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苦節乗り越え世界に認められた渋野日向子 コーチとの1年半を振り返る【記者の目】

苦節乗り越え世界に認められた渋野日向子 コーチとの1年半を振り返る【記者の目】

所属 ALBA Net編集部
高桑 均 / Hitoshi Takakuwa

配信日時:2019年8月8日 16時03分

「このドリルが生きているのかな」と、パットでの集中力アップが成績向上につながっているが、そんな大事なドリルの最中に、青木コーチが渋野を紹介してくれた。そのときからケラケラとよく笑う選手で、緊張感があるとは思えない様子だった。こちらが勝手に思っていたクールなイメージとは違って、明るくよく話す選手だということが分かった。翌日は進路が決まる大事な1日。そんなプレッシャーを感じさせない会話を交わしたのを覚えている。

合格者は上位20位タイまで。3日間を終えた渋野は21位タイだった。そんな状況でも、こちらの「クール」な思い込みに対して、「んなわけない!」と爆笑してくれた。「そんなに緊張していなかった」という最終日に「68」をマークして、14位タイまで浮上。リベンジを果たし、ここでも満開の笑顔を見せていたのをよく覚えている。

それから再会を果たしたのが、3月の「ヨコハマタイヤPRGRレディス」。プロ入り後、レギュラーツアー初出場大会で、2日目を終えて5位タイ。いきなり優勝争いに食い込んだ。その渋野のプレーを見ようと最終日前半のプレーについた。ルーキーのプレーは見事だった。ボギーが先行したが、その後3バーディを奪った。後半こそ3ボギーで崩れたが、初の優勝争いでも笑顔を見せていた。

その後は初日最下位からのカムバック、川奈での優勝争い、そして「ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップ」で優勝。一気に階段を駆け上がった。サロンパス優勝の夜、渋野は大会近隣のレストランで父の悟さんと青木コーチと一緒に、静かに食事をとっていた。「静かに生きていきたいんです」と、全英で何度も話していた渋野。初優勝を果たし、世間がすでにフィーバーの始まりを感じていたときも、渋野自身は何も変わらなかった。

黙々とお祝いメッセージに返信をする姿。「勝っちゃいましたね。でも、何も変わらないです(笑)」と渋野が話せば、青木コーチも「これからです。まだまだの選手ですから」と話していた。シード権を持たないため、翌週の「ほけんの窓口レディス」の出場権は持っていなかった。優勝してその権利を得たが、「元々出場予定ではなかったし、地元に帰りたいので出ません」。勝利を挙げても、渋野は変わらなかった。

初優勝後は当然、注目を集めることになったが、いつ会ってもその笑顔は変わらなかった。親友の大里桃子らとふざけあい、コースでの様子は20歳の元気な子だった。6月末時点の国内賞金ランキング上位の資格で全英出場が決まると、「渋野全英行けるってよ」とSNSに投稿するなど、らしさは全く失われていなかった。

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