首位タイから出た23歳の細野勇策が「70」で回り、トータル15アンダーでツアー初優勝を果たした。日本人のレフティとしては通算5勝の羽川豊以来、35年ぶりの優勝となった。スイング改造、それに合わせたクラブのこだわりもあった。
2022年にツアーデビューを果たし、23年は開幕戦で優勝争いを演じて5位に入るなど初シードを獲得した。デビュー当時から「優勝すれば日本人レフティとして31年ぶり」と、注目を集めた。その後、優勝争いに絡むたびに『33年ぶり』、『34年ぶり』と、その年数は増えていた。「早く止めないと、と思っていたので35(年)で止まってよかったです」とプラスアルファの喜びがあった。
ゴルフを始めたころからレフティの悩みはあった。ゴルフクラブを握った6歳の頃、当時はジュニア用の左打ちクラブはなく、小学校の頃はレディスや大人用の左打ちクラブを切って使用していた。高校生の頃には、「カタログにあるものが全部、左のモデルがありました。当時の自分にはありえなかった」と、左用クラブが充実しているピンと出会い、プロ転向時からはクラブ契約を結んでいる。
キャディバッグを覗くと、14本すべてピンである。ドライバーはロースピン系の『G440 LST』にグラファイトデザインの『ツアーAD GC-6』(硬さ:TX)を挿す。ロフトを見ると11.5度とハイロフトだ。ことし3月から1度寝かした設定にしている。
「僕は球が低くてスピン量がすごく少ないタイプなんです」とその理由を話すが、プロ担当が補足する。「もともと飛距離を求めてアッパー系のスイングでしたが、方向性を安定させるために、入射角を少しだけ上から入れるイメージでレベルブローになりました。方向性は安定しましたが、キャリーがもう少し欲しいということでロフトを寝かせています」。安定感を求めたスイング改造にともない、ドライバーも最適ロフトにした。
14本の中でも目を引くのが、6番アイアンが2本入っている点だろう。1つは飛距離性能重視のやさしいモデル『G440』で、もう1つはピッチングウェッジからの流れの『i230』。もともと4番、5番も『i230』を使用していたが、「(i230の)4番、5番アイアン(の球さの高さ)が少し低くて、グリーンキャッチしても止まらなかった」と『G440』をテストした。
「球の高さは出るし、打ちやすい」とやさしく上がって、飛距離も出る『G440』の6番アイアンを5番に、同5番アイアンを4番アイアンとして、昨年のこの大会からバッグイン。硬いグリーンでもロングアイアンで止められるようになった。もともとショット力には定評があったが、こうした工夫が4日間のパーオン率は『72.22%』で1位の数字を残した。
初優勝に「一番貢献した」というのがパターである。国内メジャーということもありセッティングは難度が上がった。「ショットが暴れたところは耐えて、耐えて。60度のウェッジも含めて、アプローチとパットでやっていた。その中でも強く印象に残っているのがパッティングなので感謝しています」と話す。
そのパターは、アンサーよりも幅広の『KUSHIN4』(2021年モデル)で5年以上手放せない信頼のエースである。ことし4月には、このエースのトップブレードに白い「・」(ドット)を入れるひと工夫を施した。「・」のヒントは、鈴木愛らが使用する白いヘッドの最新モデルの『SCOTTSDALE TEC』が、「・」を特徴の一つにしており、細野もそれをテストしたことがきっかけだった。
「(ドットを入れて)芯ですごく構えやすくなりました。ストロークも安定しますし、芯に当たることによって直進性も上がるので、パッティングもすごくよくなっているとい思います」。ドットを入れるわずかな工夫だが、大きな効果を生んでいた。
【細野勇策の使用ギア】
1W:PING G440 LST(11.5度/ツアーAD GC-6 TX)
4W:PING G440 MAX(17度/ツアーAD GC-7 TX)
7W:PING G440 MAX(21度/ツアーAD GC-8 TX)
5I,6I:PING G440(24.5度,28度/N.S.PRO モーダス3 ツアー120 TX)
6I~8I:PING i230(N.S.PRO モーダス3 ツアー120 TX)
9I,PW:PING BLUEPRINT-T(N.S.PRO モーダス3 ツアー120 TX)
60,56,52度:PING s159 Chrome(N.S.PRO モーダス3 ツアー120 TX)
PT:PING KUSHIN4(Black Chrome Steel)※2021年モデル
BALL:タイトリスト Pro V1x
