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「本当に関係ない、過去のこと」 世界に挑戦する比嘉一貴が“賞金王”の肩書きに思うこと

比嘉一貴が『賞金王』の肩書きについて語った。

所属 ALBA Net編集部
笠井 あかり / Akari Kasai

配信日時:2023年5月24日 08時30分

昨年はメジャーを含む国内ツアー4勝を挙げて、賞金ランキング1位に立った比嘉一貴。その資格で今季はDPワールド(欧州)ツアーを主戦場にし、さらには米国男子ツアー、アジアンツアーにも出場しているが、そのなかで気づいたことがある。

「僕が賞金王だって誰も分からない。注目されるのは日本だけでのことだと思う。(賞金王が)本当に関係ない、過去のことだっていうのが、僕のなかでもわかる」

海外では、比嘉が日本ツアーの賞金王ということがほとんどといっていいほど知られていない。実際に米ツアー、欧州ツアーのプロフィールを見ても、そこには“賞金王”の文字は書かれていない。比嘉が戦っているフィールドは、それ以上の肩書きを持つ選手であふれていて、日本人プレーヤーのひとりに過ぎないのだ。ちなみに、米ツアー、欧州ツアーの昨年の年間王者はローリー・マキロイ(北アイルランド)とジョン・ラーム(スペイン)だったが、それは“常識”としてもちろん知られている。

自身のメジャー3試合目となった「全米プロゴルフ選手権」で初めて決勝ラウンド進出を決め、現地テレビリポーターを務めた米ツアー1勝の今田竜二から『日本の賞金王として意地ある素晴らしいゴルフを期待しています』とエールが送られたときも、比嘉は少し複雑そうな表情を見せた。「そう言われると心がキュッとしますが…(笑)」。米ツアーでも活躍した先輩から期待を寄せられたことに苦笑いを浮かべる一方で、賞金王という呼び名とそれに伴うプレッシャーは、海外では不必要な存在ともいう。

「(日本の)応援してくれる方がみたらそう思うかもしれない。でもこっちの人は、日本人の成績が落ちたからといって、賞金王が落ちたとは思わないし、それすら知らない。だから日本でやるほうがプレッシャーがあるし、そういう風に見られるんだろうなと思います」

決勝ラウンドでは大きく後退し、76位の最下位に終わったが、比嘉は前向きだった。「順位というよりは“今この状況で何ができるか”をずっと試していた。またどこかで、こういうタフな状況のときに経験が生かせるように。成績は振るわなかったけど、それ以上にいい収穫ができた」。

次戦は日本ツアー出場を予定していたが、6月1日開幕の米国男子ツアー「メモリアル・トーナメント」に推薦出場できる見込み。7月の海外メジャー「全英オープン」の出場権も、すでに手にしている。日本の賞金王は、ひとりのチャレンジャーとして、これからも世界で戦い続けていく。(文・笠井あかり)

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