平田「タイガーはマン振りだと【右足スケーティング打法】に変わってきた」
筒 「確かに、マン振りするから平均ヘッドスピード54.49m/sと速く出るのはあるでしょうね。90gのシャフトをやや短く44.5インチ台で使っているとはいえ、80g強はゆうにあるはずです。この重く短いクラブ、しかも手術明けの体でツアー最速(FASTEST SPEED)の129.20マイル(57.76m/s)も出すのは、マン振りとはいえちょっと考えられないです。クラブも短いわけですし…」
筆者 「でも、16番は左にOBしたんですから、結果的には悪いスイングだったんじゃないんですか?」
平田 「そうそう、グレッグ・ノーマンこそ、【右足スケーティング打法】の開祖かもしれませんね!」
筆者 「……。(勝手に盛り上がってるけど、右足が滑るのは正しいの???)打法と言われると、何となく怪しいニオイがしますが、大丈夫ですか?」
平田「マキロイも両ヒザを曲げて切り返し、インパクトでは伸ばす」
飛びの秘訣にはやはり共通点が多いですね。リッキー・ファウラーも似ているのですが、タイガーは元々こういった右足のカカトを内側にスライドする動きじゃなかったんです。それが、ケガから復帰後の最近の試合では右足の動きにはっきりと変化が表れました。今どきの若手トッププロたちと同じような右足の使い方に変化しているのは好材料でしょう」
筆者 「平田さん、それって無意識ですか?あと、マキロイと違ってタイガーが引きずる理由は?」
あと、右くるぶしを地面に押し付けるような使い方をしますがここもポイントで、この右足の形だと腰は切れきって、それ以上腰がムダにターンしません。プレインパクトから、腰のポジションが変わってないことが画像に表れています。ところが、右足が早く離れて前に出ると、腰は途端に回りすぎたりスピンアウトの原因にもなってしまいます」
平田 「やっぱり、筒さんは話がわかりますね。そうなんです。切り返しで体、特に右足が前に出ると終わりですから。昔のタイガーは少し右サイドが前に出る感じもありましたが、復帰後の最近はまったくこの動きがありません。沈み込む量が減ったから【ダイナミックさがなくなった】【床反力を使わなくなった】との解説はナンセンスで、【正しい脚さばきに変わった】と観るべきです」
筒 「同感です。むしろ、上下動が減ったのにヘッドスピードが速くなった点に着目すべきですよね。動きとしてのダイナミックさが減って見えて、結果スピードが出るということが、いかに凄いことか」
平田 「そうです!マキロイもそうなのですが、私が以前に紹介した【カカト軸ジャンプ】というドリルもそうなのですが、右足がベタ足の中に、しっかり伸展の動作を伴った床反力の使い方があります。現象としてカカトが浮くことが重要なわけではない。足の使い方は穏やかに見えて、内実床反力を使っているというのが、タイガーとマキロイだけじゃなく、現代的なスイングの共通点で、多くのプロが実際に効率よく飛距離を生む体の使い方です」
筒 「概ね同感です」
筆者 「クゥ〜、今回もまたマニアックだなぁ…。ちょっと、マキロイの復活についても語りたいのですが、長くなるので、今回はタイガーの話しで締めて、次回にしましょう」
筒&平田 「了解しました」
Text/Mikiro Nagaoka