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22歳・金子駆大がイーグル・バーディで逆転初V 初タッグキャディが導いた冷静な攻めのジャッジ

金子駆大が激戦を制し、涙のツアー初優勝を挙げた。

所属 ALBA Net編集部
ALBA Net編集部 / ALBA Net

配信日時:2025年5月19日 08時00分

金子駆大、最後は技ありショットで初優勝をたぐり寄せた
金子駆大、最後は技ありショットで初優勝をたぐり寄せた (撮影:佐々木啓)

<関西オープン 最終日◇18日◇日野ゴルフ倶楽部(滋賀県)◇7035ヤード・パー70>

首位タイから出た22歳の金子駆大(こうた)が1イーグル・3バーディ・2ボギーの「67」で回り、トータル15アンダーでツアー初優勝。一時は劣勢に追い込まれたが、終盤で鮮やかな逆転劇を披露した。

【写真】涙を流しながら抱き合う金子駆大

前半は1バーディ・1ボギーと悪い流れの中で伸ばせずに折り返す。足踏みしている間に、浅地洋佑にかわされて2打差に後退した。「攻めないことには勝てないので、攻めるジャッジをしました」。上がり3ホールで勝負に出た。

530ヤードの16番パー5は、フォローの強い風が吹き、砲台グリーンの手前6ヤードにピンが切られていた。ほとんどの選手が2オン狙いだったが、風を計算しすぎてか、グリーン手前に止まるシーンも多かった。

金子の2打目はピンまで205ヤード。5番アイアンで直接グリーンに落として、ピン左8メートルに乗せた。「上って下ってスライスする」難しいラインを読み切り、イーグルパットを沈めて浅地をとらえた。

「キャディに『直接(グリーンを)キャッチしても止まる』と言われたので、狙いました。バーディは必須でしたが、イーグルはラッキーですね」。今週初タッグのスコット・ビントキャディの後押しが、勝負どころで光った。

続く17番パー3では7メートルのバーディパットを沈めて単独首位に浮上。だが、18番では試練が待っていた。ティショットが右に曲がり、フェアウェイバンカーのアゴ近くに止まる。クラブ選択で8番か9番か迷ったが、「8番では嫌な予感がした。キャディが『刻んでいこう』と言ってくれて冷静になれた」と、9番アイアンで無理をせずフェアウェイに運んだ。

3打目はピンまで92ヤードで、左足上がりの打ち上げ。風はアゲンストだった。パーで優勝、ボギーでプレーオフ、ダブルボギーなら敗戦という状況だ。

「こういうシチュエーションが得意ではなくて、ダボだけは打たないように。プレーオフに持ち込めれば」と思っていた。頭によぎるのはバックスピンで戻りすぎての3パットや、グリーン右に外しての難しいアプローチなど、最悪のシナリオ。

そのとき、ビントキャディがつぶやいた。「奥でいい」。雨で柔らかくなったグリーン、左足上がりのライ、アゲンストの風。バックスピンがかかる条件はそろっていた。「緊張した場面で、低い球で思い切り打てる距離だったのは良かった」と、勝負の一打を振り返る。

狙い通りピンの奥にキャリーすると、バックスピンと傾斜を使ってピン右1メートルに乗せた。プレーオフの準備をしていた浅地がその一打を見て、「帰ろう」と言ったほどのスーパーショットだった。

生涯初のウィニングパットは「心臓の音が聞こえるぐらい緊張しました」とプレッシャーを楽しみながら冷静に流し込むと、涙がこみ上げた。昨季はシード選手1年目としてトップ10入り7回、2位が2度あったが、あと一歩が届かなかった。

ゴルフをやらせてもらった母への感謝の気持ちはもちろんだが、「涙もろいんです」とコース上でのポーカーフェイスとは違う、感情が表に出る一面をのぞかせた。

「今年は賞金王か、賞金ランキング3位以内が目標。早く海外に行きたい」と話す。海の向こうでは、同い年で小学校低学年からの友人である久常涼が米ツアーで奮闘している。「ぜんぜん次元が違うところでやっているので、追いつけるかわからない。でも、自分なりにがんばります」。

久常は今週、「全米プロ」で決勝ラウンドに進出した。その背中を追いかけるために、22歳は今年、海外進出への足がかりを作る。

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