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“絶望”の悔し涙は“歓喜”のうれし涙へ 六車日那乃は5度目でつかんだ合格に「…泣いちゃダメですよね?」 

5度目のプロテストで合格を果たした六車日那乃が最終日を振り返った。

所属 ALBA Net編集部
間宮 輝憲 / Terunori Mamiya

配信日時:2024年11月2日 08時00分

5度目のプロテストで合格を果たした六車日那乃
5度目のプロテストで合格を果たした六車日那乃 (撮影:福田文平)

<JLPGA最終プロテスト 最終日◇1日◇大洗ゴルフ倶楽部(茨城県)◇6602ヤード・パー72>

ラウンドを終え、アテスト(スコア申告)に現れた時、六車日那乃は悔し涙をこらえることができなかった。最終18番でボギーを叩き、その時、合格圏内と認識していたトータル3オーバーからトータル4オーバーにスコアを落としたからだ。

ネコちゃんを抱えて喜ぶ吉田鈴【写真】

「終わったな、って。また1年を無駄にしちゃったって感じました」

最後のパーパットを外した瞬間の気持ちについては、こう振り返る。しかし、その後、この絶望の淵から這い上がることになる。奇しくも、この六車のボギーによりボーダーラインがトータル4オーバーまで下がることに。結果的に19位タイで、長かったプロテストに終止符を打った。合格が確定すると、報道陣の前でホッとしたように心境を明かす。「よかったという気持ちと…。泣いちゃダメですよね? よかったという気持ちと、ほんとうにいろんな人にありがとうという気持ちがあります」。今度はうれし涙で、声を詰まらせた。

3日目を終え、18位タイ。合格圏内で迎えた最終日だったが「74」とスコアを落とすことになった。「絶対にやってやろうという気持ちでスタートしました。思うようにはいかなかったけど、悪い流れが続いても最後まで頑張ろうと思っていました」。そんな諦めない姿勢が、天に届いたような“逆転劇”だった。

プロテスト受験は、これが5度目。初めての挑戦は、コロナ禍で21年の開催に延期となった20年度だ。ナショナルチームメンバーの一員で、プロツアーでも優勝争いを繰り広げる注目アマのひとりだったが、63位で失敗。その後も挑戦を続けるが、合格には手が届かなかった。

「1回目のプロテストに落ちた後は、(クラブを)振るのも怖かった。そこから普通に打てるようになるまでは大変でした」。つらかった日々を思い出すと、また涙声に変わる。これまでもプロテストの会場で何度も流した涙。しかし、ようやくスタートラインに立つことができた。成長を感じる部分について聞かれると、「人に頼らなくなったところ」と答える。「自分のことなのに人に頼っていたところがありました。スイングのことはコーチに相談すればよくなるから、と思っていたり」。メンタルの成熟が、“あと一歩”を乗り越える要因にもなった。

思い描く未来は、「上田桃子さんのようなトッププロになっていきたい」。同じ辻村明志コーチの指導を受ける姉弟子が目標だ。プロとしての第一歩は“悔し涙のちうれし涙”となった。ここからはたくさんのよろこびを、プロの舞台で感じていきたい。(文・間宮輝憲)

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