今季「全米プロ」でメジャー初優勝を飾ったアーロン・ライ。そのスイングを、プロコーチの阿河徹が詳細に分析。アマチュアが参考にしたいポイントを解説してもらった。
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アーロン・ライのスイングは、ボールがつかまりにくい要素を含みながらも、それを補う動きによって高い再現性を生み出しているのが特徴です。
正面から見ると癖のないアドレスですが、後方から見ると骨盤の前傾が強く、「でっちり」に近い形で構えています。ダウンスイングでは、手元が腰の高さに下りてきた辺りで体と右ヒジの間に空間があり、右ヒジを上から使っていることが分かります。
これはヘッドがアウトから下りやすくなる要因であり、ダウンスイングでやや体が起き上がる動きと合わせて、ボールがつかまりにくくなる理由になります。それでもしっかりとボールをつかまえているのは、次の2つの要素が効いているからだと考えます。
ひとつ目は、右ヒジのポジションです。右ヒジを上から使っている一方で、その位置が体の後ろにあるため、クラブをインサイドから下ろす要素にもなっています。ふたつ目は、バックスイングからフェースをシャットに使っていることです。この2つが組み合わさることで、つかまりにくい動きを補い、インパクトでフェースを安定させることができています。
ボールがつかまらない要素を持ちながらも、それを打ち消す要素も併せ持ち、メジャーを制する高い精度のショットを放っています。
この動きは、後天的に自分で見つけ出したものだと私は見ています。もともとボールがつかまりにくい動きを覚えていたからこそ、その弱点を補う要素を、実戦の中で探し当てていったのではないでしょうか。
彼のスイングから言えるのは、「つかまらない動き」があっても、それを補う要素を取り入れれば、大きな問題にはならないということです。アマチュアゴルファーにとって、スイングに弱点があるのは自然なことです。ただし、その弱点を補う2つか3つのピースを見つけられれば、ゴルフは十分に成立します。アーロン・ライにとっては、シャットフェースと右腕のポジションの組み合わせこそが、その答えだったのだと思います。
■アーロン・ライ
1995年生まれ。イングランド出身。2024年に「ウィンダム選手権」でPGAツアー初優勝。26年は「全米プロ」でメジャー初優勝を果たした。両手グローブとアイアンカバーがトレードマーク。
■解説:阿河 徹
あが・とおる/1976年生まれ。藤本佳則や塩見好輝ら数多くのツアープロを指導。現在は東京都の井山ゴルフ練習場でアマチュア向けのレッスンを行っている。古今東西のスタープレーヤーのスイングに精通するレッスンプロ。