――「バンカーではフェースを開いて、オープンスタンスでカットに振る」。我々はプロや上手い人の教えを忠実に守ってウェッジを使ってきた。だが、本当に打ちやすいと言えるだろうか? 砂に負けて大ダフリ、嫌がってホームラン…。そんな恐怖とミスの無限ループにオサラバできると噂のフォーティーン『FR-3』ウェッジを編集部3人で調査すると、予想だにしない“大事件”が巻き起こることに――
「最近調子が悪くて、前回はアプローチもダメダメで【105】でした……。とにかく基本バンカーも大の苦手で、無理ゲー度は100%(笑)。私、身長は高いのに腕がか細く非力でして……。目玉や硬い砂なんてお手上げです。でも、私のようなアベレージにも昔から優しいイメージがある、フォーティーンさんには少し期待する自分もいるかも……」
■なぜ「スクエア」で出る? 秘密は前と後ろの“ダブルのバウンス”
正直に恥部を明かすのは、万年アベレージ100前後の、編集部【カトウ】だ。カトウの試打を見ると、プロの教え通りフェースを大きく開き、左に球を置いてカットに振ろうとする。だが、最下点が恐ろしく手前……。そのため「ダフって跳ね返され、刃に当たってホームラン」か「ザックリで出ない」を連発していた。
これを見たフォーティーンの長谷川楓弥氏は、「難しいことをやらなくても大丈夫ですよ」と、カトウに対して「もっと道具に頼ってもいい」と優しく促す。
「アマチュアの方が無理にフェースを開いてカットに振ろうとすると、打点がブレて球がフェースに乗らなくなりがちです。『FR-3』ならフェースを開く必要は一切ありません。スクエアに構えて普通に振るだけでいいんです。その秘密が、この独自の新しい『キャニオンソール』にあります」(長谷川氏)
長谷川氏が明かしたのは『FR-3』ウェッジに施された、特殊な【二段ソール】の実力だった。その形状は他社にはない唯一無二。前作『DJ-6』よりさらに溝の幅などが最適化されていた。
「ヘッドが入っていく『フロントソール(入口)』はローバウンス設計になっていて、フェースを開かなくても砂や芝にスッとスムーズに入り込んでくれます。そして、入り込んだ後に『バックソール(出口)』のハイバウンスが効いて、砂を爆発させて自動的に球を押し出してくれる。この“ダブルの仕掛け”があるから、開かずにスクエアで振るだけで勝手にバンカーから脱出できるんですよ」(長谷川氏)
■「無理ゲー度100%」の目玉・硬い砂からナイスアウト連発!
説明を聞いても、頑固なミスがデフォルトの彼が納得するはずがない。元々深い眉間のシワがさらに深まり、疑心暗鬼を絵に描いたような表情。「またぁ~、本当ですかァ~?」と半信半疑のままカトウが長谷川氏の言う通り「スクエア&右足寄り」にセットして振ってみると――。
「パンッ!」と心地よい音と砂煙とともに、ボールは少し強めに飛び出して、ピン傍へ転がった。自分の球位置や打ち方では跳ね返されていた「苦手な硬めの砂のバンカー」だったため、驚きはかなり大きそう。
「えっ……出た!? しかも、めちゃくちゃ綺麗に出せた!こんなに右足寄りに置いて、フェースもスクエアなのに出るんですね……。ちょっと低めだけど、距離が出やすいから確実に一発で脱出できる感じですね」(カトウ)
ここで見届け人の記者が、カトウに少々意地悪をした。あまりに急に上手く出せるようになったため、より難易度の高い状況(目玉+コンクリート状態)の「無理ゲー」ライを要求して、調子に乗るカトウを困らせようと企んだ。
だが、入口のローバウンスでスッと刃が入り、出口のハイバウンスが効くせいか、記者の仕掛けた罠がまさかの不発……。「埋めた目玉」からでも、ホームラン必至の「砂を極限までどけたカチカチライ」からでも、カトウはスクエアに構えたアプローチ的なシンプルな打ち方で、ポンポン「無理ゲー」ライを脱出していく。
「グースネックって、先調子シャフトと同じで、アマチュアからは『左に引っかかるのでは?』と敬遠されがちですが、それは言葉の思い込みというか誤解です。ヘッドスピードがゆっくりなゴルファーほど、グースがあることでハンドファーストに導かれ、球を勝手に運んでくれる。アスリート向けのモデル(FRZなど)は繊細な操作性が求められますが、『FR-3』はキャニオンソールとグースの相乗効果で、誰が振っても勝手にスピンをかけて前に押し出してくれます」(長谷川氏)
最初は緊張と不安か、キャニオンソールより遥かに深い眉間のシワを刻んでいたカトウも、『FR-3』のあまりのやさしさに「これ、力みが完全に抜ける!」「私、バンカーでもイケるじゃん!」と急にノリノリで、アゴ近の苦手な左足上がりを難なく決めてドヤ顔を決める始末だ。(カッコつけてポーズまで取ってくる)
念のため、記者も無理ゲーライから入念にチェックしたが、カトウと同様に簡単に出せた。そして、カトウの覚醒にショックを受けたのは、記者だけではない。編集部内でも腕利きとして知られる若手の編集部【スギ】もその一人だ。上級者ならではの厳しい目で『FR-3』を構え、芝やバンカーから試打を行うと、その性能に目を見張っていた。
■上手な若手・スギも唸る「見た目はシャープなのにやさしい」
「カトウさんを見て半信半疑でしたが、自分で打って納得しました。この手の“やさしいウェッジ”って、構えた時に顔がボテッとして違和感があるものが多いのに『FR-3』はすっきり顔ですごく構えやすい。なのに、少しカット目に入れても、スクエアに入れても、ソールが滑って全部同じようにコンタクトしてくれるんです。ちょっと出球は強めですけど、ラクに距離が出せますね」(編集部スギ)
上級者スギの指摘通り『FR-3』は見た目のスマートさと圧倒的なオートマ性能を両立していた。だが、本当のドラマはここからだった。「テストはバンカーだけでもいいんですかね?」と記者が聞くも、長谷川氏は「ええ、アプローチはバンカーをクリアすればどうとでもなりますので」と、即答。他のメーカーでは芝から主にウェッジフィッティングを行うため、拍子抜けの返答だった。
■【事件】バンカーどころか、チップイン2発!?
もちろん、今回は「バンカー脱出」がテーマなので従ったが、事件が起きる。カトウが『FR-3』でアプローチを打ち始めると、吸い込まれるようにカップへ向かい、まさかのチップイン!「マグレだろ…」「カトウさんのくせに有り得ない…」とざわめく編集部やカメラマンほか周囲の反応を余所に、数球後、なんと2度目のチップインを決めるカトウ。その他の球も、30ヤード以内で約20球中15球以上がビタビタに寄った。
これには、普段イジり倒してきた記者も言葉を失い、完全にお手上げ。急に上手くなり過ぎたカトウに対してではなく、覚醒させたフォーティーン・長谷川氏を少し恨む気持ちすら湧いてきた。ただ、同時に新説を教えてくれた感謝の念も抱く。
「あのカトウさんが、距離感ビタビタで、チップイン2回って…。正直、同僚としてはかなり微妙で『急に上達されると困る』のが本音ですが、アベレージ向けのウェッジ選びの“新説”を見た気がします。難しいバンカーで得た自信って、アプローチも激変させる威力があるんですね…。プロや上級者側の理論ばかり聞いてきたから、完全に目から鱗です」(記者)
なぜ、これほど「アプローチも」劇的に改善できたのか? カトウ本人はこう分析していた。
「今まではバンカーと芝で構えも打ち方も変えて混乱してましたけど、私はけっこうインに引いてしまうタイプだったよう。だから、『FR-3』を使ってバンカーも芝も『ボールを右足寄りに置いて、スクエアに構えて打ち込むだけ』で全部解決する感じになりましたね。キャニオンソールでダフリの恐怖もゼロだから、距離感だけに集中できて、アプローチの苦手意識が消えました。今からラウンドしたら上手く行けば、前回より20打は軽く縮められそうです」(カトウ)
■潜在能力を引き出す「魔法の1本」?
ショップに行くと、プロが使うカッコいい小ぶりなモノや、いかにも「初心者用」と分かる超ワイドソールが並ぶ。が、アベレージ層が本当に選ぶべきは「見た目はスマートでも、ダブルバウンスで打ち方をシンプルにし、第一にバンカーのミスを消しやすいモノ」ではないだろうか。
苦手なバンカーどころか、カトウのアプローチまで劇的改善させたフォーティーン『FR-3』。「今日から得意クラブはウェッジです。潜在能力を解放しましたから。今までは本気出してなかっただけです」とチップインを狙い、練習をやめないカトウ。万年100叩きだった彼が、どうやら本当に覚醒してしまったようだ。(彼を眩しいと感じた自分を本気で殴りたい…)
✽撮影/山代厚男
✽取材協力・森永高滝カントリー倶楽部
✽フォーティーン(https://www.fourteen.jp/)