今季29戦を終えた国内女子ツアーで、PINGの『スコッツデール』パターが【シリーズ別の最多勝タイ】と知っているだろうか。鈴木愛、佐久間朱莉3勝、髙野愛姫ら契約プロが軒並み『スコッツデール』のマレット型を使い、ここまで計5勝。賞金に直結するため、使い慣れた古いパターを替えられない選手が大多数の中、新製品では異例の快進撃だと言える。
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なぜ今、『スコッツデール』がこれほどの支持を集め、結果に結び付いているのか。ピンゴルフジャパンの国内女子ツアー担当である塩谷竜太氏に背景を尋ねると「製品の進化」と「ツアー現場の変化」という大枠で要因分析をしてくれた。
新インサートの「初速感」と「転がりの良さ」
『スコッツデール』の最大の勝因は、全面刷新されたPEBAXインサートにある。塩谷氏は真っ先に「インサートが大きく変わって、柔らかさの中にもちゃんと初速がしっかり出るようになったので、かなり転がりが良くなった」と、利点を挙げる。そして、今季『スコッツデールDS72』で初優勝をふくめて3勝した佐久間朱莉はこうコメント。
「打感がすごく好みで、ようやく好みの打感と転がりのパターに出会えました。『すぅーッ』という言葉の通り、思ったよりも前に転がってくれる感じです。『DS72』はとにかくラインに出しやすいイメージが湧いて、アドレス時の安心感と方向性の出しやすさがとても気に入っています」(佐久間)
そう、選手が実感していたのは「球が伸びる」ような転がりの良さで、削り出しの『PLDミルド』と比べても出球の初速感が速く「ラクに届かせられる」イメージが得られる点がまず評価されていた。
塩谷氏は「前のPEBAXモデルである『SIGMA2』や『2021 PING PUTTER』と比べても、かなり初速も出てくれて、ロールもしっかり出て球が伸びるような転がりの良さが一番大きい」と言う。この「柔らかいのに初速が出る」性能が、特にグリーンのコンディションが不安定な状況下で、プロが求める安定した距離感を生み出す基盤となっている。
高い「寛容性」と「打音」でフィードバック◎
新しいインサートは、パターに求められる“やさしさ”も向上させた。インサートがくり抜かれるため周辺重量配分が強化され、MOIも向上したのだ。勝利した3人ともマレット型で、ただでさえ高MOIだが、オフセンターヒット時でも初速の低下を抑え、安定した転がりを維持する設計になる。
塩谷氏は「やさしさに関して、特に髙野愛姫プロは一番大きな『OSLO3』なので、やっぱり寛容性はかなり高く、ちょっと打点がブレても前に行ってくれるという風には言っていましたね」と振り返る。以前はアンサータイプだったが、髙野は替えた理由をこう話していた。
「大型マレットの『OSLO 3』にして、とにかく、構えた際の安心感や方向の安定性、アライメントの効果もあってターゲットに合わせやすく、ストロークもしやすいのでとても気に入っています。打感もやわらかいのに、しっかり手に伝わる感触があってフィーリングが出しやすいところも好きです」(髙野)
また、重要な「音」のフィードバックも進化。以前の『PEBAX』付きのモデルより「適度な打音になる」と塩谷氏。「今回、音に関しては『柔らかいけどしっかりと音を感じられる』と何人も言っていて、やっぱり音がする方がどれだけ打ったかの強さを感じ取りやすい。合わせやすくなる人が過半数ですね」。
クリアな打音は、繊細な距離感を司る選手にストロークの強さをより正確に把握し、調整するための重要な要素。鈴木愛も昨季の2勝は『PLDミルド』だったが、今季の勝利は『スコッツデールDS72』。そのフィーリングを「DS72とANSER 2Dは構えやすくて距離感が合いやすいので大舞台でも自然体で打てるところが気に入ってます」と話していた。
猛暑の「重グリーン」とマレット型の関係
髙野に鈴木と、元々ブレード型だった選手が『スコッツデール』のマレット型にスイッチして結果を出す背景には、国内女子ツアーが今季直面した【グリーンの環境変化】も一因と言えそうだ。近年の異常な夏の暑さでグリーンが以前より“重くなる傾向”を生んでいたという。
塩谷氏は「グリーンの環境変化もやっぱり大きいかなと思いまして。夏だけではなく、今年は5~9月末まで暑い時間が長くなりました。関連してグリーンが重くなると、やっぱり皆さんマレットを選ぶ傾向があるのも多分事実だな、という風に感じていますね」と、過酷なツアー状況を吐露。
重いグリーンでは、よりヘッドが重く初速を出しやすい、寛容性の高いマレット型が有効になる。そこにスコッツデールの【初速の出るインサート】が加わると、より小さな振り幅でもショートを防げる。コレは多くの『スコッツデール』ユーザー諸兄もこの夏、実感したことだろう。
課題を解決した「アライメント」の妙
『スコッツデール』は選手が口々に語る通り、形状とアライメントの【構えやすさ】が技術面にも大きく貢献している。佐久間朱莉の例では、以前の『2021 PING PUTTER DS72』で「左にアライメントが向く」クセを解決できたとか。
「同じDS72でも、佐久間プロの『スコッツデール』はダブルベンドにしてオフセットが少なくなったこともあり『構えた時に左を向いてる気がしない』となりました。実際、コーチの方がフェース向きを機械で測ってみても、左を向かなくなった経緯がありますね」(塩谷氏)
また、トップレールもツートンカラーになり、視覚的なコントラストが付いた点も好評だと言う。「選手は皆さん、座りがいいとか、アライメントが構えやすくなったとか、3人とも意見が共通している部分がありますね」。
終盤戦で最多勝の行方やいかに!?
現在、PINGと契約外の選手にも同社パターの使用が広がりを見せているが、グリーンが速くなる秋以降の後半戦では、状況が変わる可能性も。「後半戦はグリーンの状況が全然変わってスピードも出てくるので、『PLD』の使用も増えるかもしれません」。
とはいえ、登場からいきなりシリーズ最多勝を牽引する『スコッツデール』は、依然として魅力的。「ソフトな打感の方がいい選手もいますので、おそらく半々ぐらいになるんじゃないかな」と塩谷氏は予想した。秋から終盤に向け、いよいよ佳境を迎える女子ツアー。『スコッツデール』の最多勝の行方にも注目だ。
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