“やさしいツアーウェッジ”が4年ぶりのリニューアル
テーラーメイドは9月4日より最新モデル『Hi-Toe 5』ウェッジの発売をスタートする。同シリーズは国内では2022年発売の『Hi-Toe 3』ウェッジ以来、4年ぶりのリニューアルとなる。
テーラーメイドの『Hi-Toe 5』ウェッジは、同シリーズとしては初めてプレミアムソフトカーボンスチールによる「軟鉄鍛造」製法でヘッドが成型されている。よりソフトな打感とクリアなフィードバックによって、グリーン周りでの繊細なアプローチの打ち分けが可能となっている。そして、その名前の通り「ハイ-トウ デザイン」のヘッド形状が一番の特徴だ。一般的なウェッジよりもトウを高く肉厚にすることで、重心を高く、センター寄りに設計している。アプローチにおいて低めの打ち出しと強烈なスピンを実現すると共に、ヘッドの直進性を高めることでミスに強く、方向性を向上させている。
フェース全面に施された溝も『Hi-Toe』シリーズに共通する特徴だ。『Hi-Toe 5』ウェッジでは、『MG5』ウェッジでも採用されている「ソーミルド・グルーブ」を搭載。より深く、鋭い形状の溝によってインパクト時の摩擦を高め、スピン量とコントロール性が向上し、フェースを広く使えることでさまざまなライに対応する。
さらに『Hi-Toe 5』ウェッジではより安定したスピン性能を求めて、「RAWフェース」と「スピン・トレッド・テクノロジー」が採用されている。スピン量を低下させる原因となるフェースとボールの間の水分や芝を効率的に逃す設計で、あらゆるコンディションで安定したスピン性能を発揮する。
細部にこだわった作り込みで、ウェッジとしての性能が大きく底上げされた『Hi-Toe 5』ウェッジだが、1番の進化ポイントはソールグラインドにある。今回は、『ATV』、『ATX』、『ATW』、『ATS』、『ATC』の5つのソールグラインドがラインナップされている(※『ATS』と『ATC』はカスタム対応)。
『Hi-Toe 5』ウェッジの全てのグラインド名の頭に付いている「AT」は「All Terrain」の略で、「全ての地形」を意味している。今回テーラーメイドでは、マスターグラインダーのグレッグ・“シーザー”・シザリオを中心にアマチュアゴルファーのアプローチにおけるミスの傾向を分析。どんな傾斜・ライでも、どんな打ち方でも安定してボールをとらえて、強烈なスピンがかかるソールグラインドを開発した。
スピン性能と寛容性を高めたヘッドに、あらゆるライに対応するソールグラインドを搭載させたことで『Hi-Toe 5』ウェッジは、“グリーン周りのスペシャリスト”と呼べるクラブに進化したのだ。では、実際にグリーン周りのアプローチで『Hi-Toe 5』ウェッジを使うと、どんな弾道やフィーリングを得ることができるのか。今回は、スイングコーチ兼クラフトマンとして、ギアとスイングの両面に精通する関浩太郎に『Hi-Toe 5』ウェッジを徹底テストしてもらった。
どんな当て方でも入射角とスピン量が安定! 距離感がバッチリ合う
まず関には、『Hi-Toe 5』ウェッジの58度『ATV』ソールを試打してもらった。
「フェース全面に溝が入ったモデルは、構えたときに独特で、違和感のある顔であることが少なくありません。しかし、『Hi-Toe 5』ウェッジはすごく構えやすい顔ですね。『ハイ-トウ デザイン』のためにトゥを高く設計しながらもツアーウェッジらしくシャープで整った顔になっています。ネックのラインもストレートで、ターゲットに真っすぐセットしやすいです。ネック下部を絞ることでトゥに重量配分をしているのだと思いますが、ヒール部分がスッキリ見える効果もあります」(関)
「試打を始めて、1球目からピタッと距離が合いました。打つ前の素振りでイメージした弾道がそのまま出てくれる印象で、狙い通りのところに落としていけます。打感はソフトでフェースに乗る感覚がありつつ、ボールの重さを感じる適度な手応えがありました。インパクトの強弱を感じながら、距離をコントロールできる絶妙なフィーリングです。そして、スピン性能もハイレベルで、グリーンに落ちてからキュキュッと止まってくれました。驚きなのは、朝露でフェースに芝が付いたまま打っても、スピンが利いてくれたことです。打ち出しとスピンの安定で距離感が合う非常に実戦的なウェッジです」(関)
『Hi-Toe 5』のウェッジとしての基本性能の高さを感じ取った関だが、それ以上に驚かされたのはミスに対する寛容性だという。
「テストをする中で、打点が上下にブレたときでも、弾道の高さやスピンのかかり方が芯で打った場合と変わりませんでした。これは『ハイ-トウ デザイン』でセンター重心に設計されたヘッドの恩恵ですね。フェース全面に溝があることで、打点が左右にブレた場合のスピン量の変化も小さくなりますし、思ったところに落とせる安心感が段違いです」(関)
『Hi-Toe 5』ウェッジの打点ブレに対する強さは、アベレージゴルファーから上級者まで、あらゆるレベルのプレーヤーに恩恵があると関は話す。
「アプローチは、打ち出し角が揃うことでキャリーが安定します。ポッコンしてボールが高く上がったり、強く入って低く出たりと、打つごとに高さが変わったら距離感が合いません。『Hi-Toe 5』ウェッジはヘッド構造で、打点による打ち出し角とスピン量のブレを最小限に抑えてくれます。入射角がバラバラで打点がブレるアベレージゴルファーにマッチすることはもちろん、上級者であってもアプローチに苦手意識がある人にはぜひ試してほしいですね。距離感が合いやすくなって、寄せワンが増えるはずです」(関)
『Hi-Toe 5』ウェッジはハイバンス系の3つのソールの性能が秀逸!
関は、『Hi-Toe 5』ウェッジのミスヒットに対する寛容性、距離感の合いやすさを実現している要因として、ソールグラインドの完成度の高さを挙げる。
「最初の試打に使った『ATV』はシャローに入れたり、上から打ち込んだりしても、ヘッドの抜け方が変わらない不思議な感覚のソールでした。まったく刺さることがありませんし、ヘッドが思い通りに動いてくれます。素振りで打った感覚をそのまま実際のショットでも再現できたのは、この『ATV』ソールの設計の秀逸さがあったことは間違いありません。またヘッドが適度に地面に入って、気持ち良く抜けてくれるので強烈なスピンがかかることも特徴です」(関)
『ATV』は14年ぶりの復活となったテーラーメイドが独自に開発した高機能なソールグラインドだ。ワイドソールの中央部に独特な凹みを付け、リーディングエッジ側(前方)はローバンスでボールの下に入り込み、トレーリングエッジ側(後方)はハイバンスでスムーズな抜けをサポートする。また、トゥ・ヒールにも削りを入れることで、さまざまなライや打ち方に対応。接地面積を減らすことで抜けもスムーズとなっており、あらゆる状況でベストパフォーマンスを発揮する万能ソールとなっている。
「『ATV』はフェースを開いてボールを上げたり、低く打ち出したりと操作性も高くなっています。アプローチで技を使いたいけど、打点ブレによる距離感のズレをカバーしてくれる寛容性が欲しいゴルファーに最適です」(関)
関には、『Hi-Toe 5』ウェッジの他のソールタイプも試打してもらい、それぞれの特性を解説してもらった。『ATV』ソールに続いてテストを行ったのは『ATX』ソールだ。
「表記の上では『ATV』と1度しかバンス角が変わりませんが、打つとそれ以上の違い感じられます。丸みのあるワイドソールで、バンス角がしっかり付けられているので、油でも塗ってあるかのようにツルッと抜けてくれます。印象的だったのはラフからの試打で、芝の抵抗が非常に少なく、フェアウェイで打つのに限りなく近い感覚で打つことができました。どんな打ち方をしても入射角が安定し、一定した打ち出し角とスピン量のピッチ&ランを打てることが特徴です。同じ打ち方で距離感の出せるウェッジを求めるプレーヤーに最適です」(関)
『ATX』はワイドソールの中に3つの役割の異なる形状を組み合わせたデザインとなっている。リーディングエッジが芝に対する抵抗を抑え、中央部分でダフリに対する寛容性を確保。トレーリングエッジがインパクトからフォローにかけてのスムーズな抜けをサポートしてくれる。
ソールタイプ別の試打で関が最も衝撃を受けたのが超幅広でハイバウンスの『ATW』ソールだ。
『ATW』ソールは、56度と60度のモデルがラインナップされている。関には60度のモデルを試打してもらったが、かつてない打ちやすさを感じたという。
「60度なのに、打ち出し角が58度の他のソールタイプと同じくらいの高さでした。インパクトでボールがしっかりフェースに乗り、イメージ通りの打ち出しでキャリーコントロールができます。そしてロフトが60度の分、同じ打ち方でも58度のウェッジよりもスピンがしっかり利いてくれます。特に秀逸だったのがバンカーで、ヘッドが少しだけ砂に潜ってから、それ以上、深く入ることなく加速するように抜けてくれました。砂が柔らかくなって、バンカーの難易度が増すほど、効果を発揮しそうです。とにかく超やさしい。このウェッジがあれば、グリーン周りの厳しい状況でもピンを狙っていけます」(関)
「ボクはこれまでずっと60度のウェッジ否定派でした。ボールの下を抜けてポッコンになりやすく、打ち出し角が高くなり過ぎて距離感が合いにくいからです。生徒さんが60度のウェッジを入れていたら、“抜いてください”と言っていたほどです。一部の上級者を除き、多くのアマチュアゴルファーが60度のウェッジを使うメリットはないと考えていました。でも、『ATW』の60度を打って、印象は180度変わりました。グリーン周りのアプローチが確実に簡単になりますし、バンカー専用で入れるのもアリです。100切りゴルファーから72を目指す上級者まで、全レベルのゴルファーがバッグインすべきウェッジですよ」(関)
『Hi-Toe 5』ウェッジにはカスタム対応のみになるが、ローバンスで操作性に優れた『ATS』と『ATC』もラインナップされている。ソールの当たり方を変えずに、「ハイ-トウ デザイン」のヘッドの寛容性だけを享受して、やさしくアプローチを打ちたいゴルファーにおすすめだ。
バンカー専用ウェッジの投入もあり! 『MG5』ウェッジとのコンボセットでベストスコア更新が叶う
『Hi-Toe 5』ウェッジは、グリーンに近い距離のアプローチやバンカーショットに特化した性能に設計されている。そのため、最もロフトが少ないもので56度という設定になっており、アイアンとの間をつなぐ意味で同じテーラーメイドの『MG5』ウェッジとのコンボセットを作るのがおすすめだ。
「今までは52度と58度の組み合わせが基本と指導していました。下手に本数を増やすよりも、決まったロフトでピッチ&ランを打つ方がスコアにつながると考えていたからです。でも、『Hi-Toe 5』ウェッジはクラブとしての性能でミスに対する“保険”がしっかりあります。ウェッジの本数を増やすことがそのままアプローチの向上につながりますので、アイアンセットのPWの下に3〜4本入れたくなります」(関)
『Hi-Toe 5』ウェッジの中で、関がマストで入れてほしいと語るのが60度の『ATW』だ。
「入射角のブレに強く、安定した打ち出し角でスピンが利き、しかもバンカーに強い。『ATW』の60度が1本あるだけで、グリーン周りのアプローチは確実にやさしくなります。ウェッジセッティングを考える際、マストで入れてほしいクラブです。その上に何を入れるかが問題ですが、あえて『Hi-Toe 5』ウェッジをソール違いで2本入れるのもおすすめです。『ATW』はバンス角が大きい分、芝の薄いライや硬い地面と相性が良くないので、58度の『ATV』や『ATX』があると安心です」(関)
「もちろん、スリークォーターのショットなど、ある程度大きく振ったときのコントロール性を重視するなら『MG5』ウェッジの56度などを上に入れるのもアリです。一番下に『Hi-Toe 5』ウェッジを入れることでグリーン周りの保険がかかっていますから、PWとの間に入れる『MG5』ウェッジを増やして、100ヤード以内の正確な距離の打ち分けを目指すのも良いでしょう。『MG5』ウェッジはロフトバリエーションが豊富なので、さまざまなタイプのアイアンに合わせて、最適なロフトを選ぶことができます」(関)
「これまでベストスコアを出すことにこだわって、レッスンを行ってきました。その中で、ティショットは安全に打ち、セカンドで攻めることが大切と指導しています。経験上その考え方が一番高確率で良いスコアが出せるからです。そこに『Hi-Toe 5』ウェッジのようなクラブを使って、アプローチの保険をかけることができれば、スコアは間違いなく向上します。グリーンを外したとしても、寄せられる確信があるのでピンを狙うショットが打ちやすくなるからです。『Hi-Toe 5』ウェッジは、ベストスコアを更新するための大きな武器になることは間違いありません」(関)
ゴルフにおいて、グリーンを狙うショットが外れたときに、いかに寄せワンを取れるかが、スコアを大きく左右する。だからこそ、プロや上級者はショートゲームを重要と考え、多くの練習時間を費やす。その意味で、グリーン周りのスペシャリストとして、やさしくスピンの利いたアプローチの打てる『Hi-Toe 5』ウェッジがもたらすメリットは計り知れない。ツアーモデルのシャープさで、質の高いアプローチが打てて、グリーン周りの苦手克服につながるやさしさも備えている。アプローチの向上を願う全ゴルファーに試してほしいウェッジの新定番だと言えるだろう。