<ニトリレディス 事前情報◇27日◇北海道カントリークラブ 大沼コース(北海道)◇6955ヤード・パー73>
今季の国内女子第23戦は、ツアー初開催となる北海道カントリークラブ 大沼コースが舞台だ。ツアー史上最長距離となる6955ヤードで、規定パーは73。そこで4日間を戦う選手たちに、印象を聞いてみた。
同ゴルフ場は、開業してから50年を超える歴史あるコースで、ゆるやかな地形の丘陵コースが特徴。その中にはアップダウンのホールもあり、池越えやバンカーなどの難所が連なる。パー72の18ホールの基本構成は、パー3が4つ、パー4が10個、パー5が4つだが、今大会はパー4が9つで、パー5が5つに増加している。
今回の注目ポイントは、やはり“ツアー史上最長距離”というところ。パー5が1つ増えたことで、一見、スコアを伸ばすチャンスが増えたように思えるが、1番と18番は590ヤードで、9番が570ヤード、14番と16番は545ヤードといずれも距離が長い。また左ドッグレッグのレイアウトが多いため、ティショットでとにかく飛ばせばいいというわけにもいかない。100ヤード以内にはバンカーがあるホールや、16番のようにグリーン左手前に大きな池があるなど、2オンを狙うとワナにかかる可能性も。決して“チャンスホール”とは言えないのだ。
前戦終了時点のドライビングディスタンス(DD)で255.97ヤードの5位につける葭葉ルミは、「ドライバーを使うホールは少ないかもしれない」と、突き抜けも考えられるため刻むイメージ。攻略ポイントは「メリハリが大事。狭いところはしっかりフェアウェイをキープして、コースなりに攻めていく。パー5での2オンは難しい。短いパー4とかティショットでいけるところはしっかりバーディを取れるようにドンっていきたい」と話した。ちなみに、DD261.77ヤードで1位の穴井詩でさえ、2オン狙いは厳しいと言う。
ティショットからの景色では、左の木がせまり、圧迫感がある。そのうえ左ドックレッグのためフェーダーの櫻井心那や、河本結、ルーキーで3試合前の「NEC軽井沢72ゴルフ」で優勝争いを演じた寺岡沙弥香のようなフェードを持ち球とする選手からしたら打ちにくさがある。寺岡は「少し気持ち悪いホールがあって、ウッドで刻まないといけない。ただでさえ長いのに…」と口をつぼめる。とはいえ、そこは割り切り、「お得感がないですけど、のんびり楽しくやっていきたいです」と持ち前の満面の笑みを見せる。
さらに今週は北海道特有の洋芝で、ターフが取りやすいほど地面はやわらかい。数人の選手に練習ラウンド中に撮影した写真を見せてもらったのだが、ティショットで打ったボールなどが半分以上見えなくなるほど埋まっていた。そのため、プリファードライが適用されている。
ニトリ所属のホステスプロで今季1勝の永峰咲希は、「ドライバーでもバックスピンするぐらい芝が緩くなっていて、ふわふわしている。ラン(転がり)がどうしても少なくなるぶん、セカンドが長い番手で打つことになる。グリーンも止まってはくれるけど、ところどころ奥に下るホールも多いので難しいですね。パー5が1つ増えたとしてもチャンスが増えたわけではないです」と話した。
さらに、パー5のほかにもパー4の3番(425ヤード)、15番(430ヤード)、パー3の17番(200ヤード)など、長い番手を使うシーンは多い。洋芝のラフは粘りがあり、入ると振り抜きが難しい。スコアを落とさないためにも、まずはフェアウェイキープがカギとなりそうだ。
この大会では、ホステスプロの優勝が未だ達成されていない。「ニトリさんも所属プロでの優勝を…って、この何十回ずっと言ってくれているので、もちろんみんな狙っているし、私も狙いたい。そのためには、取れるところで取って、後は耐える。それが大事だと思います」と、大会初、そして自身初のホステスVを狙って挑む。
ツアー史上最長コースで数々のワナもしかけられており、飛ばし屋が有利とは言えないセッティング。選手たちがどのようなマネジメントを駆使して攻め、そして守るのか、そんなところにも注目しながら楽しみたい。(文・高木彩音)
