中古市場が盛り上がりを見せる日本のゴルフ業界。過去の名器や昔欲しくて買えなかったモデルなどが今では探せばすぐに手に入ることも多い。しかし、日々進化しているゴルフクラブの中で、中古クラブが通用するのか。ゴルフパートナー川崎野川店の協力を得てクラブを用意し、ギア好きクラブフィッター小倉勇人に試打・検証してもらった。
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昔のクラブを打ってみて今でも使えるのかを検証するこの企画。今回は、2022年発売のテーラーメイド『ステルス』ドライバーと2024年発売の『Qi10』ドライバーを検証します。
『ステルス』は、現行の『Qi4D』から数えて4代前、『Qi10』は2代前のブランドで、今年2026年まで毎年モデルチェンジを行っていたため、意外と昔のクラブのような印象を受けてしまいますが、4年前のクラブと2年前のクラブです。時間的にはそこまで経っていませんが、1年ごとのモデルチェンジによる進化がどのような差に表れるか非常に興味がありました。
『ステルス』は、ワールドワイドで展開するメインブランドのドライバーにフェースにカーボン素材を使った非常にチャレンジングなシリーズで、発売当初は、非常に大きな話題となりました。キャッチコピーは「新しいカーボンウッド時代がはじまる」と銘打ち、カーボンシートを60層にも重ねたフェースは、従来のチタンフェースより44%も軽量化され、理想の重心位置の追求に大きく貢献しています。さらに強度もアップし、たわみ量もアップしているというリリースを見て夢のようなドライバーが誕生したな!と個人的にも非常にわくわくしたのを覚えています。
『Qi10』は、『ステルス』、『ステルス2』シリーズで培ったカーボンフェースの技術をさらに昇華させた第3世代カーボンウッドとして誕生。カーボンフェースの技術に“Q”UEST(探求)“I”NERTIA(慣性)、ネーミングの由来である慣性モーメントに着目して開発されています。軽量に仕上げられるカーボンフェースに加え、クラウンのカーボンエリアを大幅に拡大することで低重心かつ、大きな余剰重量を獲得し、高い慣性モーメントによるミスへの寛容性と低スピン性能を高い次元で両立させたシリーズ。ローリー・マキロイやスコッティ・シェフラーなど、『Qi10』から替えられないという選手もいた名器です。
現行の『Qi4D』シリーズのドライバーは、非常に評価が高いですが、『ステルス』『Qi10』のドライバーもまだまだ現役で使用されているゴルファーが多いシリーズです。さっそく検証してみたいと思います。
【テーラーメイド『ステルス』:現代での通用度★★★☆☆ やさしさは十分だが低スピン性能はやや劣る】
▼『ステルス』実測スペック
長さ/45.75インチ
重さ/305g
バランス/D3.0
川崎野川店での販売価格/18,688円(税込)
お借りしたクラブのスペックは、50g台の純正シャフトのS。ロフト角は9度です。現行モデルの50g台の純正シャフトの設定は45.5インチなので、わずかに長い設定ですが、重さはほぼ同じ。ヘッド形状は、いわゆる洋ナシ型ではなく、フェース面上のほぼ真後ろに膨らみの頂点がある形状で、形状による弾道のイメージが良い意味で湧きにくいプレーンなシェイプをしています。クラウンの塗装は光の反射を抑えたマット仕上げで、投影面積は十分な大きさですが、ぎゅっとしまって見えますね。
実際に打ってみるとロフト角が9度ということもありボールをつかまえきれず、ややスライス気味の球が多く出ました。ボール初速は61.2m/sとレンジボールではかなり高い数値を記録し、飛ばせるニオイがするのですが、ボールをつかまえるのがなかなか難しく、スピンも3600回転とやや多くなり、飛距離は思ったよりも伸びませんでした。ミスへの強さはなかなかのもので、少々芯を外しても飛距離ロスは少なく、使い勝手は良かったです。ロフト角が10.5度のモデルや、カチャカチャでハイヤーポジションなどに設定するとスライスは軽減できますが、現代のモデルと比べるとちょっとだけスピン量は多い印象。ヘッドスピードが速いゴルファーほど、飛距離ロスは大きそうですね。ただ、打点ズレによる飛距離ロスの少なさは、現代でも十分通用します。
【テーラーメイド『Qi10』:現代での通用度★★★★★ 名器と呼ばれるだけはある高い飛距離性能】
▼『Qi10』実測スペック
長さ/45.5インチ
重さ/308g
バランス/D2.0
川崎野川店での販売価格/30,988円(税込)
シャフトは50g純正のSでロフト角は9度。どの数値も現行の『Qi4D』ドライバーの標準仕様とほぼ同じ数値です。クラウンはグロス仕上げで、丸みを帯びており、ツルンとした印象。トゥ側にボリュームがある洋ナシ型で、アスリートが好むシェイプになっています。打ってみると、『ステルス』ドライバーと比べて同じロフト角9度なのに打ち出し角が高く、かなりの低スピンの弾道が飛んできます。つかまりも良いとは言えませんが、つかまりづらいといった印象はなく、狙ったところに打ち出しやすかったです。ボール初速が特別速いわけではないですが、高弾道、低スピンのいわゆる飛ぶ弾道が安定して打てるので、十分現代でも通用する性能を持っていると感じました。
打ち出し角15.9度でスピン量2400回転は、かなり効率が良く、242ヤードは普段の自分のドライバーと変わらない数値です。純正シャフトでこの飛距離なのですから、カスタムして自分用にチューニングしたら、もっと飛びそうな気がします。現行の『Qi4D』の可変ウェイトによる高いアジャスト能力といった細かな調整はできませんが、飛距離性能に関しては遜色ないと言って良いでしょう!
■試打・解説
小倉勇人
おぐら・はやと/1978年生まれ、東京都出身。ゴルフ工房「リル・ガレージ」でクラブフィッター、クラフトマンをしながら、ゴルフライターとしても人気
