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“遊び感覚”と徹底した“危機管理”で日本一に 史上5人目の快挙を遂げた賞金王のジュニア時代【高校ゴルフ部監督回顧録】

“遊び感覚”と徹底した“危機管理”で日本一に 史上5人目の快挙を遂げた賞金王のジュニア時代【高校ゴルフ部監督回顧録】

所属 ALBA Net編集部
小高 拓 / Hiromu Odaka

配信日時:2022年5月19日 13時10分

「理由を聞いてみると、『小さい頃から遊び感覚でゴルフをやっていたので、真剣に構えて打つと寄らないんです』って答えるんですよ」と、予想外の答えが返ってきた。実際、試合ではキュキュッとスピンをかけて止めるアプローチを平気で打っていたそうだ。グリーン周りは60度のウェッジ1本でこなし、ショートゲームの名手として知られる今平の原点は“遊び感覚”にあるようだ。

■安定した強さのヒミツは徹底したコースマネジメント

今平には驚かされることが多かった橋本氏だが、とりわけコースマネジメントは天才的だったと評する。「とにかく徹底していましたね。試合でドライバーショットが少しでも曲がってラフに入ると、もう次のホールからはドライバーを使わないんです。3番ウッドやアイアンでフェアウェイキープに徹していました」。高校生ぐらいの年代ならイケイケな選手が多い中、飛距離よりも方向性を重視して危機管理能力が高かった。

さらに、パー5のホールではほとんど第2打を刻んでいたとのこと。「今平が高1で出場した日本ジュニア最終日の話です。松山英樹君と高田聖斗君と最終組でラウンドしていたのですが、彼らはパー5の2打目をグリーン近くまで運ぶのに対して、今平は3打目を7番アイアンぐらいで打つんです。ほかの2人は3打目をウェッジで打つため、ピンそばに落ちてもバックスピンがかかって3メートルぐらい戻るんですよ。結局、今平の方が近くにつけていましたが、バックスピンがかからないことを計算して7番アイアンで打てる距離を残していたんでしょうね。本当に高1かと思いましたよ」。結局、3日間でトータル12アンダーと伸ばし、2位に4打差をつけて優勝している。

賞金王は年間通して安定した強さの証。トップ10入りの回数も多く、高値安定の強さのヒミツは、ジュニア時代から徹底したマネジメントがつながっているのだろう。ただ、そんな今平が、パー5で一度だけ2オンを狙ったことがある。同じ年に開催された全国大会の団体戦でのことだ。橋本氏から「最終ホールは全員2オンを狙ってバーディを取ってこい」と指示を受け、その指示通りに2オンに成功。2パットでバーディを奪い、団体戦優勝に貢献している。

ちなみに、普段感情をあまり外に出さない今平だが、寝坊して大会に遅れそうになり、橋本氏からカミナリを落とされたときは、さすがに顔が真っ青になっていたそうだ。

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