて、女子ゴルフの未勝利県は10もある。秋田、長野、石川、三重、奈良、和歌山、島根、高知、佐賀、そして意外だが、宮城もいまだにツアー優勝者が誕生していない。東北高と東北福祉大。宮城には多くの男女プロを輩出している強豪の高校と大学があるが、東北高OGの宮里藍、有村智恵、原江里菜、菊地絵理香、木戸愛らはいずれも県外出身者。抜群の受け入れ先があるのに、宮城出身のプロそのものが少ないのも、以前から不思議で仕方がなかった。
先週の「宮里藍 サントリーレディス」は、そんな“ツアーの七不思議”が一つ消えるかも…と思っていた。初日は富谷市出身でルーキーの倉林紅が「66」で回り、首位と3打差の3位スタート。2日目には仙台市出身の山路晶が「65」をマークして、5打差3位に上がってきた。倉林も2つ伸ばして、7打差9位とV圏内に踏みとどまった。だが、決勝ラウンドの2日間はバーディ合戦から脱落し、山路はトータル10アンダーの10位、最終日に「75」と崩れた倉林は29位に終わった。
倉林は昨年のプロテストに3度目の挑戦で合格を果たした。最終QTは1位で突破し、ルーキーイヤーが始まった。4月に痛めた右手首の状態もようやく落ち着き、前週の「ヨネックスレディス」で初めて優勝争いを演じての2位で、初のトップ10入りを果たした。優勝を意識して臨んだサントリーレディス。バックナインで3連続など5ボギーを叩いた最終日は同じ2005年度生まれの菅楓華、荒木優奈と同組となったが、「2人のプレーを見ていて、自分にはまだまだ足りない部分がたくさんあると思った。ミスしたときのリカバリーが本当にうまかった」と優勝経験もある同学年の良きライバルとの差を痛感したという。
“3度目の正直”でプロテストに合格したときから周囲の期待を一身に背負った。「宮城県出身者がまだ勝っていないことは知っています。すごく応援していただいている地元の方にも『優勝を!』と言われています。最初に勝ちたいです」。県勢初Vへの思いが、今月29日に21歳となるルーキーの最大のモチベーションになっている。
ツアー未勝利県の多くに共通するのは、宮城のようにプロが少ないこと。JLPGA(日本女子プロゴルフ協会)のホームページで退会者を含めた会員(プロ)を検索すると、10県のうち最少は秋田の1人で、島根と佐賀は3人。次いで、高知4人、和歌山7人、三重8人と続き、最多でも長野と石川の11人。宮城は9人だった。都道府県別で最多の157勝の熊本は41人。熊本と三重の人口は約170万人とほぼ同じで、宮城は約220万人。その差は歴然だ。