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暗闇ホールアウトで“びっくり”の木下彩 ミラクル連発で予選突破「打つか頑張るしかなかった(笑)」

本人も「ビックリ」! 木下彩が難関・ペブルビーチで予選ラウンドを突破した。

所属 ALBA Net編集部
高桑 均 / Hitoshi Takakuwa

配信日時:2023年7月8日 16時12分

<全米女子オープン 2日目◇7日◇ペブルビーチGL(米カリフォルニア州)◇6509ヤード・パー72>

世界一過酷な戦いのなかでも、もっとも厳しい午後スタートの最終組で、初出場の木下彩が目の覚めるようなプレーを連発した。2時57分スタートで、ハーフターン時ですでに6時近く。2ボギーが先行しながら2つのパー5でバーディを獲って迎えた後半、あたりも薄暗くなり始めたころ。数々のスーパープレーが飛び出すことになる。

真っ暗闇でホールアウトしました【大会フォト】

10番スタートのため、後半はアウトコースを回ったが、4番、5番で連続ボギー。この時点でトータル7オーバーまで後退した。「5オーバーだと思っていた」という予選カットライン。実際はトータル6オーバーだったが、「そこからはもう打つか、頑張るかしかなかった」と、一か八かの賭けにでる。

6番パー5は右が海に落ちる崖で、2打目からグリーンのあいだは丘を越えていくホール。ピンまで216ヤードの2打目でまずひとつ目のミラクルを起こす。7番ウッドを選択し「風に乗ってくれれば」と球を上げに行ったのはいいが、「右からの風と言われたので海の上からフックで行ったら、キャディも『え?』みたいな(笑)」。そんなブーメランショットがピン3メートルについた。

決めれば一気に仮想カットラインに届くとあって、「ホントにほしかったんですよ」とイーグルを狙ったが、惜しくも外れてバーディ。この時点で実際には予選通過圏内に入ったが、木下の想定には1打足りない。「もう一個」と思ったのもつかの間、そこからも海沿いをいく難ホールが続く。「え? どこで獲る?」とバーディ奪取にはハードな状況。だが、“さあ、どうする”状態の木下に2度目のびっくりが訪れる。

8番はセカンドが崖越えのこれまたハードなホール。そこで、およそ160ヤードの2打目をピン右奥8メートルにつけた。すでにあたりは暗い。そのなかで、木下は「あ! 強い!」と一瞬ヒヤリのバーディパットをピンに当ててねじ込んだ。「どう寄せようかと思うようなパット。危ない(笑)。ラッキーでしたね」と、ここでバーディを奪いトータル5オーバー。この時点でカットラインは確認できており「9番が楽になった」と少し気持ちが落ち着いた。

とはいえ、すでに日没後で真っ暗。「あんな右が海とかやったことないし(笑)」という右がすべて海の難ホールでティショットに成功し、2打目もグリーンに乗せた。「3パットでもOKと思った」と振り返るが、実はこれが下りの傾斜が強いライン。暗くて傾斜など見えなかったが、「野村(敏京)さんが先に打ってくれて、『あ、傾斜あるんや』と思って」とここでも天からのヘルプが入り、これを2パットで沈めてパー。「うれしいというかびっくりですよ」と、後半のミラクル連発には笑うしかない。

確かに運も味方したが、そんな好プレーを呼んだのは耐えたからこそ。そして、厳しい2日間を終えて賞金獲得の権利を得た今。「お金がほしい」と、賞金ゲットへの気持ちも働く。「ひたすら、ひたすら頑張る。頑張ります」と47位タイからさらなる浮上を目指す。取材を終えたのは夜9時。「帰って寝なきゃ」と元気に答え、明るくコースをあとにした木下のムービングデーに注目だ!(文・高桑均)

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