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西村優菜が涙をこらえながら明かす“苦しかった一年” ハラハラドキドキの通過劇に「心臓が3つあっても足りない」

米国女子ツアーの来季出場権をかけたQシリーズで西村優菜が通過した。

所属 ALBA Net編集部
間宮 輝憲 / Terunori Mamiya

配信日時:2025年12月10日 09時33分

<Qシリーズ(最終予選) 最終日◇9日◇マグノリア・グローブGC(アラバマ州)◇フォールズC=6643ヤード・パー71、クロッシングスC=6664ヤード・パー72>

パーなら通過、ボギーなら圏外に陥落。こんな緊迫した状況で最終ホールを迎えた西村優菜に、最後まで試練が待っていた。「いやあ…心臓が3つあっても足りないです」と、終わった後は笑って振り返れるが、ドキドキとハラハラの連続。それは本人も「始まる前からすごく緊張していて、いままでで一番タフな10ホールだったなと思います」と言うほどだ。

【写真】ツアーカードとともに3人そろってはい、チーズ!

前日の順延を受け、クロッシングスCの前半18番から再開した最終日。スタート時点のトータル4アンダーは、通過のボーダーライン上(25位タイ以内)だった。4番パー5でバーディを奪いながら、7番でそれを帳消しにするボギーが来ると、状況は深刻なものになる。この時、ボーダーラインは5アンダーまで上がっていた。残り2ホールで、1つ伸ばさないといけない状況に追い込まれていた。

リーダーボードのないコースでは、もちろん逐一、状況を把握していたわけではない。ただ、「4アンダーが入らないことは分かっていました」。それだけに7番のスコアロスは「けっこうショックだった」とも話す。そのなか、8番パー3で意地のバーディ。こうして迎えた最終ホールだったのだが、ティショットが右の木の真後ろに落ちた。

絶体絶命のピンチを救ったのは、その技だった。ドローでボールを曲げ、2打目をなんとかグリーン右横まで運ぶ。アプローチは急な傾斜の下から。そこで西村が選択したのはパターで寄せることだった。「練習ラウンドであそこは、ウェッジでもやったし、6番アイアンや、パターでも転がしていた。そのなかでパターが一番ベストなオプションでした。パターでいくことに迷いはなかった」。その采配が見事的中。傾斜を駆け上がったボールはカップ80センチにピタリと止まり、パーを拾った。来季の『カテゴリー15』入りが決まる、24位タイを死守した。

米参戦初年度の2023年がポイントランク48位、昨年が同69位で、同80位までの選手が入る『カテゴリー1』、すなわちシード権を守ってきた。しかし今季は21試合中、予選落ちが13回を数え、ポイントランキングも115位に低迷。シードを喪失した1年を振り返る時は、涙をグッとこらえ、言葉を振り絞った。

「すごく苦しかったなぁっていうのはある。やりたいことがいっぱい出てきて、やるんですけど、うまくいかない。跳ね返されて。すごく長かった。コーチ(中島敏雅氏)ともたくさん話をしたし、より一層ゴルフをよくしていくためにどうしようと考える時間に費やした。いまどういう気持ちでラウンドしているか、どういう気持ちのコントロールをすればよくなるか、すごく考えたシーズンでした。成績自体はすごく悪かったし、あまりいい思い出もないけれど、気持ちや内容は成長したところが多かったのかなとも思います」

その苦しい時間を過ごして得た“精神力”が現れたような、この日の終盤戦とも言えた。予選会初日が大雨で中止になり、さらに悪天候による順延など大荒れの1週間では、コースも重く、ティショットなどではランも出ない状況になった。

「今週は距離が長かった。前に来た時よりも長く感じました。それが自分にとって難しかった」。そのなかでも飛ばしてくる海外の選手に羨望のまなざしを向けることもあったが、「最後まで、自分のゴルフを見失わずにできた。きょうの10ホールはタフなメンタルとか、そういう状況の中で回り切れて大きかった」。90ホールから72ホールに短縮された競技だが、その間、自分を貫くことができたことは評価できる。

22年に米国へ渡るため予選会に初参戦し、出場権を手にしてから3年。ここに再び戻ることになってしまったが、“挑戦”と“生き残り”をかけたラウンドでの違いも感じ取った。「3年前に来た時よりも緊張感がありました。あの時のほうがショットに自信があったのはもちろんあるけど、挑戦者の気持ちで来た。なんとしても生き残りたいという思いで来ているのとはけっこう違うんだな、とは思いました」。それが3年間で積み上げてきたものだ。

ホールアウト後は渋野日向子とともに涙を流し、互いを労った。「彼女の気持ちが全部分かるわけではないけれど、すごく苦しいシーズンだったと思う。プレッシャーもすごくあるだろうし。似ている…ではないけれど、気持ちが分かりあえる部分も少なからずある。お互いに通過できてすごく良かった」。さらに新たに仲間に加わった櫻井心那とも、一緒によろこびを共有した。来季15人になる日本勢のひとりとして、『カテゴリー15』からの返り咲きを目指す。(文・間宮輝憲)

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