ALBA Net  ゴルフ
ALBA Net  ゴルフ

“番手別最適設計”はアマチュアの武器になる! 内川聖一と“ネクヒロ選手”が『Mizuno Pro』の最新アイアンを距離別試打

ミズノは『Mizuno Pro』アイアンの新モデルとして『M』シリーズを発売する。反発と打感の両立を目指した“飛び系”の鍛造アイアンに仕上がっているとのことだが、コースでどんな性能を発揮するのか。今回は、元プロ野球選手の内川聖一とマイナビネクストヒロインゴルフツアーに参戦した経験を持つ佐々木理乃に『Mizuno Pro』の最新アイアンをテストしてもらった。

所属 ゴルフライター
田辺直喜 / Naoki Tanabe

配信日時:2025年8月21日 18時30分

「Mizuno Pro」にアイアンの最新モデルが追加。左から『M-15』、『M-13』、『S-1』
「Mizuno Pro」にアイアンの最新モデルが追加。左から『M-15』、『M-13』、『S-1』

「番手別設計」を徹底追求したハイパフォーマンスモデル


ミズノは今年3月に「Signature(シグネチャー・象徴)」の“S”を冠した軟鉄鍛造ハーフキャビティアイアン『S-3』をリリース。これまでとモデル名を一新し、世界特許の鍛造技術を持つアイアンメーカーとして新たな挑戦をスタートさせている。
 
そして今回8月21日(木)にリリースされた最新モデルが「Modern(モダン・新しい)」の“M”を冠した『M-13』『M-15』だ。
 
軟鉄鍛造1ピースの伝統的な構造で打感や操作性を徹底追求したツアーモデルアイアンが『S』シリーズとするなら、『M』シリーズは最新テクノロジーを駆使したハイパフォーマンスモデル。ミズノらしい精悍な顔、卓越した打感を持ちつつ、飛びや寛容性を高めることに成功している。
 
そんな『M』シリーズのキモとなるのが“番手別最適設計”だ。
 
アイアンというクラブは、番手ごとに求められる弾道、性能が異なる。ショートアイアンは正確な距離を刻み、弾道を自在にコントロールする操作性が必要だし、ロングアイアンならミスヒットに対する寛容性や飛距離性能、ボールの上がりやすさが求められる。『M』シリーズでは3つのカテゴリに番手を分け、それぞれに異なる素材、構造を採用することでアマチュアでもやさしくグリーンを狙える性能を実現したという。
 
例えば、『M-13』は4番と5番がロングアイアン、6番から8番がミドルアイアン、9番からGWをショートアイアンとカテゴリを分けている。ロングアイアンはフェースの反発性能や寛容性を徹底追求し、安定した飛距離が出せるヘッドに仕上げているし、ミドルアイアンはただ飛ぶだけでなく、適度な操作性を持たせる構造を採用。一方、ショートアイアンは1ピースのヘッド構造にすることで心地良い打感や操作性を重視している。同じ感覚でスイングしたときに、ヘッド構造や素材によって番手ごとに最適な弾道が出るように細かなチューニングが施されているのだ。
 

ロングアイアンは飛ばすための設計に
ミドルアイアンは操作性を高める設計に
ショートアイアンは操作性と打感を追求
M-15もM-13と同じく、番手別に性能を変化させている
短い番手は半中空設計
1 / 5
ロングアイアンは飛ばすための設計に

では、その“番手別最適設計”はコースで打ち比べたときにどんな性能を発揮するのか。今回は元プロ野球選手の内川聖一とマイナビネクストヒロインゴルフツアーで活躍した経験を持つ佐々木理乃に『Mizuno Pro』の新アイアンのテストを実施してもらった。最新ギアに精通するゴルフライターの鶴原弘高を聞き役に、試打テストの模様を紹介していく。

『M-13』は飛距離と操作性のバランスが良く、ソールの抜けもピカイチ


最初にテストを行ったのは内川。グリーンまで残り195ヤード、アゲインストの風が吹く中、『M-13』の5番アイアンを振り抜くと、軽いフェードの強い弾道でグリーンをとらえることに成功した。

「Mizuno Pro」の最新アイアンをテストした写真左から元“マイネク選手”の佐々木理乃、元プロ野球選手の内川聖一、聞き役のゴルフライター鶴原弘高

「Mizuno Pro」の最新アイアンをテストした写真左から元“マイネク選手”の佐々木理乃、元プロ野球選手の内川聖一、聞き役のゴルフライター鶴原弘高

「200ヤード近くになるとしっかり打たないといけないと考えてしまいますが、『M-13』はいい感じにボールを拾ってくれて打ちやすいですね。ソールが抜ける感じも気持ちいいです。自分のMAXの力を出さなくても、狙った距離に飛んでくれる気がします。これだけ長い距離でもしっかりスピンが効いてグリーンに止まってくれることに驚きました」(内川)
 
『M-13』の4番と5番は「高反発で飛ばせる」設計が採用されている。「フルポケットキャビティ構造」によって薄肉エリアを広げ、フェースのCOR(反発係数)を高めて、高初速エリアを拡大。さらにミズノ独自の「コンターエリプスフェース」を組み合わせることで、圧倒的な弾きとミスヒットへの強さを実現している。
 
鶴原が所持する弾道計測器「GCクワッド」で内川の5番アイアンの弾道データを計測すると、ボール初速65.3m/s、打ち出し角14.1度、スピン量6,804rpmでキャリー204ヤードという驚異的な数値だった。特筆すべきはグリーンに対する落下角が49.6度と高かったこと。一般的に45度を超えるとグリーンに止まりやすいと言われており、『M-13』のロングアイアンが高さと飛びを高い次元で両立していることが分かる。
 
続いて試打を行ったのは元“マイネク選手”の佐々木理乃。『M-13』の7番とPWを打つと、そのコントロール性の高さに太鼓判を押す。

小学生からゴルフを始め、世界ジュニアに出場した経験もある佐々木理乃。2023年までマイナビネクストヒロインゴルフツアーに参戦し1勝を挙げている。ドライバー飛距離が250ヤードを超えるショットメーカー

小学生からゴルフを始め、世界ジュニアに出場した経験もある佐々木理乃。2023年までマイナビネクストヒロインゴルフツアーに参戦し1勝を挙げている。ドライバー飛距離が250ヤードを超えるショットメーカー

「ライン出しなど、ピンを狙っていく時に操作できるか試してみましたが、『M-13』はすごくコントロールしやすく感じました。狙い通りのフェードが打てましたね。ソールの抜けの良さもあるので、出したい方向にボールが出てくれます。すごくキレイな球が出るので安心して打てます」(佐々木)
 
飛びを重視したロングアイアンに対し、『M-13』の6番から8番は反発性の高い素材「SCM415(クロモリ)」を使ったフェースに「マイクロスロット構造」を採用することで、飛びと操作性のバランスを取っている。また、9番からGWは軟鉄鍛造の1ピースに設計し、打感と操作性を追求。さらに全番手共通で抜けの良さに優れた「トリプルカットソール」を採用するなど、やさしく狙った距離を飛ばしながら、イメージ通りの弾道が出せるアイアンに仕上がっているのだ。
 
テストを見守っていた鶴原も「『M-13』はどの番手もキレイにスピンが入っためくれるような“プロ球が打てますね。高い弾道でグリーンにズドーンと落として止めることができます。コントロールしやすいことはもちろん、飛び過ぎることもありませんので、安定してグリーンを狙えるはずです」と評価していた。

“番手別最適設計”によって、飛びと操作性を高い次元で両立した『M-13』。ツアーモデルのアイアンから移行しやすて、やさしくグリーンを狙えるようになるモデルと言えそうだ

“番手別最適設計”によって、飛びと操作性を高い次元で両立した『M-13』。ツアーモデルのアイアンから移行しやすて、やさしくグリーンを狙えるようになるモデルと言えそうだ

『M-15』は強い弾きでボールが前に伸びつつ、グリーンにしっかり止まる


キャビティ形状の『M-13』に対し、中空構造のブレードアイアンとして性能を高めたのが『M-15』だ。『M-13』とは違った“番手別最適設計”を採用し、より高初速・高弾道で飛ばせるアイアンになっている。

見た目は精悍なマッスルバックだが、“番手別最適設計”によって圧倒的な飛びと高さ、寛容性を持った『M-15』

見た目は精悍なマッスルバックだが、“番手別最適設計”によって圧倒的な飛びと高さ、寛容性を持った『M-15』

『M-13』と同じくグリーンまで残り195ヤード、アゲインストの風の中で内川が『M-15』の5番を振り抜くと、風を突き抜けるような強弾道でボールはグリーン奥めにキャリーした。

「GCクワッド」の計測データはボール初速66.0m/s、打ち出し角13.0度、スピン量6,315rpm、キャリー212ヤード。同じ条件で打った『M-13』よりも1番手上の飛距離が出ていた

「GCクワッド」の計測データはボール初速66.0m/s、打ち出し角13.0度、スピン量6,315rpm、キャリー212ヤード。同じ条件で打った『M-13』よりも1番手上の飛距離が出ていた

「めちゃくちゃ良い球が出ました。『M-13』よりロフトが立っているぶん、前に伸びるような強い球が打てる気がします。この弾きの強さは魅力的ですね」(内川)
 
同じく『M-15』の5番を打った佐々木は、そのやさしさを絶賛する。

佐々木の『M-15』(5番)の弾道データはボール初速51.6m/s、打ち出し角18.0度、スピン量5,809rpm、キャリー172ヤード。落下角も45.1度を記録しており、女子選手のパワーでも5番でしっかりグリーンに止まる球が打てていた

佐々木の『M-15』(5番)の弾道データはボール初速51.6m/s、打ち出し角18.0度、スピン量5,809rpm、キャリー172ヤード。落下角も45.1度を記録しており、女子選手のパワーでも5番でしっかりグリーンに止まる球が打てていた

「飛びを強化したモデルとのことですが、構えてみると顔は『Mizuno Pro』らしいキレイさで、『M-13』よりも少し大きい感じでした。5番でもつかまりが良いですし、弾くような打感も気持ち良かったです。ボールが伸びるように飛びながらも、しっかり止まってくれたことに驚きました」(佐々木)
 
『M-15』は4番から7番まで高初速・高弾道で飛ばせるヘッド構造を採用している。内部に約50グラムのタングステンをソールから少し浮かせた状態で配置することで、重心を低く、深くすることに成功。楕円形状の肉厚分布でフェース反発を高める「コンターエリプスフェース」との組み合わせで、高く伸びるような球が打ちやすくなっている。

『M-15』はソール幅が広めでダフリにも強い。しっかりとした抜けの良さもあるので、あらゆるライからボールを飛ばすことができる

『M-15』はソール幅が広めでダフリにも強い。しっかりとした抜けの良さもあるので、あらゆるライからボールを飛ばすことができる

『M-15』の下の番手は8番がタングステンなしの「SCM435(クロモリ)」の中空構造で、9番からGWが軟鉄の半中空に設計されている。
 
「本当に簡単で、打つことに怖さが全くないです。こういう打ち出しでこう飛ばしたいという気持ちにクラブが答えてくれる感じです。コースでもショットに集中できますね。『M-15』は飛距離性能が高いぶん、同じ距離でも小さい番手を持てるので精神的に安心して打てます。クラブの“番手別最適設計”で同じように打って、距離が勝手に揃ってくれる。こんな心強いことはないですね」(内川)
 
「今日『Mizuno Pro』の『M』シリーズを試して、すぐにでも試合で使いたいと思いました。ミズノらしいキレイな見た目とスムーズな抜け感を残しつつ、テクノロジーを加えて、番手ごとの飛びをコントロールしてくれていますので、試合でプレッシャーがかかった場面でも安心して使うことができます。どちらのモデルも試合ですぐに使えそうな完成度でした」(佐々木)
 
『M-15』は7番が29度とロフトが立った飛ばせるタイプのアイアンですが、“番手別最適設計”のおかげで、アスリート向けアイアンを打ったようなキレイな弾道になります。タングステンを内蔵した7番、クロモリの8番、軟鉄の9番と振り感や弾道がスムーズにつながるように設計されていることもポイントですね。『M』シリーズは間違いなく、アマチュアでも打てる“ミズノのアイアン”ですから、ぜひ番手別に試打をして性能を体感していただきたいです」(鶴原)
 

ミズノが『M』シリーズで打ち出した“番手別最適設計”が「心強い」と3人は口を揃える。あらゆる番手で最適な振り感と弾道が得られることはアマチュアゴルファーにとって大きなメリットだ

ミズノが『M』シリーズで打ち出した“番手別最適設計”が「心強い」と3人は口を揃える。あらゆる番手で最適な振り感と弾道が得られることはアマチュアゴルファーにとって大きなメリットだ

ツアーモデルの最新『S-1』とUTアイアンの『FLI-HI』もテスト


ミズノは『Mizuno Pro』の新モデルとして『M』シリーズの他に、ツアーモデルの『S-1』とUTアイアンの『FLI-HI』も同時に発表した。
 
『S-1』は「チャネルバックデザイン」を採用した本格的なマッスルバックアイアンで、『Mizuno Pro』の中でも最高のフィーリング性能を持っている。一方、『FLI-Hi』は前作よりも飛距離性能、弾道の高さが進化したやさしく打てるロングアイアンに仕上がっている。

写真左がマッスルバックのツアーモデル『S-1』、右がUTアイアンの『FLI-HI』。パワーのある上級者を中心に人気のモデルだ

写真左がマッスルバックのツアーモデル『S-1』、右がUTアイアンの『FLI-HI』。パワーのある上級者を中心に人気のモデルだ

『S-1』の7番をテストした内川は、その極上の打感に思わず笑みがこぼれる。
 
「打感というか、インパクトで手に来る感触がたまらないですね。めちゃくちゃ気持ちいいです。ボールがフェースに長く当たっている感じがします。この感触はたまらんです」(内川)

打感の良さはミズノの真骨頂。中でも軟鉄鍛造1ピースの『S-1』のフィーリング性能はシリーズの中でも最高峰に位置する

打感の良さはミズノの真骨頂。中でも軟鉄鍛造1ピースの『S-1』のフィーリング性能はシリーズの中でも最高峰に位置する

一方、『FLI-HI』については、「ティショットで最高の武器になる」と評価。
 
「アイアン型なので構えやすいですし、すごく簡単に打てます。フェースに球が乗ってくれますね。高さを出そうとしなくても、しっかり上がって、前に伸びてくれます。ドライバーが使えない狭いホールでこういうクラブが使えると安心です」(内川)

強く伸びるようなボールで飛距離を稼げる『FLI-HI』。ウッド形状が苦手なゴルファーにおすすめだ

強く伸びるようなボールで飛距離を稼げる『FLI-HI』。ウッド形状が苦手なゴルファーにおすすめだ

その卓越したフィーリング性能で世界中のゴルファーを魅了するミズノのアイアン。プロや上級者から絶大な支持を受ける一方で、「アマチュアには難しい」というイメージも依然として根強い。しかし、新たに登場した『Mizuno Pro』の『M』シリーズはそんな過去のイメージを覆す新しい可能性に満ちている。今までミズノのアイアンを使ったことのある人もそうでない人もぜひ一度、新モデルを試してみてほしい。気持ち良く打てて、安定してグリーンをとらえる。そんなアイアンを打つ本当の楽しさに気づくはずだ。

この記事を動画でもチェック!⇩

取材協力/ザ・ナショナルカントリー倶楽部 千葉 撮影、構成/田辺直喜


おすすめコンテンツ

関連サイト