＜ゴルフ日本シリーズJTカップ 初日◇30日◇東京よみうりCC（東京都）◇7023ヤード・パー70＞
今季は「中日クラウンズ」を制している岩田寛が7バーディ・2ボギーの「65」。首位の中島啓太とは2打差の3位タイと好発進を決めた。
「うーん…普通。なにも。オーバーパーじゃなくて良かったです」と独特の“岩田節”でこの日のラウンドを振り返る。「でも気付いたら、ティショットが全部フェアウェイだった。ゴルフ人生で多分初めてですね」と、フェアウェイキープ率100％の初日に手応えを感じている。
今大会では「つらい思い出しかないですね、一回も勝ってていないので…」と、過去7回出場して2位が2回、3位が1回と優勝まであと一歩届いていない。
出場選手の平均年齢は29.9歳。今年は23歳の中島啓太が賞金王に輝くなど、若手選手がツアーを盛り上げた。しかし、“マイペース“を貫く42歳の岩田は、「若い子出てきたなと思いますけど、基本は“自分のこと“しか考えてないので。『あの子いい球打つな』とか、『うまいな』とか、そういうのはありますけど、だからこうしようとかはないです」と話す。
20歳近く歳が離れた中島とは接点がなさそうだが、“意外な”2人の関係性を岩田が明かす。今年9月、韓国で開催された日韓亜3ツアー共催大会「Shinhan Donghae Open」で二人は宿舎が同じになり、岩田が中島の“散髪“を行っていたのだ。
「毛量がすごくて、すぐ伸びるから。僕はいつも自分で切っている。（中島から）『お願いします』って言われて切ってあげた」。ハサミやバリカンを駆使して、自分自身で散髪するようになって8年。今では上井邦浩などほかのプロからも指名を受けるなど、ゴルフ界の“美容師”としての一面がある。
「それからダンロップ・フェニックスでもお願いしますって言われたんですけど、勝手に切ってて。今回はまたお願いします、って言われていたんですけど、また昨日も勝手に切っていて。なんか、都合の良いヤツみたいな扱いされています」とポツリ。約束を2度も反故にされた岩田は少し怒っている。
一方、予約をドタキャンした岩田美容室のお客さん・中島は、「ちょっと我慢ができなくて…朝お風呂場で会って、『髪切っちゃいました』って言ったら、『浮気者だね』って言われちゃいました」と半笑い。
続けて、「岩田さんは、僕の髪の毛のことを“芝質”って言っているので。『ケイタの芝質はつかんだからいつでも』って言われてます。また切ってもらいたいなって思ってます。しかも岩田さん、切っている時はすごくかわいいので」と中島。ベテラン選手と若手選手のこの交流がとても微笑ましいエピソードだった。（文・神吉孝昌）
