キャロウェイ移籍後、ラームのボールスピードが…
年が明けると、噂通りラームはキャロウェイへ移籍。しかも、ボールを含むフル契約。クラブとボール丸ごと変更は、あまりにリスクが大きいと思ったが、ラームは疑念を結果で払拭。待望の初メジャー制覇を「全米オープン」ではたし、2021年最も賞金を稼いで世界1位をキープ。移籍は大正解だった。
結果、ティショット力の指標「SG:オフ・ザ・ティ」は0.756の4位から0.834の2位になり、アイアンを含む総合的なショット力の指標「SG:ティ・トゥ・グリーン」も3位から1位に。何より驚くのは、ボールスピードが175.89mphから178.46mphへ上がったこと。ヘッドスピードは118.33mphから118.72mphと0.4しか違わないのに……。
長尺化で爆上げのフリッテリとは違う……
ただ、彼の場合は平均ヘッドスピードも113.44mphから118.75mphに上げたことが示す通り、長尺化とトレーニングの恩恵なはず。また、レジェンドのフィル・ミケルソンも同様に174.02mphから175.22mphに引き上げたが、やや長尺からさらに長尺化しヘッドスピードを117.09mphから117.58mphに上げていた。(44インチの2Wも多用してこの数字……、やはりヘッドもある!?)
やはり、キャロウェイ製ヘッドが、2.6mphのボールスピードUPに繋がったとしか考えられない。テーラーメイド製より本当にキャロウェイ製の方がボールスピードに優れるのだろうか?
某シャフトメーカーの元フィッター・吉川仁さんに聞く
▶▶▶キャロウェイがアマチュアの「悩み」と「ボールスピード」の意識調査を公開
この問いに明確な回答をくれたのが、元シャフトメーカーのフィッター兼ティーチングプロで現在は独立、東京・市ヶ谷にある【4Plus Fitting Lab】の代表を務める、吉川仁さんだ。弾道計測器の「トラックマン4」「GCクワッド」の他あらゆる計測器を用意し、動作解析「GEARS」も備えた“飛びの研究所”とも呼べる施設である。
▶▶▶【4Plus Fitting Lab】のHPはコチラ!
「古巣では、大手海外ブランドを全て揃えて7年ほど毎日フィッティングしてきました。ボクの3000人以上のゴルファーの方々へのフィッティング経験上、【一番ボールスピードが速い海外メーカーはキャロウェイ】ですね。テーラーメイドも強いですが、キャロウェイは低スピンも作れるので、【ボールスピードを出すならキャロウェイ】で間違いないと思いますよ」(吉川さん)
大手外ブラの最新作で、本当にキャロウェイが1位!?
そう聞いても、筆者には信じられない。改めて試打してもらった結果が下記だ。シャフトはフジクラ『スピーダーNX』の60Sに固定して、吉川さんが所有するPING『G425MAX』、タイトリスト『TSi2』、テーラーメイド『SIM2 MAX』、キャロウェイ『EPIC SPEED』を打ち比べてもらった。
「大人気のフジクラ『スピーダーNX』に合うヘッドという点で、ボクのスイングには『SIM2 MAX』が一番マッチして曲がらず低スピンで距離を稼げました。対して、『EPIC SPEED』はボールスピードが出るものの、少し安定感に欠けスピン量も多めでしたね。ショットの質で距離の差が出るのは当然ですよ。
キャロウェイは『EPIC FLASH』以降AIフェースになって初速が出ますが、コントロールするには合うシャフトが重要。じゃじゃ馬で1発の距離を求めるのもいいですが、安定にはフィッティングも活用して欲しい。ラーム選手がいい例ですが、プロは合うシャフトで打つから、初速の速いヘッドを完璧に活かせるんです」(同)
なるほど……。気に入ったシャフトが決まっている人がいるなら、ラームのように2017年以降のキャロウェイ製に替えると、飛んで曲がらないが実現できる可能性がある。
Text/Mikiro Nagaoka