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実はバンカーが落とし穴? 例年のように“カタハヤ”グリーンで「センター狙い」が鉄則の埼玉決戦【大西翔太のSHOWTIME】

青木瀬令奈のコーチ兼キャディを務める大西翔太氏が、今大会の展望を占う。

所属 ALBA Net編集部
ALBA Net編集部 / ALBA Net

配信日時:2025年10月31日 08時00分

左から都玲華、西村優菜、河本結(撮影:米山聡明、福田文平)
左から都玲華、西村優菜、河本結(撮影:米山聡明、福田文平)

<樋口久子 三菱電機レディス 事前情報◇31日◇武蔵丘ゴルフコース(埼玉県)◇6690ヤード・パー72>

今週の国内女子ツアーは、1988年に始まり97年大会から世界ゴルフ殿堂入りを果たすレジェンドの名前が大会名に入った歴史ある一戦。今季も残り5試合となり、年間女王やシード権の行方が気になるところ。今週は渋野日向子と西村優菜の米国組が参戦する。今大会の動向を青木瀬令奈のコーチ兼キャディを務める大西翔太氏に占ってもらった。

【前夜祭フォト】都玲華さんの肩出しドレス

■伸ばせそうで伸ばせない“我慢”も欠かせない

1988年に埼玉県の嵐山CCで第1回大会が開催されて以降、たびたび舞台を移してきたが、2004年以降はほぼ毎年(11年~14年は森永高滝CC)武蔵丘GCで行われるお馴染みの大会。コースコンディションは例年通りきれいに仕上げられ、「今年も硬くて速い、“カタハヤ”グリーンです。スティンプメーターは12フィートぐらいで、コンパクションもバッチリ出ています」と大西氏。

特徴の1つである砲台グリーンも選手の頭を悩ませる。「グリーンは基本的に大きくないので、外した途端にボギーになりやすい。ピンが左に切ってあったら左に落としてはダメ、右に切ってあったら右に落としてはダメというのが顕著。ウェッジを持つ距離ならピンを狙うのもいいですが、ピン位置も振られるので基本はセンター狙いを徹底するのが得策です」。

ラフはそこまで深いわけではないが、スピン量が減るため“カタハヤ”グリーンに止めるのは難しい。フェアウェイをキープして、パーオン率を高くしてボギーを抑えることがスコアメイクのカギになる。

また、武蔵丘のバンカーは、「出てすぐのグリーン面が下り傾斜で、寄せるのが難しい位置に作られていて、ハザードとしての役割が大きい」ともともと難度が高いが、「場所によって、砂が硬いところとやわらかいところに差があるため、ホームランやダフリなど想定外の結果になる可能性があるので注意が必要です」と細かい情報も教えてくれた。

優勝スコア的にも「トータル8~12アンダー」と予想する。昨年は岩井千怜が大会記録を更新する16アンダーをマークしたが、過去5年で9アンダーが3回、11アンダーが1回。伸ばせそうだが伸ばしきれないことが多く、今年も“我慢”が求められそうだ。

■ショット力と“笑顔”を持つ選手が本命か

上位争いに期待がかかるのは「ショットメーカー」。最初に名前を挙げたのは西村優菜。今季の米国では20試合に出場して予選通過7回で、ポイントランキングは124位と苦戦したが、「先週の試合を見て、スイングも球質も本当によくなった」と復調を感じる。「マスターズGCレディス」は22位タイに終わったものの、初日「66」で佐久間朱莉と並んで首位タイで滑り出し、存在感を示した。

「西村選手にとって今大会は、2020年に初優勝を遂げた場所です。そのときも手前から攻めるマネジメントに徹していました。マネジメントと技術の伴った選手です。本人にも聞きましたが、調子は本当に上がってきていると。チャンスがある限り、いいチャレンジをしたいと話していたので、それが形になってきてスコアに表れています。先週の悔しさをバネに、今週は上位に来てくれるんじゃないかと思います」。

次に名前が挙がったのが河本結。今季、自身初の年間2勝を挙げ、メルセデス・ランキング(以下、MR)は3位につけている。「いまきれいなフェードボールを打っていて、とにかく球の方向性が安定しています。練習場で見ていてもそうだし、再現性が高い」とショットの安定感は抜群だ。

部門別データの平均パット数は、パーオンホールは2位、1ラウンド当たりは3位。3パット率も3位で、リカバリー率は1位。もともと定評のあるショートゲームとショット力がかみ合えば鬼に金棒。目標とする年間女王獲得に向けても、これ以上差を広げられたくない思いも強い。

そして最後に名前が挙がったのは、ルーキーの都麗華。QTランキングこそ53位だったが、リランキングで順位を上げて中盤戦以降の出場権を獲得し、ここまでトップ10入り4回を数え、MR48位と初シードも見える位置にいる。

「都選手は試合で一緒に回っていても、とにかくピンに向かっていく精度の高いアイアンショットが魅力的です。調子もいいようですし、本人もあとはパター次第というほどです」とショットメーカー向きのコースに合っているという。

そして何よりも難コースに向いているというのがメンタル面。「追い込まれれば追い込まれるほど強いプレイヤー。常に笑顔だし、ピンチのときほど笑顔のイメージがあります。こういうコースは下を向いた瞬間にボギーが止まらない傾向にあるので、常に笑顔で前を向きメンタルケアができている都選手にはマッチしていると思います」。佳境に入ったシード争いでも、難しいコースでも、持ち前のショット力と笑顔で乗り越えてくるだろうと予想する。

初日の夕方から雨予報も出ている。「グリーンがやわらかくなるため、ここは雨が降るとやさしくなる」とコースコンディションが変わった場合には、途端にスコアが出る可能性もあるともいう。シーズン終盤の埼玉決戦は、まずは“グリーンセンター狙い”が鉄則となりそうだ。

解説・大西翔太(おおにし・しょうた)/1992年6月20日生まれ。名門・水城高校ゴルフ部出身。2015年より青木瀬令奈のキャディ兼コーチを務める。16年にはキャディを務める傍らPGAティーチングプロ会員の資格を取得した。ゴルフをメジャースポーツにと日夜情熱を燃やしている。21年には澁澤莉絵留ともコーチ契約を結んだ。プロゴルファーの大西葵は実の妹。YouTube『大西翔太GOLFTV』も好評で、著書『軽く振ってきれいに飛ばす!! 飛距離アップの正解』が発売中。

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