依頼内容がボールと聞いて一安心。でも、そこには落とし穴も……
田辺 そ、そんなことないですよ。ちょっとだけ、また変な練習器具が来たらどうしようって思ってますけど……。
記者 安心しなって、今回は練習器具じゃなくて“ボール”だからさ。
田辺 おぉ! ボールですか、いいですね! ALBA編集部の頃から各社の歴代ツアーボールはテストして性能は把握してますし、すごく記事にしやすそうです。で? どこのボールですか?
記者 タナビーくんには楽すぎる仕事だったかな? 今回は本間ゴルフの『D1 SPEEDMONSTER』を判定してほしいんだわ。
田辺 えっ……まさかのディスタンス系ですか? たしかに昔に比べたら性能上がってますけど……。
記者 何、不満? これ普通にいいボールなんじゃない? 安いし、飛ぶっていうじゃん。
田辺 確かに飛ぶでしょうね。でも、ディスタンス系のあの何とも言えない打感の悪さとか、スピンのかからなさを思うと微妙な気持ちになるんですよ……。
記者 タナビーくん、ほとんどのゴルファーはボールの性能だけでなく、値段なども天秤にかけて購入を考えるんだよ。これからライターとしてやっていく上で、そういう多角的な目線を持つべきだと思うけどね。
田辺 それはOB連発で100を切れない記者さんだからでは……。
記者 何か言った?
田辺 いえ、なんでもないです。分かりました! しっかりテストさせていただきます! でも、ボールの判定をするんだったら、ツアーボールと比較して飛距離とかスピン量出しちゃいますけど、いいですよね?
記者 もちろんいいよ。ダメなデータ出てもゴルパの佐藤さんが泣くだけだし。
田辺 そこがやりづらいんですよ……。
さて、どうなることやら。今回も不安な気持ちでいっぱいですが、本間ゴルフのボールはコスパの高いモノが多いですし、性能を信じてテストしていきましょう。
『D1』の飛びに 総合的な性能が加わったボール
ただし、ボールは飛べばいいってものではありません。『D1』も飛距離性能はトップクラスですが、アプローチスピンや打感といったフィーリング性能はスピン系のツアーボールと比較するとかなり落ちる印象でした。値段を考えれば十分健闘してはいるものの、自分がコースで使いたいかと問われたなら、やはりノーと言わざるを得ません。
そんな中で新作の『D1 SPEEDMONSTER』は、“すべてのゴルファーが求める飛距離・スピン・弾道を叶える構造”と総合的な性能の高さを唄っています。本当ならすごいことですが、『D1』の飛距離性能をキープしつつ、スピン性能もしっかり持たせるなんてことができるのでしょうか?
しかし、疑問なのはソフトと言いつつも、カバー素材がアイオノマーであることです。
ALBA編集部員だった頃、何度もアプローチレッスンの取材で男子プロに話を聞きましたが、スピンをかける条件を聞いた際に必ず出てきたのが、 “ウレタンカバー”のボールを使うことでした。いかにプロであっても、アプローチでスピンを効かせるには技術だけでなく、いくつかの条件が必要になり、中でも大切なのがボール選びだったのです。
実際、私自身もコースでウレタンカバーのツアーボールとアイオノマーカバーのディスタンス系ボールを打ち比べたことがありますが、アプローチの飛び方に明らかな違いがありました。フェースに食いつくような打感で、低く飛び出してギュギュっとスピンがかかるツアーボールに対し、ディスタンス系ボールは球離れが早くすっぽ抜けるようにポーンと上に飛び出します。高さは出るものの、スピンがあまりかからないので思ったよりランが出る不思議な弾道になるのです。慣れてしまえば、ピンに寄せることはできますが、何となく気持ちよくないんですよね。それもあって、ディスタンス系ボールに対して、お値段相応のボールという印象しかなかったのです。
とはいえ、この『D1 SPEEDMONSTER』を打つのは今回が初めて。ちょっとやりすぎかもしれませんが、超定番のツアーボールと交互に打ち比べて、フィーリングや計測数値の違いを見ていこうと思います。
これ本当にアイオノマー? フェースに食いつく感触が強い
続けて、『D1 SPEEDMONSTER』を打ちましたが、正直驚きました。不安視していたほどの打感の硬さはなく、むしろツアーボールに匹敵するソフトな打感になっていました。しかも、フェースに食いつくような感触があり、これって本当にアイオノマー?と疑問に感じるレベルでした。
しかも、計測数値もキャリー32.9ヤードのスピン量4,120rpmとなっていて、ツアーボールと遜色ない結果でした。もし目隠ししてボールを当てるテストをされたら、普通に『D1 SPEEDMONSTER』をウレタンカバーのツアーボールと言ってしまうかもしれません。まさかここまでウレタンカバーとアイオノマーカバーの差が縮まっているとは思いませんでした。素材の進化って恐ろしい……。
アイアンでも十分に感じ取れる、反発性能の高さ
先程と同じくツアーボールを先に打つと、スピン量が5,871rpmでキャリー149.5ヤード、ランを入れて155.9ヤードという結果に。最近のツアーボールはアイアンでの強い飛びにこだわったモデルも多いので、イメージよりも少し飛んでいる感じでした。十分な飛距離性能ですね。
そして、『D1 SPEEDMONSTER』の番ですが、こちらはスピン量5,622rpmでキャリー154.8ヤード、トータル161.9ヤードとなりました。ツアーボールの位置までほぼキャリーで届きました。
好印象だったのはスピンを極端に抑えるのではなく、初速の高さで飛距離差がついていたこと。同じクラブで同じ感覚で振って、ツアーボールの初速48.5m/sに対し、『D1 SPEEDMONSTER』は49.4m/sと1m/s近い差が出ていました。ドライバーではなく、8番アイアンでこれだけ差がつくのは中々すごいですよ。
番手が長くなるほど際立つ、ボールの曲がらなさ
さらに特筆すべきはその弾道にあります。
実は今回、飛距離の数値を出すにあたって、あまりにしょぼい結果だと恥ずかしいので、けっこう頑張って振りました(笑)。しかも、スピンが減るようにいつもよりボールをつかまえに行っているので、ツアーボールのほうはやや引っかけ気味の弾道になってしまいました。一方、『D1 SPEEDMONSTER』はというと、同じく強く振りに行っているものの、弾道の曲がり方が明らかに少なくなっています。
これは、『D1 SPEEDMONSTER』がツアーボールに比べて、反発性能が高く、スピン量がやや少なく抑えられるので、ミスショットした場合でも、曲がりが少なくなりやすいからです。
そもそもツアーボールは、ツアープロがトーナメントの舞台で使うことを前提に開発されていますので、飛ばしたいときに飛ばせて、曲げたいときには曲げられるように性能が調整されています。いわゆる “操作性” というものです。最新ツアーボールはバランス的に飛距離性能を高める方向にはなっていますし、ミスにも強くなっていますが、一定以上の操作性が備わっている分、ミスがしっかりミスになるわけです。
一方、『D1 SPEEDMONSTER』はあくまでも飛距離追求型のディスタン系ボール。ツアープロが求めるような操作性はそもそも必要ありません。いかにフルショット時のミスを減らして、安定した飛距離を出せるかを念頭に開発されていますので、前提条件がまったく違うわけです。
スコアアップを考えたら使わない理由がない?
従来のディスタンス系ボールにあった打感の硬さ、独特なアプローチの弾道といった負の側面がほぼ払拭されていますし、ツアーボールに比べて、曲がりが少なく、飛距離も出てくれます。もちろん、フィーリング性能や操作性を重視するならツアーボールが一番の選択肢になりますが、そうでなければだまされたと思って、一度コースで使ってみてほしいですね。安定した球質のショットを打ち続け、ミスを最小限にすることを考えたら『D1 SPEEDMONSTER』を選ぶのがどう考えても手っ取り早いです。間違いなく、ゴルフが楽になりますし、スコアも良くなるのではないかと思います。
あと地味に嬉しいのはその値段。ツアーボールの多くは1ダースで6,000〜8,000円ほどですが、『D1 SPEEDMONSTER』は今なら3ダースで7,980円とのこと。1ダースにすると2,660円ですから、恐ろしく安いですよね。これ、本当に価格破壊だと思います。
私も昔そうでしたが、高いボールってコースで使うときに無駄に緊張するんですよね(笑)。OBが出たら、余分にダメージ受けますし、もったいないと思ってついキズついても使い続けてしまいますし……。でも、ボールって使い続けると表面の傷が増えて性能的に絶対下がってくるので、定期的に替えるのがベストなんです。その意味で、高性能なボールが安いのは嬉しい限り。もはや『D1 SPEEDMONSTER』を使わない理由が見当たりませんね。
ロストボールを使っているような初心者の方にも、ツアーボールよりもショットを飛ばしたいという上級者の方にも、あらゆるレベルのゴルファーにおすすめしたいボールになっていますので、ぜひ気になった方は試してみてください!
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