<アムンディ・エビアン選手権 事前情報◇8日◇エビアン・リゾートGC(フランス)◇6479ヤード・パー71>
2022年から今年で5年連続5度目の出場。ただ、渋野日向子にとってここエビアンは、初挑戦から予選落ち、59位、51位、そして昨年も予選落ちと、いい思い出が残せていない。それについては「あまり好きじゃないコース。(苦手な理由は)分からんのですけど、毎年いいイメージがないですね」と本人も苦笑いを浮かべる。
それでも、今年も戻ってくることができた意味は大きい。開幕直後から苦しい戦いが続いたが、6月の「全米女子オープン」で17位、そして勝みなみと組んで出た同月の「ダウ選手権」で5位という成績を残し、ポイントを加算。ランキングを91位まで上げて、132人の出場枠に滑り込んだ。「ここに出たいと思っていた。しっかりいい場所で戦えるように頑張らんといけん」。今後のためにも、苦手意識を払しょくする必要がある。
フラットな地点がほぼない、コース特有の傾斜は当然ながら健在。それに加えて今年はフェアウェイやグリーンなど全体的に“重さ”を感じる。ショット自体は「思ったより転がっている」というが、パターでは思いっきりも大事だ。また所々にシロツメクサも咲く「公園の芝みたい」というラフも厄介。「四つ葉のクローバーには打ちたくないな。悲しいから。(ラフに)行かないように」。笑いながら冗談も飛び出すが、スコアメイクのために無視できないポイントとなる。
そんなコース攻略のため、さらには今後につなげるためのポイントを2つ挙げる。1つ目は「大きく体を使えば、いいショットが打てる」という点。上半身主導だと、手でボールをつかまえにいくなどし、不規則な出球につながってしまう。「しっかり下半身や(体の)コアを使うこと」、これが肝心になる。
2週前に「KPMG全米女子プロ選手権」を終え、オープンウィークになった先週は地元・岡山県で数日間を過ごした。ここで主に時間を割いたのは、フィジカル面の調整。「もう一段階ギアを上げないといけない。トレーニングも挟みつつ、スイングに特化した動きもできるように。いろいろなことにチャレンジしてもいいと思いながらやっています」。開幕前日も体のケアを行ってから、ショット練習に入った。
そして、もう1つが「いい意味で“適当に”できたら」。ツアーに本格参戦した18年から今年でプロ生活9年目。年が経つにつれ、コースで考えることも増えていく。「練習はすごくフラットな気持ちで、ノビノビやるからいいショットも多い。コロっと変われば、いい方向にいきそうな感じはある」。重要視している部分だ。技術とメンタル。その変化を試すのが苦手なコースというのは、うってつけと言えるかもしれない。
現地到着前には、ちょっぴり肝を冷やす時間も過ごした。5日(日)に渋野が搭乗した飛行機がパリ=シャルル・ド・ゴール空港に到着したのは、乗り継ぎ便の手続きが締め切られる20分前。国際線の乗り継ぎとしては心もとない時間で、パリで1泊することも覚悟した。ただ、そこからの動きはスムーズそのもの。予定時刻には、次の飛行機の席に座ることができていた。「人はいけたけど、荷物は無理かなと思ったら、ちゃんと荷物も来た」。キャディバッグにロゴがつくJAL(日本航空)の仕事ぶりに感激する。トラブルを未然に回避。今年のフランスは、決して“鬼門”ではない。
世界中を賑わしている祭典からも力をもらう。サッカーのW杯だ。「日本戦、悔しかったっすねー」。全米女子プロから帰国するために乗った6月29日の機内では、Wi-Fiを使いながらSNSで日本―ブラジルの動向を追いかけた。また、こちらも現在開催中のバレーボール ネーションズリーグにも熱中。「スポーツの力はすごい。自分も頑張ろうと思わせてもらえるのは、ありがたいっすね」。難関エビアンを乗り越えるための流れはできた。(文・間宮輝憲)
