かつて2011年と13年に登場し、その美しい波紋による高級感で、中古市場でも今なおファンの多い名器『WHITE DAMASCUS』を覚えている人も多いだろう。当時の興奮が現代技術で今年5月に蘇る。その名は『DAMASCUS MILLED』だ。
波紋を呼んだ『WHITE DAMASCUS』
2011年に『WHITE DAMASCUS』が出た当時、刀剣などで有名な神秘の高級素材「ダマスカス鋼」をインサートに採用する発想は衝撃で、まさに「波紋」を呼んだ。当時のユーザーやプロたちが熱狂したのは、「相反する要素の両立」に他ならない。
【ソリッドなのにどこか吸い付く打感】、【削り出しの金属的なフィードバックとインサート特有の球持ちの良さ】、【一点一点異なる波紋の美しさによる圧倒的な所有感】。あの『ダマスカス』が、2013年の『WHITE DAMASCUS iX』以来、13年もの長い沈黙を破り、久々に復活した。
唯一無二の波紋×最新のAI設計
今年の女子ツアーでは開幕時から驚いた。フェース表面にダマスカス鋼特有の、美しくも妖艶な「波紋」が広がっている。1本ずつ個体によって表情が違う魅力もさることながら、裏側にこそ“最新技術”が隠されていた。
オデッセイが今もっとも自信を持つAI設計の『DAMASCUS・インサート』には、フェース表面とも劣らぬ複雑な凹凸という紋様が隠れていたのだ。
これまでもチタン製やアルミ製のAIフェースがあったが、今回は「ヒットした打点に関係なく、安定したボールスピードと理想的な順回転を実現する」のが特徴。『Ai-DUALインサート』のような溝がないのに、AI設計の金属でこれを実現したのも衝撃だ。
13年前と15年前の『ダマスカス』は、素材特有のソリッドな打感が売りだった。しかし、現代の利器・AIがインサートを設計すると、裏側の設計だけで順回転を極限まで高められるとは恐れ入る。単なる「工芸品的な美しさ」だけでなく「AI設計のオートマ性能」が波紋のように混ざり合っている。
笠りつ子が高速グリーンで勝利!
単にモノとして美しいだけでなく、その使い勝手にも既に実績がある。グリーンによってパターを使い分ける青木瀬令奈が開幕戦で「飛ばないのに音がするいいとこ取り」と投入。そして、第3戦の「Vポイント×SMBCレディス」では、高速グリーンに多くの選手が苦しむ中で、笠りつ子が『#7 DB』を使って5年ぶりの復活優勝をはたした。
笠は優勝会見で「勝因は新しいパター。フィーリングが最近いい感じに合ってきて、今週の速さのあるグリーンにマッチしました。ロングパットもよく入ってくれた」と大喜び。青木瀬令奈も初見で「開幕から数戦で使う可能性が高い」の言葉通り投入するなど、未発表時からツアー実績で話題だった。
目玉は「JAILBIRD×ダマスカス」?
操作性に優れた『SEVEN』を3つも用意するため、同社的にコレが推しだと分かる。ただ、ラインナップを見て思わず膝を打ったのが『JAILBIRD MINI DB』の存在だ。PGAツアーだけでなく、白茶の『ジラフビーム』に赤黒の『S2S TRI-HOT』、そして白黒の『Ai-DUAL』と、ヒットし続けるジェイルバード。
13年前の『ダマスカス』にはなかったマレット型の“新鉄板”に、『高級感あるダマスカス鋼のソリッド打感』+【順回転で初速も安定するオートマ性】という、意外な組み合わせ。これに長く我々の相棒として機能する予感がするのは気の所為か。
これまでジェイルバードといえば、樹脂インサート系のイメージが強かったが、このダマスカスだけは別格。ソリッドな打球音を好む上級者や、感性を大事にする競技者を中心に「美観だけでなく、結果も欲しがる」姿が目に浮かぶ。
他にも『ONE WIDE』『TWO CH』というブレードタイプに、人気マレットの『ROSSIE S』、『SEVEN DB』&『SEVEN CH』、そして『SEVEN』のゼロトルク『
Square 2 Square』と盤石の布陣だが、どれも【ただカッコいいだけ】に留まらない、最新のソリッド系として“入りそうな風格”も漂わせる。
この高級感で「7万円ならアリかも…」
さて、気になるのはそのお値段。税込価格は73,700円だが、聞いた瞬間「アリ!」と感じたのは、用品担当の筆者だけだろうか…。昨今の限定モノや、某ミルドパターが軒並み10万円の大台を超え、ミルド系の中には20万以上のモノも珍しくない。
いくら物価高とはいえ、二桁万円を払うとハイシーズンのプレー代にもかなり支障が出てしまうが、この唯一無二の「ダマスカス鋼×AIインサート」という贅を尽くした仕様が7万円台なら「アリ!」だと言えよう。
これだけのプレミアム感を持ちながらの、この価格。これまで「パターはインゴッド削り出しで、ソリッドな打感以外認めない」という頑固な人でも、波紋の美しさと、AIがもたらす結果を突きつけられれば多少はグラつくはずだ。
日本市場をリードして開発された、“ダマスカス好き”な日本人のための“高級”なオデッセイ。ショップの棚でこの妖艶な波紋と目が合ってしまったら最後。財布の紐が緩む覚悟をしておいたほうが良さそうだ。(編集部M・K)
◎撮影・田中宏幸、福田文平