<アジアパシフィックアマチュアゴルフ選手権 2日目◇30日◇テ・アライリンクス・サウスコース(ニュージーランド)◇6842ヤード・パー71>
「8を叩くことなんてあまりないですね…」。パー4で+4を叩き、万事休すかと思われた本大志がナイスカムバックを見せた。
午前組でのスタートだったが、朝から強い風が選手を阻む。前半はパーを並べて耐えると、18番でバーディが先行した。スイッチが入った矢先の後半1番パー4で不運に見舞われた。
ティショットが左に行くと、そこは傾斜でライの悪い場所。セカンドショットもライの悪いバンカーに入れてしまい打数を重ね、まさかの「8」を叩いた。
「何やってんだという感じでした」。直後はそう思ったが、逆に「緊張が抜けた」ことはプラスに働いた。2番で1つ取り返し、3番でボギーと足踏みしたが、8番パー3でご褒美が待っていた。
180ヤード、風は左から、右はブッシュと砂浜が待ち構える。「打った瞬間、あまり見えなくて。みんなが言うには、右に落ちて、右から傾斜を伝ったみたいです。最初はグリーンの右に外れたのかと思いました」。7番アイアンで放った一打は、試合では初めてとなるホールインワン。2024年大会の第3ラウンドで小林翔音、昨年大会の最終ラウンドで片野貫一朗が達成しており、3年連続で日本勢がエースを記録した。
そして最後の9番パー4では、風と下り傾斜が重なる、「どう打っても多分右に行っちゃう」ライン。それでもボールはカップに吸い込まれた。「ナイスパットですね。神様が入れてくれた感じです」と振り返るほど難しいラインだった。
ラスト2ホールを迎えるまでに+3としていたスコアを一気に取り戻す快進撃。「ゴルフって何があるか分からないので面白い」。終わってみればイーブンパーでのホールアウトに自然と笑みがこぼれた。
先週の大学の試合では、コーチからルーティンが毎回同じになっていないと指摘された。素振りの回数など、ショットに入るまでの動作が一定ではなかったという。そこで今週は、毎回同じ手順でプレーすることを目標に掲げた。
「逆にそこに集中できて、ほかのことにあまり気を取られなくなりました。今回はすごく良かったです」。ルーティンを意識したことで、大きなミスをした後の振る舞いにも変化が表れた。
「今までの自分だったら、かなり沈んでしまうと思うんですけど、最近は気持ちを変えられるようになってきました。3番でボギーを打った後も、4番からしっかり切り替えてプレーできたのは、ちょっと成長したところかなと思います」
ゴルフの調子自体は以前から悪くなかったという。アジア大会でも決して状態は悪くなく、今回はルーティンを整えることで、持っている力を発揮できる感覚をつかんだ。
アリゾナ大で厳しい競争環境に身を置き、技術だけでなく、自分のプレーをコントロールする力もある。8打からのナイスカムバックは、そんな成長を感じさせるものだった。(文・齊藤啓介)
