<アジアパシフィックアマチュアゴルフ選手権 事前情報◇28日◇テ・アライリンクス・サウスコース(ニュージーランド)◇6842ヤード・パー71>
米国のアリゾナ大で腕を磨く本大志。目指すのは、大学ゴルフを足がかりにしたPGAツアー参戦だ。異国での生活や大学の競争を経験するなかで、ゴルフの技術だけでなく、選手としての成長も実感している。
昨年は思わぬアクシデントにも見舞われた。米国で学校から帰る途中、スクーターを運転していた際、信号無視で近づいてきた車を避けようとして転倒。右手の甲を骨折し、アジアアマへの出場を断念した。
「悔しいっていうか、ゴルフができる大切さを知りました」
不本意な形で出場を逃した経験は、ゴルフに向き合う気持ちを改めて考えるきっかけにもなった。一方、米国での生活も最初は決して順風満帆ではなかった。「最初の1年は正直、すっごい大変で、なんで来たんだろうみたいな感じになった時ときもあった」。
慣れない環境での生活は、想像以上に大変だった。渡米当初は洗濯も料理もほとんど経験がなく、コーチに迷惑をかけたこともあったという。それでも、今では洗濯をこなし、簡単な料理も作れるようになった。「そういう意味では、ほんのちょっとだけ自立はした」と笑う。
競技面でも、米国で過ごす日々は大きな刺激になっている。所属チームは昨年、全米大学選手権で4位に入った。オクラホマ州立大などの強豪とも対戦し、将来のプロツアーで活躍が期待される選手たちと競い合ってきた。
「今、PGAに行っても活躍できる選手たちと一緒にプレーできているっていうのは、ほんといい経験になると思う」
大学ゴルフの厳しい競争環境に身を置く一方、日本に戻った際にはプロから学ぶ機会もあった。団体戦で銅メダルを獲得したアジア大会では中島啓太、比嘉一貴と行動をともにし、技術面とは違った部分で強い印象を受けた。
「やっぱりプロはちょっと違うなと思いました。ゴルフの技術っていうより、ゴルフに対しての向き合い方が違うなって」
印象に残ったのは、ラウンド後の過ごし方だった。プレーを終えると必ずランニングに出かけ、練習だけでなく、体のケアやコンディションづくりにも時間を使う。比嘉らの姿を見て、競技に向き合う姿勢の違いを感じたという。
「毎回絶対終わったら走りに行くし、ゴルフの練習ももちろんするけど、練習というより、体とかそういう他の面をけっこう意識してるのかなと感じました」
さらに、プロたちが重視していたのは最終日の戦いだった。初日や2日目だけでなく、最終日に力を発揮できる状態をどうつくるか。日々の準備や生活の積み重ねが、勝負どころでのパフォーマンスにつながることを学んだ。
米国での大学生活と、日本で経験したプロの姿勢。その両方から刺激を受けながら、本は次のステップを見据えている。思い描くのは、米国の大学ゴルフで実績を積み、プロの世界へ進む道だ。「アメリカの大学から、PGAツアーに行くことが一番目指しているルート」。
その足がかりとなるのが、大学ゴルフの成績などをもとに選手をランキングし、上位選手にPGAツアー傘下のツアーへの出場資格を与える「PGAツアーユニバーシティ」。大学での競技成績を、プロへの道につなげる制度。もちろん、日本ツアーにも魅力を感じているが、まずは今、自分が挑戦できる場所で結果を出すことに集中する。
「今はまず自分が目指せるところを目指して、それで、そのあと考えようかな」。大学での経験を糧に、プロへの道を切り開こうとしている。アジア大会で得た気づきも胸に、世界で戦う選手への成長を目指す。(文・齊藤啓介)
