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「一回も余裕があったことがない」 上田桃子が37歳の誕生日に抱いた“相反する感情”

上田桃子、37歳。目指すは“大人のゴルフ”だけど…。

所属 ALBA Net編集部
間宮 輝憲 / Terunori Mamiya

配信日時:2023年6月16日 09時00分

<ニチレイレディス 事前情報◇15日◇袖ヶ浦カンツリークラブ・新袖コース(千葉県)◇6621ヤード・パー72>

報道陣の前に登場するなり「アラフォーです」と言ってニヤリと笑う。開幕前日の6月15日に37歳の誕生日を迎えた上田桃子は、「36歳はどちらかというとまだ35歳寄りだけど、37歳になると…やばって感じです」と、また苦笑いを浮かべるように頬をゆるめた。

「ドシッとしてないですよね。今でも精いっぱい。成績が悪くても『ま、いっか』という精神でできない。そろそろ大人なゴルフができればいいのにな」。この“大人なゴルフ”こそ、今後の上田が求めるものだという。2005年のプロテストに合格し、07年には当時の最年少記録(21歳156日)で賞金女王にも輝いた。プロ19年間で17勝(米国ツアー開催の1勝を含む)。常に闘争心を前面に出して戦うスタイルは変わらない。

それが今季も現時点でメルセデス・ランキング8位につけるなど第一線で戦い続けられている理由のようにも思えるが、本人は“もう少し落ち着きを”ということらしい。「ここまで一回も余裕があったことがないって、キャディさんとも喋っていた。37歳だし、もう少し余裕をもってもいいんじゃない、って」。師事する辻村明志コーチのもとでは、吉田優利やアマチュアの六車日那乃ら若手選手も日々汗を流している。「若い選手が、『よしいくぞ!』とキラキラした目をしているのを見ると、まだ頑張らないとって自分の年齢を忘れてしまうんです」。これも心の火が消えない、大きな要因だ。

そこで意識したいというのが、「結果に対してフラットで、いつも変わらない感じを目指したい」と考える大人のゴルフだ。理想像としては「徹底ぶりがすごいけど、集中したなかでもニコッと笑えたり。今もあのゴルフが好き」というタイガー・ウッズ(米国)のプレー姿を挙げる。

ただ、そこにはジレンマも。“37歳の誓い”を聞かれると、「初志貫徹でいきたいですよね。大人なゴルフをしたい半面、チャレンジ精神は忘れたくない。チャレンジャーであり、貪欲さは何歳になっても忘れたくない」と答える。そしてすぐに「言ってることが真逆ですよね」と自らつっこみ、こちらの笑いを誘う。今でも、毎週勝ちたいという気持ちは変わらない。「全勝できるとは思ってないけど、そのための準備はしていきたい」という姿勢に緩みはなしだ。

今季は1試合の棄権はあるが、12試合の出場でトップ10入りは6度。随所で優勝争いにも顔を出す。88%で3位のパーセーブ率や、69.3333%でやはり3位のリカバリー率など、百戦錬磨の技も錆を感じさせない。イ・ボミ(韓国)ら、同じ時代を戦ってきた選手も徐々に減り、「同い年くらいの選手が毎年少しずついなくなるので、さみしさは強い」という思いも本音だが、歩みを止めずにトッププレーヤーとして君臨している。

「バースデーウィークは、とても運気がいい。ニチレイもイメージがいいです。ポジティブにとらえて回ることができれば。ここ1カ月優勝争いもできてないし、それが目標。ワクワクするゴルフをしたいのは、昔からあまり変わってないですね」。ここで目指すのは自身2度目となるバースデーウィークV。やっぱり闘争本能に従いプレーする姿を、見せることになりそうだ。(文・間宮輝憲)

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