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苦節乗り越え世界に認められた渋野日向子 コーチとの1年半を振り返る【記者の目】

苦節乗り越え世界に認められた渋野日向子 コーチとの1年半を振り返る【記者の目】

所属 ALBA Net編集部
高桑 均 / Hitoshi Takakuwa

配信日時:2019年8月8日 16時03分

そしてその翌週、7月の「資生堂 アネッサ レディス」でプレーオフの末に2勝目を挙げた。「あのときは流れがあったので、勝てると思った」と、最終日の15番で15メートルを沈めて、ダブルボギーのイ・ミニョン(韓国)に追いつき、ますます勢いをつけた。

そこにきて、神がかり的なゴルフの末に全英優勝という大仕事をやってのけたが、実は6月の前半、「宮里藍サントリーレディス」で事件が起きていた。ラウンド中にイライラを募らせていた渋野に青木コーチの雷が落ちた。「1回勝っただけで、何やっているんだ。回りでサポートしてくれる人やキャディさんに対して失礼。感謝しなさい」。その翌週から7位タイ、4位、そして資生堂の優勝へとつなげた。

「予選通過できればいいかな〜、くらい」と挑んだ初メジャーの舞台。渋野と青木コーチは冗談を言い合いながら、快進撃を続けた。初日で世界を驚かせ、2日目で世界に認められ、3日目に世界を味方にし、最終日に世界を歓喜させた。渋野の目には涙…、はなし。青木コーチは涙を流した。2人らしいエンディングに、世界中が賛辞の言葉を贈った。

今回の優勝で渋野は思いもしなかった環境に身を投じることになる。ホールアウト後につぶやいた「やっちゃいました(笑)」という言葉が本音だっただろう。帰国後のフィーバーも、取材攻勢も、すべてが思いもしなかったできごと。それでも、笑顔を絶やさず、「長くは続かないでしょう(笑)」と、ここでも他人事のように、笑う。

時の人となった渋野と、これを支えた青木コーチ。信頼し合う師弟関係と同時に、漫才コンビのようにテンポのいいトークと掛け合い。普段はキャディを務めることはない青木コーチだが、これからも世界のシブコを影で支えてほしい。そして、その支えに笑顔で応え、成長していく渋野を見守っていきたい。いや、見ることができる喜びをかみ締めたい。(文・高桑均)

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