2026年の「ツアー選手権」を制し、2度目の年間王者を戴冠したスコッティ・シェフラー。その異能を顕著に示すのが、ティからグリーンまでのショット指標「SG:Tee-To-Green」で、4年連続の1位。そして、我らが松山英樹は、この指標で昨季の22位➡19位と順位を上げ、今シーズンを締めくくった。
2024年にこの指標で3位だった松山だが、今季前半戦はティショット単独の総合指標「SG:Off The Tee」でツアー平均を下回っていた。ところが、終盤に一変。スリクソンが満を持して供給した『ZXi RKT(ロケット) LS』の投入が契機で、この新作1Wは松山が再び頂点へと登るための「切り札」だと言える。今季の1Wスタッツの推移を詳しく紐解いていこう。
■ 珍しく、松山が「めちゃくちゃいい!」と絶賛
「替えてからドライバーの曲がり幅が断然減ったんで、安心して振っていける。めちゃくちゃいい! フェアウェイキープ率が80%を超える試合もあったので、すごく助かっています。初速が上がったというか、フェース面の素材のおかげかは分からないけれど、(初速が)速くなって、しかもミスヒットに強い感じがする」(松山英樹)
コレは「ツアー選手権」前に松山がツアー担当の宮野敏一氏に口にした「使用後1ヶ月強の実感」だ。フェースをシルバーにしたプロトタイプ『ZXi RKT LS』を「トラベラーズ選手権」から投入したが、その言葉を裏付けるように投入後のスタッツは一変している。
投入前は56.75%と苦しんでいたFWキープ率が、投入後は平均70.15%(+13.4ポイント)へと一気に跳ね上がった。「3Mオープン」では80.36%という驚異的な数値をマーク。ティショットの貢献度を示す「SG: オフ・ザ・ティ」も、マイナス(-0.305)から平均+0.405へと一気に改善(1ラウンドあたり約0.71打のプラス)し、一時は、5大会連続でプラスを記録する覚醒ぶりを見せた。
松山はこの新ドライバーを気に入っただけでなく、5W・ハイブリッド・3番アイアンまで一括で新シリーズに刷新。1Wの曲がりが劇的に減ったことで、元々ツアー屈指の精度を誇るアイアンとウェッジのキレが完璧に活きる相乗効果を生み出し、何と“練習の虫”だった男のティショット練習の球数も減らせたという。
■ メジャー王者のR・フォックス、J・シンも勝利!
『ZXi RKT』で覚醒したのは、松山だけにとどまらない。海外でテストした瞬間に実戦投入を決めた選手たちが次々と結果を出した。「トラベラーズ選手権」で松山と同時に「LS+プロトタイプ」を投入したライアン・フォックスは、ボール初速が+0.62mphアップ。その圧倒的な初速とコントロール性能を武器に、メジャー大会「全英オープン」で見事なPGAツアー初優勝を飾ってみせた。
さらに米国女子ツアーの「ISPS HANDA スコットランド女子オープン」では、ジェニー・シンが「ZXi RKT LS」を投入して即勝利。男女を問わず、世界最高峰のリンクスや極限のプレッシャーの中でも「安心して振り切れる」という絶大な信頼を獲得している。
■ 「薄肉VRチタン」が生む初速と、形状変更による安定性
なぜ『ZXi RKT』シリーズはこれほど曲がらず、飛ばせるのか。その秘密は、革新的な構造改革にある。フェース素材には、超高強度の「VRチタン」を採用。ギリギリまで薄く設計された新肉厚「ロケットフェース」により、芯を外したときでも初速が落ちない圧倒的な反発力と優しさを手に入れた。
VGFSのアナリスト計測データからも、その性能の一端が伺える。前作と比較すると、『ZXi RKT』シリーズは全体にかなりディープフェース化しつつも、重心距離や重心深度を変更し、絶妙に操作しやすくなった。(重心距離約39〜43mm台、重心角約23〜30度)それでいて、トウ側のバルジ修正で曲がりにも強くなっている。
さらに吹き上がりを抑えて前へ運びやすくなった上、アドレス時に開かないよう「座り」もプロ好みの顔つきへと修正された。打点が上下左右にブレてもサイドスピンを極限まで抑えてくれるため、「飛び」と「方向性」のトレードオフを高次元で両立させている。
■ ティショットが上位にくれば「松山に金棒」!?
このように、飛距離とまっすぐ飛ぶ性能をハイレベルで両立させた『ZXi RKT』シリーズ。冒頭、世界一の男の事例で触れたように、ドライバーの安定がどれほどスコアメイクに直結するかは自明。その図式に習えば、この新作ドライバーは鬼に金棒、いや「松山に金棒」となるはずだ。
そう、今更改めて言わずとも、ゴルファー皆が知る通り、元々屈指のアイアン精度とツアーでも卓越したショートゲームは折り紙付き。「曲がりを気にせず安心して振り切れる」――この絶対的な武器を手に入れた松山の来季の活躍が楽しみでならない。
◎写真/GettyImages
◎ALBA本誌944号連載「HIGHLIGHT」より転載