アイアンの「ソール」と聞くと、多くのゴルファーは打ったときの“抜けの良し悪し”に関係すると考えがちだ。確かにそれも間違いではないが、ギアコーチの筒康博氏によると、実際には重心設計への影響が非常に大きいという。
「比重の重い金属で作られるアイアンでは、ヘッドの形状そのものが重心設計に大きく関わります。ソールを薄く設計すれば重心が高くなり、スピンの利いたボールが打ちやすくなります。逆にソールを厚くすれば低重心となり、ロフト以上にボールが高く上がるクラブが作れます。
最新のアイアンでは、ソールの厚みで重心位置を調整したうえで、フロントエッジやトレーリングエッジを削ったり、全体に丸みを持たせたりすることで接地面積を変え、抜けの良さを高めています。重心と抜けの両面からアイアンを選ぶことで、自分に最適なモデルを見つけることができるでしょう」
筒氏によると、アイアンのソールで注目すべきポイントは3つあるという。
① ヘッドの重心高さと深度
ソール幅が狭いアイアンは、ヘッド中央から上部にかけて肉厚になり、重心が高くなる。一方、ソール幅が広いモデルは、ヘッド下部に重量が集まり、重心が低くなる。さらに深重心設計となる。
② スイングとの相性
「フロントエッジ」と「トレーリングエッジ」が削られたソールは、鋭角に打ち込むスイングと相性が良く、多くのプロが好んで使用している。一方、全体的に丸みを帯びたソールは、どの入射角でも抜けの良さが得られる万能タイプといえる。
③ ソールの抜け
最新モデルでは、接地部分の幅を調整することで、抜けの良さと寛容性のバランスを取っている。抜けの良さを重視する場合は、接地面の幅が狭いモデルを選ぶのがおすすめだ。また、ミスに強いモデルが欲しい場合は、トゥの幅を見るのがいい。トゥが広いほど、ヘッドの直進性が高く、ダフリに強くなる。ダフリに悩む人は、そういう傾向のあるモデルを選ぶといいだろう。
【今回の試打リスト】
タイトリスト:T250
ミズノ:ミズノプロ M-13
テーラーメイド:P790
ピン:i240
キャロウェイ:Xフォージド MAX
ダンロップ:スリクソン ZXi5
プロギア:PRGR03
■解説 筒 康博
つつ・やすひろ/過去の名器から最新クラブまで、豊富過ぎる知識を持つ通称“ ギアコーチ”。インドアゴルフレンジKz亀戸店でヘッドコーチとして、日々アマチュアの悩みに応えている。
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