ピンの6モデル、どう選べばいい?
ピンのドライバーは選びやすい。「MAX」「SFT」「LST」「K」の特徴もゴルファーに浸透し、「HL(ハイローンチ)」のコンセプトも明確だ。一方、アイアンは『G740』『G440』『i540』『i240』『ブループリントS』『ブループリントT』の6モデルがあるが、自分に合ったアイアンはどうやって選べばいいのか?
今回は「最大効率スイング(サイコースイング)」でお馴染みのPGAティーチングプロ・菅原大地とピンフィッティングスペシャリストの藤川清幸さんに、“最も効率的”にアイアンを選ぶ方法を教えてもらった。
実は菅原もピンのアイアンを使っていたという。
「以前、私も『i210』を使っていたことがあるのですが、それ以降モデル数が増えたことで、アイアン選びに悩んでしまう人が多かったかもしれません」(菅原)
長年、フィッティングをしてきた藤川さんによるとプロゴルファーもモデルを変えているそうだ。
「昔からピンのアイアンを使っていた女子プロでも『i210』『i230』から『ブループリントS』にスイッチする選手がすごくたくさんいました。また最近はコンボセットにする選手が多い。数年前とはアイアンのターゲット層が少し変化をしているので、今日はそのあたりをお伝えできればと思います」(藤川)
まずは菅原に6モデルの最新アイアンを打ってもらった。最初は最新モデルの『G740』から。
飛ぶだけでなく止まる!『G740』
菅原 このアイアンはコースでも打ちましたが、ただ飛ぶだけではなくて、ちゃんと上がるし、スピンが入る。トラックマンで計測すると7番アイアンでバックスピン量が5000回転を超えているのにキャリーが170ヤードを超える。スピンも入っているのに前に飛ぶのがすごい。
なぜ、飛距離性能が高いのに打球が上がるのか?
藤川 『G740』はピンのアイアンの中で最も飛距離性能が高く、最もやさしいモデルです。ただし、飛ぶだけではなくて、止まるアイアンを目指して開発されたアイアンです。ロフト角も前作『G730』の7番アイアンは26.5度でしたが、『G740』は28度。重心を低くしていることも高さにつながっています。
菅原は打感やデザインも今までになかったと語る。
菅原 従来の飛び系アイアンとは打感が全く違います。弾き系の硬い感覚ではなく、むしろ柔らかい。モチっとしたフィーリングです。それとブラック仕上げなのもカッコイイ。今までの飛び系アイアンはボッテリ系が多かったので、シャープな雰囲気は斬新です。
打感についてはモデルチェンジのたびに改善している。
藤川 打感の良さにつながっているのが「ピュアフレックス」のバッジです。最近のピンはバッジでの振動吸収や打球音を改良しながら、アイアンをアップデートしています。
『G740』のターゲットゴルファーは?
菅原 スコアとしては100を切ったことがあるレベルで、90切りを目指している人には本当に助けてくれるアイアンになるでしょう。しっかりスピンが入ることによって弾道や距離感が合わせやすいので、飛距離性能の高さがスコアアップに直結します。今まで飛び系アイアンに興味があったけど、打感・弾道・デザインで敬遠していた人にもオススメしたいです。
G740
●SPEC
ヘッド素材/17-4ステンレススチール
仕上げ/ブラックPVD仕上げ
製法/鋳造
ロフト角(7I)/28度
シャフト/ALTA J CB BLUEなど
価格/3万1900円〜(1本)
やさしさと直進性なら『G440』
次に打ってもらったのが『G440』。
菅原 とにかく“やさしくて、曲がらない”。ドライバーの『G440』を打ったときの印象に近いです。『G740』は飛距離・高さが印象的でしたが、『G440』はやさしさ・直進性。ただし、『G440』でも十分に飛距離は出るし、高い球が打てます。10点満点で評価するなら『G440』の飛距離と高さが10点で、『G740』はそれ以上という感じです。
藤川 ピンのアイアンで一番ターゲット層が広いモデルです。その中でもモデルチェンジをするたびに少しずつシャープな形状にしつつ打感を良くしています。
『G440』はどんなゴルファーにオススメ?
菅原 アイアンで打球が曲がる人は『G440』にすると大幅にセカンドショットの精度が良くなると思います。決して初心者やアベレージゴルファーだけのアイアンではなく、80台のゴルファーでも問題なく使えるレベルの打感と振りやすさを兼ね備えています。
G440
●SPEC
ヘッド素材/ハイパー17-4ステンレススチール
仕上げ/ハイドロパールクローム仕上げ
製法/鋳造
ロフト角(7I)/29度
シャフト/ALTA J CB BLUEなど
価格/2万9700円〜(1本)
飛距離と操作性を兼ね備えた『i540』
続いては『i540』。『iシリーズ』というツアーモデルのカテゴリーに入る飛び系アイアンだ。
菅原 『Gシリーズ』 とは顔が変わってきて、グースが減ってストレートに近くなった。かなりシャープに見えます。たしかに飛距離性能は高いのですが、『G740』 、『G440』と比較すると、操作性が高くて、自分で弾道をコントロールできる。操作性がありつつも寛容性があるのが特徴です。
中空アイアンだが、打感はどうだったのか?
菅原 今までの中空アイアンとは全く違います。柔らかさがあって、スイートスポットを外したときでも嫌な感触がありません。
打感にはどんな秘密がある?
藤川 『i540』は昨年発売した『iDi』と同じインナーエアーテクノロジーを搭載しています。ヘッド内部には空気を閉じ込めた小さいバッグが入っていて、インパクト時の余計な振動を抑えてくれる。それが打感の良さにつながっています。
『i540』はどんなゴルファーに合っているのか?
菅原 バリバリのアスリートゴルファーというよりは、セミアスリートや中級者で「もうちょっとアイアンの飛距離が欲しい」と思っている人にピッタリです。そういうゴルファーが求める操作性がありつつ寛容性も残っている。安定して80台を出しつつ、70代を目指したいゴルファーにオススメ。顔・打感は中・上級者でも使えるレベルです。
藤川 今、上原彩子選手、前田陽子選手も『i540』を使用していて、ツアープロでも使える打感になったと思います。
i540
●SPEC
ヘッド素材/マレージング鋼C300(フェース)、17-4ステンレススチール(ボディ)
仕上げ/ハイドロパールクローム仕上げ
製法/鋳造
ロフト角(7I)/29度
シャフト/N.S.PRO 950GH neoなど
価格/3万9600円〜(1本)
シャープだけどやさしいモデル『i240』
4本目は『i240』。かつて菅原大地が使っていた『i210』の後継モデルだ。
菅原 『i240』になると打球をコントロールできる感覚がどんどん出てくるので、技術レベルが高い人ほど楽しい。形状もかなりシャープ。私はそれほど打ち込むタイプではありませんが、このソールはダウンブローに打ち込んでも跳ねすぎないので抜け感がいい。ツアーモデルのアイアンだと思うのですが、一般的なツアーアイアンに比べるとかなり寛容性は高いです。
『i240』の寛容性について藤川は?
藤川 今回の『i240』は形状・サイズ感はコンパクトなツアーアイアンですが、寛容性・慣性モーメントの数字は一般的な大型ポケットキャビティと同じくらいあります。バックフェースにあるカーボンもただのデザインではなくて慣性モーメントを高めることにつながっています。
『i210』を使っていた菅原が驚いたのが打感だった。
菅原 「i210」はもう少しカチッとした手応えのある打感でしたが、「i240」は軟鉄鍛造のアイアンを打っているような柔らかさがある。もし説明してもらわなかったら軟鉄鍛造アイアンだと思っていました。
藤川 フィッティングしていても、打感から軟鉄鍛造だと思う人が多いです。
「i240」のターゲットは?
菅原 「i210」よりターゲット層は広がっていて、70台のゴルファーはもちろんですが、80、90台のゴルファーでも使える。100を切るレベルのスイングであれば、十分につかいこなせるアイアンです。さらに上のレベルを目指す人に使ってほしい。使いながら上達できるアイアンだと思います。
i240
●SPEC
ヘッド素材/431ステンレススチール
仕上げ/ハイドロパールクローム仕上げ
製法/鋳造
ロフト角(7I)/31.5度
シャフト/N.S.PRO 950GH neoなど
価格/3万1900円〜(1本)
国内女子ツアーで人気!『ブループリントS』
最後は『ブループリントシリーズ』。発売から2年が経過しているのに売れ続けている『ブループリントS』の特徴は?
菅原 『iシリーズ』と比較すると顔がシャープになっていて、フェースをスクエアにセットしやすい。良い意味で打感の繊細さが違います。ヒールヒットしたときには、ヒールヒットの打感・打球になって、球筋もフェード系。『Gシリーズ』『iシリーズ』のような直進的なボールにはならない。ただし、決して難しいわけではなく、『i210』を使っていた人であれば十分に使いこなせるアイアンです。
藤川 2019年にピン初のマッスルバックアイアンとして登場したのが初代『ブループリント』でした。初代はヘッドサイズが小さいマッスルバックアイアンでしたが、2024年モデルの『ブループリントS』はハーフキャビティ構造にしたことでターゲット層が広がった。女子ツアーでもたくさんの選手が使っています。
『i240』と『ブループリントS』の違いは?
菅原 ターゲット層は近い。どちらも70、80台ゴルファーが使えるアイアンですが、『i240』の方がキャリーが3、4ヤードくらい飛びます。逆に『ブループリントS』はスピン量が6000回転を超えている。その違いを基準に選ぶのが良いかと思います
ブループリントS
●SPEC
ヘッド素材/8620カーボンスチール
仕上げ/ハイドロパールクローム仕上げ
製法/鍛造
ロフト角(7I)/33度
シャフト/N.S.PRO MODUS³ TOUR 120など
価格/3万6300円〜(1本)
精密なショットが打てる『ブループリント T』
マッスルバックの『ブループリントT』は?
菅原 ピンのアイアンはどのモデルにも、それぞれのターゲットに合わせた寛容性があったのですが、唯一それがないのが『ブループリントT』です。このアイアンは70台で回るシングルゴルファーじゃないと使いこなすのは難しい。かなり芯は狭いです。
どんなゴルファーが『ブループリント T』を購入するのか?
藤川 フィッティングをしていても『ブループリントT』だけでセットを揃える人は少ない。ただし、『ブループリントS』と『ブループリントT』のコンボセットにする人はいます。ピンのアイアンは1本ずつ購入できるのでコンボセットも組みやすいと思います。
菅原 たしかにコンボならアリ。5番から8番アイアンまでを『ブループリント S』にして、9番からPWを『ブループリント T』にすれば80台ゴルファーでも使えるセットになると思います。
ブループリントT
●SPEC
ヘッド素材/8620カーボンスチール
仕上げ/ハイドロパールクローム仕上げ
製法/鍛造
ロフト角(7I)/33度
シャフト/N.S.PRO MODUS³ TOUR 120など
価格/3万6300円〜(1本)
ピンのアイアンを最大効率で選ぶには?
ここまでピンの6モデルを打ってきた菅原に全体的な印象を聞いた。
菅原 6モデル打ち比べてわかったことはモデルによって性能がはっきりと違っていることです。トラックマンの弾道データも違いましたし、打感、形状、フェースプログレッションも全く違います。7番アイアンのキャリーだけでも160ヤードから174ヤードまで、スピン量も5000回転から6500回転までの差がありました。
どうやってアイアンを選べばいいのか?
菅原 6モデルありますが、まずは『Gシリーズ』か『iシリーズ』か『ブループリントシリーズ』なのかの3択です。アイアンに助けてほしいなら寛容性が高い『G』、操作性と寛容性のバランスを重視するなら『i』、そして打感と操作性を極めるなら『ブループリント』。その3択を選んだ上で飛距離重視なら「G740」や「i540」。「ブループリント」は打感を重視するなら「T」で、わずかな安心感がほしいなら「S」です。
最後に菅原が最大効率でピンのアイアンを選ぶ道を教えてくれた。
菅原 正直に言うと、私も今日はピンのフィッターの方に説明を受けながら打たせてもらったので、アイアンの特性がわかりやすかったですね。だから、最も効率的なのはピンの認定フィッターがいるお店でフィッティングしてもらうことだと思います。1本からでも購入できてコンボも組みやすいですし、フィッティングすることでさらに自分に合ったモデルが選べると思います。
8月末週に開催された「ニトリレディスゴルフトーナメント」ではピン契約の佐久間朱莉がツアー通算6勝目を挙げたが、佐久間の使用アイアンは4番が 『i240』で6番からが『 ブループリント T』となっている。コンボでアイアンを組みたい人は、ぜひ下記の表を参考にしながら、フィッターに相談してみて欲しい。
佐久間プロのコンボアイアンについてもっと詳しく知りたい方はコチラ
ピンのアイアンについてもっと詳しく知りたい方はコチラへ
構成・文/野中真一 写真/田中宏幸 撮影協力/DAICHゴルフスタジオ