初出場の「プレジデンツカップ」でも、安定した1Wショットを披露した久常涼。彼は今季のPGAツアーでも際立った1Wスタッツの良化が見られる一人で、テーラーメイドの低スピンモデル『Qi4D LS』を使う3人の名手の一人に数えられる。
他の2人は同じTM契約のコリン・モリカワと、契約外使用のキース・ミッチェルで、2025年と2026年のティショットに関する各スタッツを比較してみた。すると「同じモデルを使いつつも、各人の課題や強みに応じた3通りの進化」を示す興味深いデータが見られた。それぞれ見ていこう。
■ 契約外のミッチェルがSG:OTTで4位に躍進
まず注目なのが、屈指のティショットの名手であるキース・ミッチェル(Pro V1)だ。昨季はミズノ『ST-Z』を主に使用していたが、今年は契約外で『Qi4D LS』を使用。そのスタッツが下記で、昨年より約1.12m/sの平均初速アップに成功していた。
『Qi4D LS』(9.5°)×『Project X Titan Yellow』(6X)
*ヘッドスピード119.52mph ▶ 120.74mph(+1.22mph)
*ボール初速178.16mph ▶ 180.67mph(+2.51mph)
*平均飛距離(All Drive)304.3yd ▶ 307.8yd(+3.5yd)
*FWキープ率60.36% ▶ 57.43%(-2.93%)
*SG:オフ・ザ・ティ0.533 ▶ 0.646(+0.113)
*SG:オフ・ザ・ティ順位13位 ▶ 4位
昨年もSG:オフ・ザ・ティ「+0.533」で13位というトップクラスの数値を誇っていたミッチェルだが、今季は『Qi4D LS』で平均初速を180mph台へ。SG:オフ・ザ・ティも「+0.646」まで伸ばしてツアー4位と「9人抜き」に成功している。
■ モリカワはHS減なのに、キャリア最高の飛び
今回取り上げる3人の中で最もドラマチックな伸びを示したのがコリン・モリカワ(TP5x)だ。平均ヘッドスピードは昨季より0.53mph(約0.24m/s)下がったにもかかわらず、ボール初速を1.46mph(約0.65m/s)上げており、キャリアハイの平均飛距離を記録していた。
『Qi4D LS』(8.0°)×『Diamana D+』(60 TX)
*ヘッドスピード115.26mph ▶ 114.73mph(-0.53mph)
*ボール初速171.54mph ▶ 173.00mph(+1.46mph)
*平均飛距離298.3yd ▶ 306.3yd(+8.0yd ※キャリアハイ)
*FWキープ率70.65% ▶ 68.20%(-2.45%)
*ミート率1.488 ▶ 1.507(+0.019)
デビュー以来、モリカワの平均飛距離は毎年295ヤード前後(120〜140位台)で推移。ところが、『Qi4D LS』で大台を大きく越え、FWキープ率を2%強下げたものの、高初速の恩恵でミート率もアップ。米国テーラーメイドは「ボール変更も一因」だと明かす。
「彼の今季成功の最大の要因は『AT&Tペブルビーチプロアマ』で『TP5x』に切り替えたことで、これがPGAツアー7勝目につながりました。その週、テーラーメイドのツアー担当者とテストした際、モリカワ選手は『TP5x』が風の中でのスピン量と弾道の安定性を向上させることを発見。TP5xとQi4D LSの組み合わせで彼のキャリアで最長の平均飛距離と平均ボールスピードを記録しました」
■ 久常涼は、スピードと精度アップを両立!
前述の通り、久常涼(TP5x)は『Qi4D LS』で若手らしく全体のスケールアップに成功。昨年使った『Qi35』より平均初速を2.53mph(約1.13m/s)アップさせて平均9.4ydも伸ばしたが、“FWキープ率を落とさず”これを実現させていた。
『Qi4D LS』(10.5°)×『24 Ventus Red』(7X)
*ヘッドスピード113.40mph ▶ 115.28mph(+1.88mph)
*ボール初速171.17mph ▶ 173.70mph(+2.53mph)
*平均飛距離297.5yd ▶ 306.9yd(+9.4yd)
*FWキープ率62.05% ▶ 63.03%(+0.98%)
*SG:オフ・ザ・ティ0.143 ▶ 0.290(+0.147)
ティショット巧者の証である、今年の「SG:オフ・ザ・ティ」上位は『Qi4D』を使うローリー・マキロイが2位(0.737)、王者スコッティ・シェフラーが5位(0.610)とコアモデルが目立ってきたが、その陰に隠れがちな低スピンモデルにも注目したい。
