<ANAオープン 最終日◇20日◇札幌ゴルフ倶楽部 輪厚コース(北海道)◇7006ヤード・パー72>
2日目から首位を走ってきた内藤寛太郎が逃げ切り、涙の初優勝を飾った。3打リードで迎えた最終日に「66」をマークし、後続をさらに突き放す圧巻の逃走劇。トータル25アンダーでフィニッシュし、尾崎将司さんらが持っていた今大会の72ホール最少スコアを一気に5打も更新した。
「本当に長かった。長いゴルフ人生の中で優勝できてうれしいです」。地元・福島や東京から急きょ駆け付けた家族や支援者の前で、44歳のベテランが最高のゴルフを展開した。
序盤、2番パー4の2打目はピンに当たって30センチにピタリ。4番でもスコアを伸ばすと、5番パー5では3打目のアプローチをミスしたものの、続く4打目をチップイン。出だし5ホールで3バーディを奪った。
終盤も15番から3連続バーディ。「パーのホールはだいたいピンチだったので、パターが入っていなければ、いくつボギーを打っていたか分からない。最後までどんなミスが出るのかビビってました」という言葉とは裏腹に、ライバルたちに追い上げる隙を与えない圧勝だった。
前日、「朝からバタバタしていたので緊張する暇もなかった」と話していたバタバタの正体は、軽いぎっくり腰。トレーナーの処置を受け、きょうプレーできるのかと考えているうちにスタート時間を迎えた。最終日も腰にテーピングを張り、痛み止めを飲んでのラウンド。「かばってミスになる場面もあったけど、その分、アプローチ、パターに集中しました」とスコアへの影響は最小限にとどめた。
応援に駆け付けた所属先ロピアの高木勇輔元社長は、内藤を評価している点について「とにかく真面目」と話す。内藤自身も「酒は飲めないし、ハメを外すことはないですね」。
優勝副賞の国際線ファーストクラス、ペア往復航空券の使い道を聞かれると「両親にどこかに行ってもらいますかね」と話すなど、誠実な人柄を感じさせる。今大会のスコアではジャンボ超えも果たしたが、「今週は天気が良くて、風もなかったし、寒くもないしその分じゃないですか」とやはり控えめだった。
福島県出身者としてはツアー初の優勝。「地元で毎年、ジュニアのイベントをやっているんですけど、結果を出さないと示しがつかないなと思っていました。2年前、ACNツアーで優勝した時も子供たちや親御さんが喜んでくれたので、これでいい報告ができる。福島が盛り上がってくれるならなおいいなと思っています」。地元ではきっとジュニアたちが歓喜の声を上げているはずだ。
「優勝しないまま終わりたくないと思いながら、チャンスは少なくなっていくなとは感じていました。次の目標は何も考えていないんですけど、1試合1試合やっていくだけかなと思います」。次々に出てくる20代の若手に負けじと、ベテランがここからブレークする姿を見てみたいものだ。(文・田中宏治)
