時代を彩ったL字型パターの名器
池田勇太の使用した『ジャンボ尾崎90勝記念パター』は、この『IMG5』を模して作られたもの。他にも数多くの復刻版があるL字型の名器だ。90勝パターが出るということは、90もの勝利のうちの多くが、こうしたシャープなL字型で勝ち取ってきたということだ。その中には、ウィニングパットを2度仕切り直したことで有名な、88年の日本オープンもある。大型マレットがなかった時代、プロたちはこうしたパターで技術を競っていた。
また、前述のオデッセイ『#8』やクリーブランド『デザインドバイ』、1995年に発売された『スコッティキャメロン NAPA』のような、ウイルソンタイプのL字パターは少なくない。いわばスタンダードなL字型と言える形状だ。
コーリー・ペイビンが1995年に全米オープンを制したのがこの形状のパターだった。翌年、尾崎将司は、L字型のフィーリングを持つマレット型『WOSS』を使用し、年間8勝をあげた。L字の名手であるジャンボが使用をやめたこのあたりから、L字の使用プロは減り始め、2000年になる頃には少数派になっていた。
アマチュアの使用者が減るのは無理もない。ツアープロの使用者が減り、メーカーから発売されることも少なくなった。さらに、L字は難しいというのが定説になっていったのだ。今、ゴルフ場にこうしたクラシックなL字を持っていったら、同伴プレーヤーに「そんな難しそうなパター使ってるの?」と驚かれるのではないだろうか。