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ペットボトル埋まる”想定外”の剛ラフでモンスター化 攻め方は千差万別で石川遼「今までにない日本オープンになるかも」

前代未聞の剛ラフ! 超難関・東京ゴルフ倶楽部を選手たちはどう攻める?

所属 ALBA Net編集部
ALBA Net編集部 / ALBA Net

配信日時:2024年10月10日 07時00分

<日本オープン 事前情報◇8日◇東京ゴルフ倶楽部(埼玉県)◇7251ヤード・パー70>

今年の日本オープンは”想定外”の深いラフが選手を悩ませる。かつての「日本オープン」といえば「深いラフと狭いフェアウェイ」が定石でラフはニラと表現されるほどだった。しかし、最近は世界的なトレンドもあり、ラフは以前の”ニラ”ほど深くないセッティングの傾向にあったが、今年は150ミリ、深いところでは20センチ以上のところもある。500ⅿlのペットボトルがすっぽり隠れるところもある。

こんなに芝が取れるの!?【写真】

前回開催した2001年の後にコースに手を加え、2019年にはすべての改造が終了した。前回の23年前に出場してローアマを獲得した宮里優作は、「全然知らないコースになった。もっとは木が多くてフェアウェイが狭くて、グリーンが小さくてアンジュレーションはなかった。グリーンに乗ればバーディチャンスだった」と話す。ホールをセパレートする木々は半分ほどに減って風通しがよくなり、ホール自体が広くなった。前回は曲げると林に入る選手がほとんどだったが、今回はラフで済みそう。フェアウェイの幅も「前回より2、3倍は広いけど、グリーンのアンジュレーションが大きい」とグリーン上は難度が増した宮里はいう。

しかし、宮里をはじめ出場選手に話しを聞くと、全員が「ラフが深い」と開口一番に出てくる。14回目の日本オープン出場となる石川遼は「自分が過去経験した中で1、2を争う深いラフ。全米オープンでも本当に深いラフを経験したことはあるけど、それに匹敵するような感じです」と世界的に見ても屈指のラフの深さが今年の特長の一つだ。

石川はラフの深さをうまく表現する。「普段だったらラフに行ったら浅ければいいなって思っていますが、今回はまず見つかればいいなと。見つかったらラッキーって思う感じ」とすっぽり埋まるどころか、伸びた芝が覆いかぶさって見つけにくくなる。他の選手からも「ロストや誤球が増えそう」との声もあったが、実際に宮里は2日前に行われたプロアマでグリーン周りでボールがロストボール(紛失球)になったという。

フェアウェイの横に2ヤードほどのファーストカットがあり、そのすぐに横から15センチ以上のラフ群が待ち受ける。そこにつかまれば容易にグリーンは狙えず、場所によっては「ウェッジで出すだけでも難しい」ほど。グリーン周りの深いラフでは、百戦錬磨の藤田寛之が「クラブの入れ方が分からない」という難所も数多く存在する。

大会前週までは一般営業も行っていた。当然ラフにボールが潜んでいる。前週の土曜日にハウスキャディさんらゴルフ場関係者が40名以上で一斉にラフのボールを”救出”したが、200個以上ともいえるボールが出てきたという。

ラフの生育具合については主催するJGA(日本ゴルフ協会)も想定以上になっているという。コースセッティングコミッティの山中博史チェアマンが説明する。「ラフは120ミリぐらいを予定していましたが、台風の影響による長雨などの影響で、機械によるラフを刈るタイミングを逃してしまった。手狩りで調整はしていましたが、思っていた以上にラフが長くなってしまった。150ミリとか深いところで200ミリ。それ以上の場所もある」。

ラフに入ってロストボールを防いだり、進行を遅らせないためにホールの両サイドでボールを探すスポッターやレフリーを例年以上に増員する対策をとっている。

想定外のラフの長さだが、選手は「ある意味フェア」と話す。過去には320ヤード以上の地点のラフが短い、あるいは大きく曲げた方がラフが浅いといった現象がよくあったが、今回はそれがなく、基本的にどこにいっても「深い」という。

つまり飛ばし屋がドライバーを握ってグリーンの近くまで運んだとしても、ウェッジで素直にグリーンを狙える状況はない。飛距離がアドバンテージになりにくい、というのが選手間の印象。飛距離に関係なくいかにフェアウェイからグリーンを狙うかの重要度が高いという。

フェアウェイキープといえば、年間通して80%近いフェアウェイキープ率を誇り、8季連続フェアウェイキープ率1位で、日本オープン2勝の稲森佑貴の名前が上がる。「ラフは防げるかもしれないけど、結局2打目が長い番手を握ることが多いので…」。

7259ヤード、パー70に設定された18ホール。加えて火曜日、水曜日と連日の雨によりフェアウェイはウェット。「ランが出ないから(コースが)長いです。(3番、15番の)距離の長いホールは届かないこともあります。グリーンも小さいですし…」。とロングアイアンやユーティリティ、ウッドを使って小さいグリーンに乗せることに難しさを感じている。

今季4勝を挙げて賞金ランキング1位の平田憲聖はショットの精度の高さとショートゲームを武器に好成績を残している。「セカンドは長いクラブでグリーンを狙わないといけないショットは増える。いかにフェアウェイからセカンドを打てるか。全ホール特長があって全ホール難しい」と頭をフル回転させる構えだ。

今回のセッティングを受けて石川は「今年は今までと違った日本オープンになると思う」と話す。「今までは割と(フェアウェイで)220ヤード残すより(ラフで)150ヤードを残す方がいいというセッティングだったけど、それが今回はちょっと違う気がすると感じます。自分のプランは決まっていますが、ほかの選手がどうプレーするのか楽しみ」と各選手がいろんな攻略法をもって臨むだろうという。

スコアに関しても石川は「1日1アンダー、2アンダー出れば非常にいい感じ」。平田は「4日続けてアンダーパーは難しいので4日間終わってアンダーなら」、稲森は「フェアウェイに行ってグリーンにのって、パットが入って、全部うまくいって3アンダー」と、大きなアンダーパーが出ないと予想する。

昨年のシニア賞金王の宮本勝昌は自身のスコアは「パー72のつもりでやる」と本来パー5だった3番と15番をパー5と想定して難しさを強調するが、「優勝スコアは二けた行くんじゃないかな。最近の若い選手は1日5アンダー、6アンダー出す選手もいると思います。レベルが高いのでね、楽しみです」。

宮本がいうようにドライバーの平均飛距離300ヤードは当たり前、180~190ヤードを7番アイアンで打つ選手も少なくない。そんな選手たちが想定外のラフでモンスターと化した東京ゴルフクラブをどう攻略するのか。今年のゴルファー日本一決定戦は面白そうだ。(文・小高拓)

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