今作も大ヒットしている『コードカオス27』。スパイクレスシューズ人気の火付け役となった本モデルの歴代デザインを担当してきたフットウェア デザインディレクターのケリー・キクタ氏が来日。デザイナーの視点から今作を語ってもらった。
製品名にもなっている“カオス”は、日本語で秩序がなく、さまざまなものが入り乱れた状態、“混沌”を意味する言葉だ。ケリー氏はどのような意図をもって“カオス”を表現しているのか。
「『コードカオス』発売以前は、トラディショナルなスタイルが主流でした。“カオス”には、常識を覆す、固定概念に縛られないといった意味があると考えています。型から外れて、パフォーマンスを出すためにどういった形状、素材、構造にしなきゃいけないかを考えてデザインし、『コードカオス』が誕生しました。disraptive(破壊的な)という表現もしていますね」
確かに、『コードカオス』は初代からデザイン面だけでなく、鋲がないのにグリップ力が高いという性能面でも“破壊的”だった印象がある。しかし、デザイン面でいえば、最新作は今までよりも少し落ち着いたカラーリングに見える。
「4代目を迎えたこともあって、私にとってはターニングポイントでもあるという風に考えています。ワイルドな今までのデザインではなく、シンプルというか、洗練されたデザインに意図的にしました。今まで以上に機能は満載ですし、ゴルフのファッションという面でも、ユーザーから評価されるシューズとしても、『コードカオス』がもう1つ上の段階にいけたらと思っています」
ここで、筆者が感じていた質問をぶつけてみた。今作のデザインが、バスケットボール界のレジェンド コービー・ブライアントが2000年前後に履いていた『THE KOBE 1』というシューズに似ている(正確に言えば、筆者は『THE KOBE 1』から着想を得た『クレイジー』というアディダスのスニーカーに似ていると思っていた)ことについてだ。
「私の好きなものを読み取られたようですね。今作は“Y2K”のインスピレーションが存分に織り込まれています。デザインを考える際、インスピレーションボードというものを作ります。シューズはもちろん、車やファッションなど、あらゆるデザインをまとめたものです。そこに、おっしゃる通りコービーやT-MAC(トレイシー・マグレディ)など2000年代前半のバスケットボールシューズがありますし、コービーの写真もあるんです。彼のファンでしたからね」
“Y2K”は1990年代後半から2000年代前半のカルチャーやファッションを取り入れるスタイルで、現在の流行だ。
「2000年代前半は、新たなテクノロジーが注目された時期でもあったんです。ゴルフでも、市民権は今ほど得られませんでしたがスパイクレスシューズが登場したり、ストレッチ素材通気性の高いウェアが登場したりと、新たなパフォーマンス向上のためのテクノロジーが出てきました。そのときのデザインはもちろん、構造も含めつつ、自分のデザイン、“Y2K”のインスピレーション、AIの観点も掛け合わせて出来上がったのが今作です。どことなくバスケットボールシューズの雰囲気を感じるというのはそういった背景があるからでしょうね」
まさか本当にバスケットボールシューズからも着想を得ていたとは驚いた。常識を"破壊"し続けてきた『コードカオス』シリーズ。今作はシンプルに見えるデザインかと思われたが、こだわりのつまった斬新なものに仕上がっていた。
