5月中旬、男女の国内ツアー会場で、オデッセイの新作とみられる未発表パターが姿を見せた。ソールには『TRTL』と書かれており、ダブルベントやセンターシャフトなどネック違いの4タイプがあった。すでに多くの選手がテストを行い、実戦投入する選手も出てきている。
6月上旬に終えた国内男子ツアー「BMW 日本ゴルフツアー選手権 森ビルカップ」の練習日には、このパターを開発したR&Dディレクターのエリック・ストゥーベン氏と、プロダクトマネジメントセクションマネージャーの石野翔太郎氏が来場。“カメパター”とも呼ばれるその特徴的なモデルについて、ストゥーベン氏に話を聞いた。
同モデルはキャロウェイジャパン発のアイデアから誕生した。最初は石野氏が描いたスケッチをもとに、構想を具現化し、形にした1本だ。「現代のトレンドにしっかり乗ること」を意識したという。
開発のポイントは大きく4つ。「ミッドサイズのマレット形状」「視認性の高い2本のサイトライン」「深過ぎず浅過ぎない重心設計と高い慣性モーメント(MOI)」「オデッセイ初となる4つのソールウェイト」だ。
ポイント1.やさしさと操作性を両立したミッドサイズマレット
大型マレットはストロークの安定感に優れる一方で、操作性が犠牲になりがち。一方、ブレード型は操作性に優れるがシビアさも伴う。その中間に位置するミッドサイズマレットは、「やさしさ」と「操作性」を両立できる形状だ。
ポイント2.視認性を高めたサイトライン
「はっきりしたアライメントを特徴としたかった」。ヘッド上部には白く太いサイトラインを2本配置。実際、選手からは「緑のヘッドにグリーンも緑。その中で白いラインが映えて見えやすい」と高い評価を得ている。
ベースカラーにグリーンを採用したのは、“カメ”というコンセプトからだという。「これまでパターで緑を使うことはあまりなかったが、今回は取り入れることを決めていた」と説明する。その上で白いラインを加えたことで、「副次的に、この2本線がより際立つ結果になった」と話す。「ツアーのトレンドとして、視認性が高い」と支持を集めているという。
ポイント3.“なぜカメ?”の答えは高MOI
「カメがお好きですか?」という問いに、ストゥーベン氏は大笑い。「カメが嫌いな人はいないんじゃないかな?(笑)。好きだから採用した、というわけではないよ」と、冗談交じりに答えた。
このユニークな形状が生まれた最大の理由は、「MOIを高めたかった」から。MOIを大きくすることで、ミスヒット時の“ブレにくさ”や“ねじれにくさ”につながる。
カメを採用した意図については「MOIが高いとストロークのテンポがゆっくりになりやすい。その“ゆっくり”というイメージが“カメ”につながった」と説明。ヘッド外周に配置された4つの黒いパーツも、結果的にカメらしさをより強調するデザインとなっている。
さらに「当初からカメのようなフォルムにしたいというコンセプトはあった。ただし、MOIを高めるには中央部分を軽くする必要がある。その一方で、軽量化すると耐久性に課題が出るため、六角形の構造を採用することで強度を確保した」と明かす。
その構造が、結果としてカメのシルエットにも近づいたのだ。「かなり議論を重ねながら、『この形はどうだろう』と何度も試作を繰り返して完成させたモデルです。本当にいい形になったと思います」と胸を張る。
ポイント4.オデッセイ初の“4つのウェイト”がもたらす調整力
「オデッセイでは初めてとなるソールウェイトを4つ搭載しました」。ソールには4つのウェイトを配置。細かな重量調整を可能にした。従来はネック側とトゥ側のみの調整が主だったが、同モデルでは前後左右のバランスを細かく変更できるため、プレーヤーごとのストロークに最適化できる。
実際にテストした選手からも高い評価が寄せられている。「これまではトゥ側かネック側など、どちらか一方にしか重さを配分できなかったが、このモデルは4方向で調整できる。それぞれのストロークに合わせた1本に仕上げられるのが非常にいい」との声があった。
ポイント5.世界の選手に通用する“1本”にできる柔軟性
4つのウェイトは、ツアー環境の違いにも対応する。「例えば、PGAツアー選手から日本女子ツアーの選手まで、このパターが使われる。“PGAツアーだと重くしたい”という意見あるので、4つあると重くできるし、逆に日本の女子ツアーに合わせて軽くすることもできる。その辺はグローバルで展開する意味で助かっている」と説明する。
さらに、調整できるのは重さだけではない。4つのウェイト以外にも「クラウンの部分、いわゆる亀の甲羅の部分もいろんなサイトラインが入れられるようになっている。それもグローバルでいろいろ選手たちに合わせるためにいいポイントになっているので、マレットを使っている人で合わせられない選手はいないんじゃないかっていうぐらい、調整機能もしっかりしている」と自信をのぞかせた。
ポイント6.打感は初代ホワイトホット?
一部の選手から「打感が初代のホワイトホットに似ている」という声があった。それもそのはず、インサートは「旧製のホワイトホットで使用している」ウレタンとアルミの2層構造を採用している。
「アルミと硬いウレタンだけだと硬くなり過ぎてしまう。そこで、溝を入れることによって、少し(打感を)和らげている」。ややしっかりめの打感を持たせつつ、溝加工によってフィーリングを調整し、ホワイトホットのようなやわらかさも取り入れた。
仕上がりはツアーでも高評価を得ており、コロがりの良さとボールスピードの安定性を両立している。特徴的な見た目だけでなく、最新トレンドを取り入れた機能性を兼ね備えた『TRTL』。ツアーでの使用者がさらに増えていく可能性は高そうだ。(文・高木彩音)