今季3勝を挙げ、現在世界ランキング4位のマシュー・フィッツパトリック。そのスイングを、プロコーチ・阿河徹が詳細に分析。アマチュアが参考にしたいポイントを解説してもらった。
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私がフィッツパトリックを初めて見たのは、2017年ごろ。当時はまったく知らなかったのですが、練習場でスイングを見たら、めちゃくちゃ良かった。ただ、今とはまったく違うスイングで、当時の彼はいわゆる「首切り系」のスイング。技術的な完成度は高く、いい選手ということは間違いないのですが、タテ振り傾向が強く、トップツアーで結果を残せるかは未知数という印象でした。
今の彼のスイングは大きく変わっています。まずグリップがものすごくストロングになっています。あわせて構え方も、バックスイングでインサイドへクラブを上げる雰囲気を出しています。スイングをスタートすると、右への回転量が半端じゃない。こんなにも右への回転が大きい超一流選手は、今の世界でも彼しかいません。通常、右への回転量を増やすと、ダウンスイングで左に向けなくなります。
ですから現在のトレンドは、右回転量を抑える方向に進んでいます。ローリー・マキロイなども左サイドにブロックをかけながら、全体の右の回転量を制御しています。
真逆の動きをしているフィッツパトリック。バックスイングを深く担いでいくと、シャフトクロスが起きます。彼の場合、これが偶然ではなく、意図的なものだと感じさせます。右回転量を増やして意図的にシャフトクロスさせることで、クラブをインサイドのシャロー方向から入れることができる。もともとスティープだった彼が、インサイドからシャローに下ろすために選んだスタイルのように感じます。
インパクトでは、左に回転しながら目標方向に体を向けて打つのが、最も力が出る形。飛距離が求められるPGAツアーでは、取り入れたい動きです。しかし、タテ振りの選手が目標方向に体を向けると、クラブがアウトから入ってきてしまいます。だから、クラブをインサイドからコントロールできる形を先に作る必要があったのではないかと、推測できます。
余すことなく力をボールに伝える。目標に向きながら打ってもインサイドからの軌道を確保する。そのためのアドレス、バックスイングだと思います。
■マシュー・フィッツパトリック
1994年生まれ、イングランド出身。2013年の「全米アマ」を制したザ・カントリークラブが舞台となった22年の「全米オープン」でメジャー初制覇。今季は3勝を挙げ、年間王者を狙う
■解説:阿河 徹
あが・とおる/1976年生まれ。藤本佳則や塩見好輝ら数多くのツアープロを指導。現在は東京都の井山ゴルフ練習場でアマチュア向けのレッスンを行っている。古今東西のスタープレーヤーのスイングに精通するレッスンプロ