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氷は7トン準備! 酷暑続く日本列島…あつ~いコースで選手たちを“支えた力”【現地記者コラム】

4日間の平均気温が30度を超える真夏日。大会側の暑さ対策にはどのような工夫があった?

所属 ALBA Net編集部
高木 彩音 / Ayane Takagi

配信日時:2025年7月9日 12時00分

氷嚢に日傘に扇風機…菅沼菜々は完全装備で挑んだ
氷嚢に日傘に扇風機…菅沼菜々は完全装備で挑んだ (撮影:佐々木啓)

関東甲信越の梅雨明け予想は7月21日とされているが、そんなものお構いなし、と言わんばかりに、先週の国内女子ツアー「資生堂・JAL レディス」は4日間の平均気温が31度と酷暑続きに。選手はじめ、キャディ、ボランティア、大会運営者、メディアなど、それぞれの方法で暑さ対策をする姿がよく見受られる会場になった。しかし、セルフケアだけではとてもじゃないが耐えられない…。そんななか目を引いたのが、大会が準備した暑さ対策だった。

【写真】氷嚢は必須アイテム! 頭に“ちょこん”置きスタイル

この時期、最も警戒しないといけないのが脱水症状。このために、大会は、昨年まで6カ所だったコース内の飲料入りアイスボックスを10カ所に増加した。スポーツドリンク、水1万本のみならず、凍った水や、経口補水液も2000本準備された。大会が「働いているスタッフはボランティア(約200人)やメディアの皆さんも含めて600人ぐらいいます。その方たちもいい環境で働けるように」と話すように、選手だけではなく、これは試合に携わる関係者たちも飲むことができた。

例えばボランティアや、報道写真を撮影するカメラマンたちはトップスタートから全選手がホールアウトするまでの長い時間コースに出ている。それだけに、このドリンクが“飲み放題”は大きい。実際、弊サイトのカメラマンも凍ったペットボトル2本を持ちコースに出ても、これがすぐに溶けてしまうため、このコース内のドリンクはまさに“命の水”になっていた。

選手たちに体を冷やすための必須アイテムを聞くと、必ず返ってくる答えが「日傘と氷嚢」。この氷嚢に使用するためや、水筒用としてもそうだが、氷もコースに出るうえで欠かせない。これに対して、大会として「氷は、飲料用が3トン、氷嚢用が2.5トン、ドブ付け用の板氷は1.5トン」を用意。合計約7トンもの氷という、おいそれとは想像できない量が準備された。「氷がこまめに準備されていたのは助かりました」と選手たちも口をそろえる。

コース内の取り組みは、他にもある。「8番、11番のパー3は、つまりやすいホールなので小さいテントを設営して日陰をつくりました」。待ち時間を利用して体を休められるエリアは、3~4年ほど前から選手たちのダメージを軽減する役目を担っている。そしてコース内、1、10番のティショット後ろ側にある茶店(ハーフターン時に予選ラウンドは10分間、決勝ラウンドは15分間の休憩時間が設けられた)は、常に20度に温度が設定され、体を冷やすことができるようになっていた。これは「アース・モンダミンカップ」で初めて用意され、協会がお願いし、今大会も用意されたものだった。

また、「クールスポット」と呼ばれたエリアには、霧が噴射される大きな扇風機を準備。これが会場内に15台が用意された。初日は風速5.9m/sとピンも強く揺れるほどではあったが、選手たちは「この風があってよかったかもしれない。全くなかったら(体が)やられていたと思う」(吉本ここね)と、通常であればスコアメークのため“邪魔”な風も、ここではありがたいものになった。そういった声を聞くと“クールスポット”の存在はとても大きいと感じ、実際にその扇風機付近に集まる選手は多かった。

さらに会場となった戸塚CCからは、ゴルフウェアを冷やすスプレーがマスター室前に準備されていた。太陽の日差しが強いコースに出ていく前に冷やす選手の姿が多く見受けられた。

もちろん、“何かが起こってしまった時”の準備にも余念がなかった。大会には救急救命士が2名来ており、「その方たちが周りを見ながらギャラリープラザとか、この周りを歩いています」と選手の体調管理ももちろん、来場されたギャラリーのケアも忘れていなかった。

そのかいもあってか、4日間で2万703人の観客が訪れたが、救急車で運ばれたひとはいなかった。棄権した選手は6名でたものの、経口補水液や、凍った水、氷の準備がされていたこともあり、今大会を制した永峰咲希は「あとは気合いです」と覚悟を決めながら、笑顔ものぞかせる余裕を残していた。

まだまだ、女子ツアー夏の陣は、はじまったばかり。「大東建託・いい部屋ネットレディス」(24~27日)と「北海道 meijiカップ」(8月8~10日)の間には、一週間の“夏休み”もあるが、大東建託の福岡など、厳しい暑さと戦う場所での大会もまだ残っている。北海道3試合や、長野といった避暑地での試合も多いが、夏を避けられたのはいつの話か。異常な暑さに見舞われるかもしれない。

ギャラリーの分まで、大量の日陰テントなどが用意されても不思議ではない、現在の日本の猛暑ぶり。今後の各大会でも、さまざまな工夫が見られるかもしれない。健康第一。ツアー、大会一丸となり、安全なツアーが続くことを願いたい。(文・高木彩音)

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