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「落ちるところまで落ちた…這い上がるだけ」 苦しんだ1年を涙で締めくくった渋野日向子が語る“決意”

米国女子ツアーの来季出場権をかけたQシリーズで渋野日向子が通過した。

所属 ALBA Net編集部
間宮 輝憲 / Terunori Mamiya

配信日時:2025年12月10日 07時06分

<Qシリーズ(最終予選) 最終日◇9日◇マグノリア・グローブGC(アラバマ州)◇フォールズC=6643ヤード・パー71、クロッシングスC=6664ヤード・パー72>

来季の米ツアー出場権がかかったQシリーズの通過者の証、自らの名前が書かれたツアーカードを手にした渋野日向子は、それを胸に抱きかかえると、最初は笑顔で記念撮影をした。だが、後ろの組を回っていた西村優菜がホールアウトし、その姿を見ると、2人で泣きながら健闘をたたえ合う。苦しかった5日間…いや、1年の最後は、安どと悔しさが入り混じる涙の締めくくりになった。

【写真】シブコとゆなパンがツアーカードを手に笑顔

「けっこうガマンしてたんですけど、なんか、ゆなパン(西村)を見たら泣いちゃいました。本当に苦しい1週間だった。自分で苦しくしているような感じもありましたけど、とりあえず、ギリギリで通ってよかったです」

こみ上げたものの理由については、こう明かす。最後まで通過ライン(25位タイ)から外れることはなかったが、浮き沈みのなかで自らを鼓舞し続けた1週間でもあった。

早朝から第3ラウンド(R)の残りと最終Rを行った前日。クロッシングスCの10番からスタートした最後の18ホールは、後半2番パー3でボギーを叩いたところで順延になった。最終日に残された7ホールは、トータル4アンダー・23位タイと、ボーダーライン上で迎えた。

「すごく緊張感があったし、体もなかなか思うように動かなかった。ピンチもあったけれど、なんとかパーでしのげた」。普段の試合とは異なるプレッシャーが襲う。それでも3、4、5番とパーを並べながら、6番パー5で2.5メートルを沈めてトータル5アンダーに。結果的にこれが、“生き残り”を決定づけるバーディになった。

不振にあえいだ今季。シーズンをポイントランク104位で終えた。それにより、『ポイントランク101~125位&下部ツアーのランク11~15位』の選手が入る『カテゴリー16』の来季の出場権は持っていた。だが、それでは優先出場順位が160番台後半より下になることが見込まれ、出られる試合がかなり限定的になることを意味する。そこで今回の予選通過者が入る『カテゴリー15』にランクを上げようとしていたのが、この予選会への参加意義だった。

安どの涙を流すことはできた。だが、この後も歯を食いしばる必要はある。結果的に24位タイで通過したが、タイは最終日のスコアなどで順位が決定。同じカテゴリーでも今回の順位が高い方が、もちろん優先順位も上になる。「1つでも出られる試合を増やすためにここに来た。もっと上で終わらないと。私が(カテゴリー15で)一番下。もうちょっと上げたかった気持ちはある」。目指すのは“下克上”だ。

それでも試練をひとつ乗り越えたのは事実。今週は中止、順延、競技短縮、そして遅延と天候に大きく左右された1週間にもなった。「みんな同じ状況だけど、いつもと違うものは多かった。(中止になった初日含め)6日間をかけて4ラウンドするのはなかなかないこと。気持ちを落ち着かせるのが大変だったけれど、試合は集中してできたと思うし、この経験を生かせるといいなと思う」。この苦しさもひとつの成長材料ととらえている。

予選会出場は、米挑戦をかけて臨んだ2021年以来4年ぶりのこと。その時には『もうここには戻ってこない』と決意したが、それはかなわなかった。「やることがたくさんありすぎる」と話すオフには、トレーニングで汗を流すほか、「もっと再現性の高いスイング」を作ることなどを目指す。

「もう(予選会に)来ないために、というよりは、アメリカで勝つために、というのが私の気持ち。ここを考えている時点で下を見ている。もう上しか見ない、上しか見ていません。落ちるところまで落ちたので、どんどん這い上がっていくだけです」。再び決意を固める。

72ホール目となった最終9番は、2打目をピン手前2メートルと格好のチャンスにつけたが、バーディパットはカップに届かなかった。このプレーについては「弱さが出てしまった」と言って、苦笑いを浮かべる。こういったひとつひとつを、今後の糧にする。「もう今以上に悔しい思いをしたくない。ちょっとでも減らしていけるように。いい思い出を増やせるように」。悪天候が続いたコースに最後広がった青空のように、心にかかっていた重たい雲をここから吹き飛ばしていきたい。(文・間宮輝憲)

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