国内男女ツアーや米国のPGAツアーで圧倒的な使用率No.1を誇るフジクラシャフト。マイナビネクストヒロインツアーの選手からも注目度が高く、今季から同ツアーをサポートすることもあり、今回はシャフトに悩む2選手がフジクラゴルフクラブ相談室を訪れた。
悩みはドライバーでも…全体を計測しベストを探す
1人目は今井鮎美(いまい・あゆみ)選手。今季のマイナビネクストヒロインツアー全4試合に出場して、同ツアーではトップクラスの飛距離を誇っているが、実はドライバーで悩みを抱えていた。
今井 私はドローヒッターなのでつかまりの良いシャフトが好きなのですが、最近はつかまり過ぎて左に飛ぶミスが出るのが悩みです。
フィッティングを担当してくれたのは女子ツアーに帯同している飯村俊哉さん。フジクラのフィッティングはまずマイクラブの計測からはじまる。計測するのはドライバーだけではなく、フェアウェイウッド、ユーティリティ、アイアンについても重さ、長さ、バランス、振動数などを調べていた。
飯村 今井さんのようにドライバーのシャフトフィッティングに来られた方でもキャディバッグを持ってきたお客さんはフェアウェイウッド、ユーティリティ、アイアンのクラブも計測します。ドライバーのシャフトを選ぶときでも、やはりセッティング全体を考えた上でどういうシャフトがベストかというのが大事だと思っています。
今井 すごくありがたいです。実は私はドライバーの調子が良いときにアイアンの調子が悪かったり、アイアンが絶好調のときにドライバーが当たらなかったりするので、それも調べてもらいたかった。あとウェッジだけスチールシャフトになっていので、アプローチの距離感がバラバラなのかなと思っていました。
飯村 わかりました。それも含めてフィッティングしましょう。まずはドライバーからはじめます。
今井 よろしくお願いします。
フィッティングは問診からスタート。ドライバーの悩みや昔使っていたシャフト、理想とする球筋や、許せるミスと許せないミスなど丁寧に話を聞いていた。そして、今井選手がウォーミングアップするスイングを見ながら、飯村さんが持ってきたのは『24 ベンタス RED』と『24 ベンタス BLUE』だった。
今井 『RED』はタイミングがとりやすいけど、ドローが強めになりそう。『BLUE』はすごく振りやすい。同じ重さなのに軽く感じてくれたのでスピード感がありました。
飯村 『BLUE』は1球目から当たりが厚くてナイスショットが出ましたね。上級者やプロは何球か打てば調整できてしまうので、1球目とか2球目の結果をいつも重視しています。だから、フィッティングでは3球くらいしか打ってもらいません。
『24 ベンタス BLUE』のトラックマンの計測データはキャリーが230ヤード、トータルで250ヤードを超えるショットを連発していた。その後も『ベンタス TR RED』や『スピーダー NX バイオレット』なども試したが、『24 ベンタス BLUE』がベストだった。
飯村 ドローヒッターなので先中がしなるシャフトを好むのはわかるのですが、今井選手のスイングだと手元側からしっかりしなったほうが飛距離のポテンシャルを最大限に発揮できます。だから『24 ベンタス BLUE』は飛距離が伸びたと思います。
今井 普段はキャリーで220ヤード弱、トータルで240ヤードくらいなので、『24 ベンタス BLUE』の数字はビックリしました。次の試合からすぐに使いたいです。間に合いますか?
飯村 何とか頑張ります!
続いてアイアン、ウェッジのシャフトフィッティング。
今井 アイアンは今使っているシャフトが少し重く感じるので、もう少し楽に振れるのが良いです。
飯村 たしかにアイアンでウォーミングアップしているのを見ると、シャフトが重くて右に抜けるミスが出ていましたね。
今井 試合でも右へのミスが出ます。
アイアンやウェッジでも複数のシャフトを試した結果、アイアンで一番良かったのは『MCI70(R)』、そしてウェッジは『トラヴィル95(R)』が安定していた。
今井 アイアンの『MCI』はまったり感がなくて、シャープに振れる感じが良かったです。逆にウェッジの『トラヴィル』は良い意味でヘッドが来ないというか、少し粘ってくれる感じがあったのでタイミングをとりやすかったです。
飯村 アイアンは重量を軽くしましたけど、極端にしなり幅が大きいシャフトではないので、タイミングがとりやすいと思います。逆にウェッジは先調子のスチールシャフトが今井さんには合っていなかった。だからちょっと重さがありつつ、しっかり感がある方がヘッドが待ってくれると思います。
今井 ウェッジはダウンスイングで「間」がとれる感じがすごく良かったです。
今井選手はドライバーだけの予定だったが、アイアンとウェッジのシャフトも交換することになった。
飯村 競技ゴルファーやプロでもそういうケースはありますし、アマチュアゴルファーの方だと1本ずつネットや店舗で購入される方が多いので、セッティングの流れとしてはバラバラになりやすい。そういう人ほど14本の流れを整えるとスコアアップにつながる可能性が高いです。
こだわりセッティングの選手には驚きの提案が
2人目は京都在住の神社佐也加(かんじゃ・さやか)選手。強豪・大手前大学ゴルフ部ではキャプテンをつとめ、現在はマイナビネクストヒロインツアー経由でプロテスト合格を目指している。
神社選手のフィッティングもまずはクラブの計測からスタート。するとフィッティングを担当した飯村さんも驚いてしまうセッティングだった。なんとドライバーからパターまでの14本がすべて地クラブ。ドライバーのシャフトも大手メーカーのものではなかった。
飯村 すごくこだわりのあるセッティングですね。
神社 クラブは地元・京都の工房さんで組んでもらっていて、ずっと担当してもらっている方と一緒にヘッドとシャフトは選んでいます。
飯村 シャフトのトルクが6を超えていて、かなり攻めた組み合わせです。
神社 そうなんです。私はもう少し飛距離が欲しかったので、工房の方とも飛距離アップを優先して、しなりを大きくしつつ、ギリギリまで低スピンになるシャフトとヘッドの組み合わせにしてもらっています。
飯村 なるほど。かなり考えられた組み合わせですね。
神社 はい。フィッティングもしてもらっています。ただし、攻めている分、低スピンになりすぎてドロップすることがあるので、それを解決できるシャフトが見つかったらいいなと思っています。
飯村 とりあえず何本か候補を持ってきます。その中で合うものがあるか、テストしていきましょう。
フィッティングでは『スピーダーNX グリーン』『スピーダー NX バイオレット』『ダイヤモンドスピーダー』など様々なシャフトをテストしたが、なかなかエースシャフトを超えるモデルは見つからない。
神社 今日打ったなかでは『スピーダー NX バイオレット』が自分のスイングテンポに合っている感覚があって振りやすかったです。硬すぎることなく、安定してくれる感じが良かったです。
飯村 たしかに『スピーダー NX バイオレット』はスイング軌道もトラックマンの結果も悪くなかったのですが、個人的には無理にシャフトを変えなくても良いかなと思いました。
神社 えっ! それでもいいんですか??
飯村 タメがあってマッチしそうなシャフトをいくつか提案させていただきましたが、現状お使いのシャフトが使い慣れていることもあり、1番タイミングがとれていました。無理にシャフト変更しなくてもヘッドのロフト角を上げるなど、わずかな調整だけでもドロップなどの悩みは解決できると思います。地元の工房の方にも相談してみるのがいいでしょうね。京都から来ていただいたのに、本当に申し訳ないのですが…。
神社 いえいえ、こちらこそすみません。
神社選手のセッティングはかなり本人にマッチしているようだ。ちなみにアイアンのシャフトは6番アイアンだけ『トラヴィル(75R)』にして、他の番手はスチールシャフトになっていた。その理由は?
神社 6番アイアンが全然当たらなくなって、いつもの工房に相談したら『トラヴィル』を薦められて、これに変えたら打てるようになりました。ただ、他の番手とのバランスは大丈夫かなと思っています。
飯村 それも計測させてもらったのですが、しっかりバランスも計算されていたので、今のままで良いと思います。おそらく7番アイアンからPWを『トラヴィル』にすると飛距離が出すぎてしまったりする可能性もあると思います。現状維持でいいと思います。
神社 フィッティングって、こういう結果になることもあるんですか。なんかフィッティングしたからにはフジクラのシャフトにしないといけないみたいなイメージでしたけど。
飯村 全然そんなことはありません。実際にアマチュアゴルファーがフィッティングに来られて「やっぱり今までのシャフトが良かった」という結論になることもありますし、そういう場合はシャフトの交換はしません。だから、もっと気軽にフジクラのフィッティングを受けてもらいたいです。
神社 でもクラブを全部計測してもらって、これだけフィッティングしてもらった上で「今のままがいい」と言われたのはすごくスッキリしました。シャフト選びでモヤモヤしていたものがすべて解決されましたし、それだけでも次の試合は自信を持って挑めそうです。
飯村 ありがとうございます。
アマチュアゴルファーにとってシャフトフィッティングはハードルが高い。競技ゴルファーや上級者向けという印象もあるし、フィッティングを受けたからにはシャフトを購入しないといけないというイメージもある。しかし、フジクラのフィッティングは違った。あくまで、一人一人にベストなシャフトを提案するスタイル。その結果としてフジクラのシャフトを提案することもあれば、現状維持という場合もある。それがフジクラゴルフクラブ相談室のスタイル。そこは販売店ではなく“相談室”だった。
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