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苦節乗り越え世界に認められた渋野日向子 コーチとの1年半を振り返る【記者の目】

苦節乗り越え世界に認められた渋野日向子 コーチとの1年半を振り返る【記者の目】

所属 ALBA Net編集部
高桑 均 / Hitoshi Takakuwa

配信日時:2019年8月8日 16時03分

渋野に初めて会ったのは1年前。最終プロテストだった。初日から1番ティでカメラを向けていた。そこに現れた渋野を初めて見た時の感想は「クール」。勝手にそう思い込んでいたが、これもまた覆される。

4日間競技の3日目の夕方。練習グリーンで黙々と球を転がす渋野を見ていた。練習をじっと観察していると、顔見知りが近づいてきた。全英でキャディを務めたコーチの青木翔氏だった。「いいところに目をつけましたね。おもしろい選手ですよ(笑)」といわれたのを思い出した。

渋野と青木コーチとの出会いは2017年の秋。それまでは陸上選手の両親から受け継いだ抜群の運動神経を生かし、感覚重視のゴルフだった。そこに、「選手の個性を伸ばす」青木コーチのエッセンスが加わった。といっても、一からの指導ではなく、青木流は考えさせるゴルフ。アドバイスを与え、選手自身に考えさせるもの。みるみる渋野の才能が開花していく。

畑岡奈紗や勝みなみ、新垣比菜といったメンバーと同じく黄金世代の一角だが、学生時代は地元での活躍止まり。それでもプロテストを通ってそこそこ活躍できるはずだった。17年の夏、最初のプロテストに挑んだ渋野は、涙をのむことになった。その後、青木コーチと出会い、18年のプロテスト合格を目指した。

絶対に負けられない戦いに挑んだ2度目のプロテスト。悲壮感はなかった。いま思い返しても「吐きそうだった。絶対にもうやりたくない」と振り返るプロテストだったが、そんな場でも、リラックスした表情で言葉を交わしたのを覚えている。

プロテスト3日目の話に戻る。渋野は青木コーチから科せられたドリルを黙々とこなしていた。ボールをカップ回りに9コ並べ、距離を50センチずつ伸ばして置かれたものをぜんぶ沈めるまでは帰れないというノルマ。9コのうち2コまでは外すことが許される。そのあとは同じラインの距離違いというドリルが続き、クリアしなければ試合後にもかかわらず、帰れないというもの。

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