ALBA Net  ゴルフ
ALBA Net  ゴルフ

ただいま増加中! “鋳造”でなく“鍛造”ウェッジを選ぶメリットとは何だ?【最新モデル試打】

これまでウェッジと言えば、定番モデルのボーケイ『SM10』を始め、「鋳造」で作られることが多かった。しかし最近では「鍛造」で作られたウェッジがどんどん増えている。多くのメーカーが「鍛造ウェッジ」に移行するのはなぜなのか? そしてクラブとしてどんなメリットがあるのか取材した。

所属 ALBA Net編集部
ALBA Net編集部 / ALBA Net

配信日時:2025年11月10日 11時00分

最近流行しつつある鍛造ウェッジ
最近流行しつつある鍛造ウェッジ

これまでウェッジと言えば、定番モデルのボーケイ『SM10』を始め、「鋳造」で作られることが多かった。しかし最近では「鍛造」で作られたウェッジがどんどん増えている。多くのメーカーが「鍛造ウェッジ」に移行するのはなぜなのか?そしてクラブとしてどんなメリットがあるのか取材した。

【写真】『ボーケイ』『クリーブランド』ら人気鍛造ウェッジのスピン性能を大公開!
鍛造は軟鉄のウェッジを作る上でメリットが多い
鍛造ではデジタルデータを基に機械加工で成型用の「金型」を作れるようになったことで、ヘッド作りの精度が飛躍的にアップ。素材に軟鉄を使用するウェッジで
は、「鋳造」よりも材質の均一性が高く、精度の高いヘッドが作れる製法となっている
ウェッジの製造工程。金属を成型した後の工程は鍛造も、鋳造も共通だ。しかし、①の工程で出来上がるヘッドの精度が鍛造の方が高くなるので、結果として研磨や機械加工の自由度も上がり、高性能なウェッジを作ることができる
一般的に「鍛造」よりも複雑な形状のヘッドを作れるといわれる「鋳造」だが、それはステンレスなど、強度の高い素材の話。軟鉄を使うことの多いウェッジでは「鋳造」に不向きな材質の特性により、精度が下がりやすく、研磨や機械加工の工程が増える
製法の違うウェッジを打ち比べてみると、ソフトで心地良いという意味では「鋳造」のものもハイレベルだった。「特に軟らかいディスタンス系ボールを打ったときの違いが顕著で、『鍛造ウェッジ』の方が打点がどこかハッキリと感じ取ることができました」(筒)
1 / 7
鍛造は軟鉄のウェッジを作る上でメリットが多い

アイアンでは定番の製法である「鍛造」だが、ウェッジでは今まで一部のモデルだけに採用されていた。しかし最近では多くのメーカーが『鍛造ウェッジ』の製造に力を入れている。その理由は何か。

「打感が良くなるという理由もありますが、それ以上に大きいのが金属をヘッドの形に成型したときの精度です。強度の低い軟鉄に限った話になりますが、鋳造よりも鍛造の方がヘッドのバラつきが小さくなりますし、鍛造工程の中でスコアラインの溝を入れることもできます。ウェッジ作りではルールに適合した溝を入れる必要があり、成型後の機械加工が必須となっています。精度の高いヘッドであれば削る量を少なくでき、完成品の精度を高めることができるわけです」(クラブデザイナー松吉宗之氏)

多くのメーカーがウェッジ作りで「鍛造」を採用する理由は、心地良い打感が得られることはもちろん、フェースや溝の精度が上がり、激スピンのかかるウェッジも作りやすくなるからだ。

ギアコーチの筒康博はインパクト時の打点の感じやすさに違いがあると話す。

「鍛造は金属組織が密になる分、打点のフィードバックが強くなります。ツアー系ボールと相性が良いことはもちろん、軟らかく打感がぼやけやすいディスタンス系ボールでも打点がハッキリ分かります。アプローチの上達を考えても、『鍛造ウェッジ』の性質は有利ですね」

また、『鍛造ウェッジ』の打ち比べを行うと、モデルごとに打感やアプローチの飛び方が細かく調整されていた。

「アプローチでは振るスピードとボール初速が同じで1:1になるのが理想で、距離感が合いやすくなります。インパクトのエネルギーを打ち出し高さやスピンに変換するモデルもあれば、フェースの反発を抑えて1:1を実現しているモデルもあります。それぞれ打感も打ちやすいアプローチの弾道にも違いが出ますので、打ち出し角やスピンのデータを参考に最適な『鍛造ウェッジ』を探してみてください」

【試打リスト】
テーラーメイド:MG プロト 58度SCグラインド
ミズノ:ミズノプロ T-1 58度Vグラインド
タイトリスト:ボーケイフォージド 58度Bグラインド
フォーティーン:FR-5 58度
ダンロップ:クリーブランド RTX ディープフォージド2 58度
キャロウェイ:OPUS SP 58度Sグラインド

■解説 松吉宗之
まつよし・むねゆき/1997年からフォーティーンのクラブ開発に携わり、数々の名器を世に送り出す。2018年から自身のオリジナルブランド「ジューシー」を立ち上げる。ギア開発の裏側を知り尽くすクラブデザイナー

■解説 筒 康博
つつ・やすひろ/過去の名器から最新クラブまで、豊富過ぎる知識を持つ通称“ ギアコーチ”。インドアゴルフレンジKz亀戸店でヘッドコーチとして、日々アマチュアの悩みに応えている

◇ ◇ ◇

河本のギアを調査。関連記事『“ギア女子”河本結 アイアンの鉛の貼り方は番手ごとで全然違う! 58度だけシャフトが『モーダス3』の理由とは?』を読めば、その秘密がわかる。

【写真】『ボーケイ』『クリーブランド』ら人気鍛造ウェッジのスピン性能を大公開!

読まれています


おすすめコンテンツ

関連サイト