<すまいーだカップ シニアゴルフトーナメント 初日◇28日◇イーストウッドカントリークラブ(栃木県)◇6867ヤード・パー72>
昨年から着用するトミーヒルフィガーのイメージカラーのひとつ、赤色がポロシャツの上半分を彩る。鈴木亨は28日に60歳の誕生日を迎えた。「意味のあるウエアの選び方をするタイプ。きょうは赤を入れようと」。還暦を意識した装いでこの日を迎えた。
1番ティではお祝いの言葉がかけられた。「少しふわふわして」スタートしたが、1番、2番ともに2打目を50センチにつけて、還暦を自ら祝う連続バーディ。3番をボギーとしたが、7番を皮切りに5つのバーディを重ねて「66」。今季初の60台をマークし、首位と1打差の3位で滑り出した。
「いいパットも入ってくれたし、大きなミスはなかった。でもティショットがちょっと…」と、6アンダーのスコアにも表情は曇る。「きのう(練習日)本当によかったので。一晩寝たらこんなに変わっちゃうんだろうって感じです」。プロ38年目の大ベテランにとっても、ゴルフの難しさを改めて感じる一日でもあり、スコアだけで満足できない勝負師の表情を見せた。
1989年にプロテストに合格。93年「ジーン・サラゼン クラシック」でツアー初優勝を挙げると、レギュラー通算8勝を挙げ、2011年まで18年連続でシード権を保持した。16年から参戦するシニアツアーでは通算6勝を挙げ、9年連続シードを保持。ゴルフ界の王道を歩いてきた。
59歳になった昨季、賞金ランキング52位でシード権を手放した。「飛距離は落ちるし、信じられないミスも増えました。誰もが通る道ですけどね…。ここまでよくなったという気持ちもありますよ」と目を細める。
60歳を迎え、「なんか早いですね。今までの誕生日や50歳の時ともちょっと違う。何か感じますね」と不思議な感覚だという。改めて感じるのが偉大な先輩の存在だ。
「僕がシニア入りした頃は、倉本(昌弘)さん、室田(淳)さん、髙橋(勝成)さんとか、60歳くらいの人がすごく頑張っていました。あんな風になりたいと思っていましたが、最近はあの人たちは異常だったんだなっていうのがよく分かります」
鈴木が名前を挙げた3人は、いずれも60歳を過ぎてからも上位30人に付与される賞金シードを保持。室田にいたっては、60歳だった15年に自身4度目の賞金王に輝いた。鈴木がシニア入りした16年、17年もともに同3位とツアーの顔役を務めていた。
「自分がやってみると、そんな簡単なことじゃないですよ。この前、病院で初めて点滴を打ったり、検査をしましたよ」。鈴木はゴルフにも身体にも、変化を感じている。それでも今季は『生涯獲得賞金上位20人』の資格でフル参戦を続けている。
還暦を迎えても、まだまだ老け込むつもりはない。「シード復帰というより、やっぱり優勝したいですね。勝ちたいなーって思います。ただ、『優勝を狙います!』というガツガツ感は出さずに、穏やかにやっていきたいです」。
レギュラーツアー時代にはビッグスコアをたたき出して逆転優勝をするなど、“ボンバー”の愛称で親しまれていた。「ゴルフは年齢は関係ないですし、ハマればね…。でも壁はありますよ」。あくまでも謙虚にさりげなく。“異常な”3人の背中を追い続ける。(文・小髙拓)
