2024年から米国男子ツアーに本格参戦し、ツアー優勝を狙う久常涼。そのスイングを、プロコーチ・阿河徹が詳細に分析。アマチュアが参考にしたいポイントを解説してもらった。
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久常プロのスイングを見ていると、時代の変化がはっきりと見えてきます。80年代、90年代に活躍したグレッグ・ノーマンのような選手と、今のPGAツアープロたちを比べると、決定的な違いがあります。その差を一言で表すなら、「圧縮」という言葉になると思います。
90年代のスイングが古く見える理由はシンプルです。胸の中心とボールとの距離が遠いのです。グレッグ・ノーマンのような選手は、ボールから離れた位置でスイングしていました。それが、当時を象徴するスイングでした。
一方、今のトッププロたちは違います。ダウンスイングで胸の中心とボールとの距離をどんどん縮めていく。これが「圧縮」です。
久常プロのスイングを見ると、その圧縮の動きがとても明確に表れています。アドレスから前傾が深く、トップでもボールに近づき、ダウンスイングではさらにボールへ近づきながら圧縮していきます。
圧縮してボールとの距離が近づくほど、インパクトではハンドファーストの度合いが強くなります。それが打ち出し角を低くする要因です。ドライバーではネガティブに聞こえるかもしれませんが、世界のトッププロはドライバーでも打ち出し角を抑え、その弾道でボールをコントロールしているように感じます。
体のエネルギーをボールへ伝えるという観点から考えれば、圧縮こそが最も効率的な方法です。薪割りやスイカ割りでも、対象物から離れた位置で振るより、対象物へ向かって圧縮しながら当てる方が、はるかに力が伝わります。ゴルフも同じです。
久常プロのスイングを見ていると、最近はシャットフェースの選手がほとんどいないことにも気付かされます。圧縮しながらダウンスイングすると、左手首は掌屈し、フェースを閉じる方向へ動きます。トップですでにシャットフェースだと、インパクトでは必要以上にフェースが閉じてしまいます。
そのため、クラブをややウィーク気味に握り、トップでもスクエアからややオープンに使うのが現在のトレンドになっています。だからこそ、久常プロのスイングは飛距離と方向性を高いレベルで両立できているのだと思います。
■久常涼
ひさつね・りょう/2002年生まれ。岡山県出身。23年9月の「カズー・フランスオープン」で、欧州ツアー初優勝。24年から米国男子ツアーに本格参戦。今季は4度のトップ10入りを記録。SBSホールディングス所属
■解説:阿河 徹
あが・とおる/1976年生まれ。藤本佳則や塩見好輝ら数多くのツアープロを指導。現在は東京都の井山ゴルフ練習場でアマチュア向けのレッスンを行っている。古今東西のスタープレーヤーのスイングに精通するレッスンプロ