<ドラッグストア・コスモスカップ 最終日◇4日◇グランフィールズカントリークラブ(静岡県)◇7156ヤード・パー70>
決着は最終ホールにまでもつれ込んだ。5打差の独走態勢を築いていた岩田寛を脅かしたのは、ツアー未勝利の32歳・勝亦悠斗だった。
前半は最終組が伸び悩み、岩田の牙城を崩すチャンスはなかなか訪れない。前半を終えた時点で、その差はむしろ6打に広がっていた。
「2位で終わればシードも確定するので」。2026年「関西オープン」での6位タイがこれまでの最高位。それだけに、単独2位でも十分に価値のある結果だった。
ところが、岩田が13番でボギーを喫すると、15番ではダブルボギー。みるみるうちに差が縮まり、最終ホールを迎えた時には1打差まで迫っていた。
思いもよらなかった初優勝のチャンスが巡ってきた。ゾーンに入ったかのように、勝亦の表情は研ぎ澄まされていた。ティショットはフェアウェイを捉え、セカンドはピン手前6メートルに着弾。ただ、難しいマウンド越えのラインだった。
「3パットをしてもいい」。覚悟を決めて放った一打はきれいにラインに乗り、そのままカップへ。雄叫びとともにガッツポーズが飛び出し、キャディと熱いハイタッチを交わした。
しかし、「勝ち方を知っているので、絶対入れてくる」と、45歳のベテランの壁は高かった。岩田は動じることなくバーディパットを沈め、プレ0-オフにもつれることはなく、勝亦の悲願は成就しなかった。
「家族の顔を見たら悔しくて。シードを獲れてうれしいですが…」。目に涙を浮かべながら、グリーンを後にした。
静岡県出身の勝亦にとって、まさに地元での大会だ。自己最高位を大きく更新し、ポイントランキングも31位に浮上。来季のシードを手中に収めた 。それでも、目の前まで迫った初優勝を逃した悔しさは、それ以上に大きかった。
勝亦は明治大学4年時の2016年12月にプロ転向。転向後はなかなか思うような成績を残せなかったが、フェアウェイキープと小技でゲームを組み立て、昨年はACNツアーを主戦場にし、「ジャパンクリエイトチャレンジ in 福岡雷山」で同ツアー初優勝を飾ると、ポイントランキング8位に入り、今季レギュラーツアー前半戦の出場権を獲得した。
また昨年は、9シーズン連続でフェアウェイキープ率1位に君臨していた稲森佑貴からその座を奪ったことでも一躍話題になった。
初優勝にはあと一歩届かなかった。それでも、その一歩が見えたことは、32歳のキャリアにとって大きな転機になったはずだ。(文・齊藤啓介)
