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可能性に賭け“ひざを曲げアイアン背面で左打ち” 岩井明愛がトラブルトリの後に発揮した底力

首位で後半に向かった岩井明愛をおそったまさかのトラブル。一体なにがあった?

所属 ALBA Net編集部
間宮 輝憲 / Terunori Mamiya

配信日時:2024年9月7日 15時45分

ホールアウトにこの表情。岩井明愛は痛恨トリで首位を捉えられず
ホールアウトにこの表情。岩井明愛は痛恨トリで首位を捉えられず (撮影:福田文平)

<ソニー 日本女子プロ選手権 3日目◇7日◇かねひで喜瀬カントリークラブ(沖縄県)◇6670ヤード・パー72>

3打差の2位からスタートすると、岩井明愛は3番で15メートル、9番ではダブルブレイクの10メートルというロングパットを叩きこんだ。この2つのバーディなどもあり一時は首位の座にもついたが、11番パー4で思わぬトラブルに見舞われた。

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その苦しい時間は、ティショットを大きく右に曲げたところから始まる。木に当たってボールが落ちた場所は、生い茂る草の根元。一見しただけで大ピンチと言える状況だ。「アンプレヤブルや打ち直しの選択もありました」。それでも、キャディと相談ののち、何本もクラブを持ち込み、そこから2打目を打つことを決断した。

しかし、草の裏側でヒザを曲げ、アイアンのバックフェースで左打ちした2打目は空振りに。3打目も左ひざをついて同様に打ったが、今度はボールが真横に弾かれ、木の根元に落ちた。ここで競技委員を呼び、その指示のもと大きな枝を取り除くと、4打目も右ひざをつきながらクラブを振る。ここでようやくすぐ下のラフに脱出し、続くショットをグリーン手前まで運んだ。最後は寄せて1パット。だがカップインまでに7打を要するトリプルボギーで、大きく後退した。

「横に出すことも考えたけど、そこからも狙えない。どうせならチャレンジして出たらいいなと考えました。テンパった状況で判断するしかなかった。あれが一番いい方法だったかは分からないですけど、ミスしてしまったので仕方ない」。すべては結果論になるが、その時に最善と判断した方法に身を委ねた。

直後は「落ち込んでた」という気持ちも隠さない。それでも「みなさんが『頑張って』とか声をかけてくれました」と応援で気持ちを奮い立たせた。すると直後の12番で3メートルをねじ込んでのバーディ。「諦めないぞって。入ってくれたのでまた切り替えて頑張ろう」。そんな気持ちをガッツポーズで表現した。

「普段はあんなに長いの(パット)が入ることがないので、ラッキーですね」という序盤のロングパット連発など、ものすごい勢いでトップを追いかけた。トリプルボギーで流れが止まってもおかしくないが、そこから3つのバーディでミスを帳消しにする底力を発揮した。それもあり、トータル13アンダーの2位に踏みとどまることができた。

それでも後半に入り3つ伸ばした首位の竹田麗央との差は3打ある。「そこ(11番)からできれば全部(バーディを)取りたいという気持ちでいきました。3打差なら何があるか分からない。最後まで諦めずに頑張ります」。気持ちを立て直し奪い返したバーディを、あすのラウンドにつなげたい。(文・間宮輝憲)

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