中西直人のバッグを担ぐ植村啓太コーチ　初日から言い続けてきた「散歩だよ」の意味

中西自身も「打った瞬間に右に飛んで行くのが怖かった」とドライバーの不調を明かしている。バックスイングでもフェースを閉じたままシャットに上げていたが、3週前からは「思い切ってフェースをクローズからオープン方向に変えています。クローズからオープンって全然違うんですよ。だから彼は『大改革』と言っているんです」と、シーズン終盤に来てスイング改造に踏み切った。

それでも、「本人のなかではオープンの感覚なんですけど、僕がきょう見ていて、スクエアかちょっとクローズ気味」と完全には修正できていないが、「球は安定してきている」と、中西のもっとも近くにいる植村氏はみる。

そんな2人の今週のテーマは『散歩』だという。「彼は基本的に気合いが入り過ぎちゃうタイプ。そうすると、球が飛び過ぎちゃったり、つかまりが強くなったりする。だから今回は『散歩だよ』と言い続けています。すぐ短いクラブを持って、ガーンと行こうとするので、『1個上のクラブで全然いいよ。ちょっと落ち着きなよ』と、僕がコントロールしています」と植村氏は明かす。

「あしたも精一杯男子ゴルフ界を盛り上げるように、そして最後に僕がトロフィーを掲げられるように頑張ります」と初優勝へ意気込む中西だが、賞金1000万円を上積みすれば賞金シードに当確ランプが灯る。3〜4位が目安となるだろう（単独3位は1360万円、単独4位は960万円）。3位でバックナインを迎えたときに、リスクを冒して優勝を狙いに行くのか、それとも順位を守りにいくのか、果たして。（文・下村耕平）