<全英オープン 最終日◇19日◇ロイヤル・バークデールゴルフクラブ(イングランド)◇7223ヤード・パー70>
今年の海外メジャー最終戦は、72ホール目に劇的な幕切れが待っていた。首位と2打差の2位タイからスタートしたライアン・フォックス(ニュージーランド)が5バーディ・3ボギーの「68」で回り、トータル10アンダーでフィニッシュ。18番のバーディで、並んでいたキャメロン・ヤング(米国)を振り切り、39歳で初のメジャー制覇を果たした。
初日を終えて2オーバーの85位タイ。2日目こそ2アンダーにまとめたものの52位タイどまり。ところが3日目にメジャー大会最少タイの「62」で一気に浮上すると、サンデーバックナインの最終6ホールで4バーディと爆発した。初日の85位、2日目終わって52位からの逆転勝利はメジャー史上最大のカムバック勝利となった。
18番(パー4)のティに上がったとき、「勝ちにいくぞ」とキャディに言った。4日間を通して平均スコア『4.345』の最難関ホール。ティショットを330ヤード飛ばしフェアウェイをキープすると、175ヤードの2打目をピン手前に運んだ。そしてプレッシャーのかかる優勝決定の一打。ラインを読み、アドレスに入り、迷うことなく放たれたボールは奇麗にカップに吸い込まれた。早打ちで知られ、小気味いいプレーが持ち味のフォックス。いつも通りのリズムで決めた裏には、勝ちたい気持ちと同時に、さすがの緊張も感じていた。
「いまだに信じられない。最後のパットはどう打ったか覚えていない」。極度の緊張に襲われた場面でも、プレースタイルは変わらなかった。「昨日の夜、子供たちから『トロフィーをもって帰ってきてね』と言われたんだけど、最高にクールなものを持って帰ることになったね」と、米国フロリダで待つ家族の元へ戻り、優勝を報告する喜びに満ちあふれるはずだ。
祖父はクリケットの名選手で代表コーチも歴任。父はラグビーの名選手でワールドカップで得点王に輝くなど同国スポーツ殿堂入りをするほどの大物。スポーツ一家で育ったフォックスもクリケット、ラグビーを経験したうえで、24歳でプロゴルファーの道を進むことを選択。欧州ツアーを経てPGAツアーには24年から本格参戦。25年に2勝を挙げてポイントランキング43位に入り、今回の勝利につながった。
ニュージーランド勢の本大会制覇は1963年のボブ・チャールズ以来63年ぶり。メジャー大会でも2005年の「全米オープン」を制したマイケル・キャンベル以来21年ぶり。「こんなことが現実になるかどうかさえ考えていなかったかもしれない。ニュージーランドにとっても大きなこと。祖父と父の偉業を超えたかどうかはわからないけど、間違いなく偉大なこと」。メジャー覇者として胸を張って、シーズン終盤へと向かう。
